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あなたの人種偏見度は?「The National Hate Test」 (98/05/13)

 5月6日に報じられた「メール脅迫者に禁固1年」の事件は、被害者がアジア人ということで、なんだか他人事でないような気持ちで見守っていた。カリフォルニア大学アーバイン校の学生たちに、「Asian Hater」と名乗って「学校を辞めろ!」と強烈な脅迫電子メールを送り付けた移民青年。オフラインの世界では、人種差別による脅迫や具体的な行為は人権侵害罪の対象となるが、ネット上で同様にこれが適用されるかどうかも審議の的になっていた。結果は有罪判決で、青年には懲役と罰金のほかに、人種差別意識を更正するためのカウンセリングを受けることが課せられた。

 この青年がこんな行為に走ったのは、アーバイン校から成績不良で退学になったのがきっかけらしい。「アジア人はみな成績が良い。お陰で自分は退学になった」というのが彼の法廷での弁明だったようだ。アジア人の上位成績者は確かに多いのかもしれないが、個人的に知りもしない相手に偏見だけで怒りをぶつける行為。実際に面と向かうと言えないことも、匿名とあれば簡単にできてしまうネットの性質が、これにまた拍車をかけたようだ。

 法的にネットでの差別行為が裁かれたのは大きな前進だが、日頃思うのはネット以前に人種偏見がなくなれば、ということ。良いことも悪いことも増幅されるネットだからこそ、使う前の人間性が問われるのだ。多人種が共存する米国では、常に人種間の摩擦に関する問題が話題になっているが、それと同時に偏見を無くそうとする運動も盛んなのは喜ばしいこと。その一例として、最近ケーブルテレビ局USA Networkが「視聴者の人種偏見度を問う」という番組を放送したことがあげられる。

 「The National Hate Test」のオープニングは、まさに目を疑うほどショッキングなビジュアル。1枚ずつ画面に映る人物の写真に、その人の属する人種や生活パターンに対する偏見用語がびっしりと書きなぐられてある。「これを見てどう思いますか?」と解説を始める司会のGregory Hinesの顔が、白人、東洋人、老人、女性と変わっていき、「外見で私の話すことの内容が変わって聞こえたなら、それが『偏見』なのです」と締める。結論を出すのではなく、様々な場面での自分の反応をしっかり見つめてみることから始めようというこの番組、1時間の中で偏見に関連した場面が次々と紹介される。

 例えばこんなシーン…

 これらの場面を見ながら、スタジオの参加者が感想を交換し合う。「僕はバスケットが好きでうまい方だけれど、いつもそのことを証明し続けなければならなかった」と言うアジア人の青年、「引っ越して隣がゲイの人でびっくりしたけれど、今までの隣人で一番親切な人だった」と言う中西部からの若者、「今思うと考えられないことだが、キング牧師暗殺の日、学校でみんなで拍手をしたんだ」という南部からの男性。それぞれの意見を聞きながら、私自身の中でもいろいろな思いが渦巻いた。

 相手を知り、状況を理解できれば、簡単にとける偏見は多い。知らないから不安になり、偏見という鎧で身を固めたくなる。「こんなことがある」という例を知り、考えてみることだけでも、なんだか自分の許容量が少し大きくなった気がした。

 「The National Hate Test」は、「Erase The Hate」というキャンペーンの一貫として放送された。そのWWWサイトでは、番組の内容に加え、人種偏見を無くすための特集や資料を多数掲載している。多くの異なった人々が共存するネットで、本当に偏見なく交流するために、ぜひお勧めしたいサイトの1つだ。

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