モバイル情報端末向けのインターネット接続仕様の標準化を推進する「モバイルウェブ推進協議会」が10月1日より活動を開始した。
モバイルウェブ推進協議会は、カーナビやPDAなどのモバイル情報端末がインターネットに接続する際の端末仕様、サーバー仕様、通信仕様の作成と標準化を推進する団体。ソニー株式会社、日本アイ・ビーエム(IBM)株式会社、パイオニア株式会社、本田技研工業株式会社、マツダ株式会社、シャープ株式会社、セイコーエプソン株式会社、住友電気工業株式会社の8社が理事会社となっている。
協議会は、7月より準備委員会を発足している(本誌'98年6月30日号参照)。問い合わせは海外企業も含め100件を越え、現時点で約60社が参画を表明している。
同協会が提案する仕様は「MobileWeb仕様書 Ver.1.0(以下MW ver.1.0)」。これは、モバイル端末への情報提供に最適な1/4VGAサイズの画面仕様や、カーナビと地図をリンクさせて活用するための緯度経度情報の通信仕様を規定したもの。今回、協会では、活動開始と同時に、MW Ver.1.0のブラウザー関連部分を発表した。ここでは、上記仕様を実現するために情報サービス側と端末側でサポートするHTMLのタグなどを規定している。
MW ver.1.0の特徴としては、特定のタグを加えることで、現在WWWで広く利用されているHTMLで記述されたコンテンツを再利用できる点があげられる。すでに、日本IBMがページ作成ツール「ホームページ・ビルダー」でMW ver.0.9に準拠する修正モジュールを公開している。提供する情報コンテンツについて、協議会では、従来のように情報誌からコンテンツを引っ張ってくるだけでは、更新頻度の面や「駅」を中心とした情報提供形態の面から、モバイル端末、特にカーナビにおいては限界があると見ている。なお、仕様書は、会員のみに公開されているが、協議会での発表の半年後を目処に一般にも公開していくとのこと。
モバイル端末向けの言語としては、'98年3月にアクセス社、松下電器、NEC、ソニーなど6社が「Compact HTML」の仕様をW3C(World Wide Web Consortium)に提出しているが、MW Ver.1.0では、Compact HTMLの規定するタグをすべて取り込んだ形になっている。協議会では、「HTML 3.2」のスーパーセットとして位置付けており、将来的にW3Cへ仕様を提出する予定だ。また、今後は、主にPDA向けの機能を規定した「Ver.1.1」などのバージョンアップを経て'99年秋にはXMLに対応した「Ver.2.0」を発表する予定とのこと。
現時点で、ソニー、日本IBMなどによる「Mobile Link」、ホンダによる「インターナビシステム」、インクリメントP社による「Map Fan Web」がMW ver.1.0仕様に準拠したサービスの提供を予定している。これらのサービスでは、緯度経度情報の通信などにより、例えば、ドライブ先で今運転している地点の地図を自動的に表示、さらに周辺のレストラン情報などを表示できる。また、「時間」の規定も設定できるので、夜8時以降はすでに閉店している店の情報は検索しない、といったサービスも提供できるという。なお、トヨタ自動車関連の「MONET」は、ほぼ独自仕様で開発を進めている状況で協議会への参画は表明していない。また、プロバイダービジネス的な意味合いの強い日産自動車関連の「コンパスリンク」についても今のところ参加の予定はないとのこと。
協議会では、今後も各関連企業に協議会への参画を呼びかけていき、MW仕様を「世界標準」にしていきたいとしている。MW仕様の標準化には、各業界にまたがる企業の協力と、いかに、カーナビ/携帯端末に適したコンテンツを揃え、一般に普及を図れるかがポイントとなりそうだ。なお、協議会ではW3Cのほか、ISO(国際標準化機構)にも同仕様を申請し、世界標準を狙う。
◎問い合わせ先
('98/10/5)
[Reported by okiyama@impress.co.jp]