Internet Watch Logo

 

ウォッチャー金丸のNEWS Watch

リンクがすでに消滅していることもありますが、予めご了承くださ い。

・NEWS Watchとは
・about 金丸さん
・NEWS Watchバックナンバー

1998年1月22日


HEADLINE 3 articles

NTTの「タイムプラス」続報
導電性プラスチックの開発とその用途
FAX使ってインターネット利用
余談4題:インターネットビジネスに関する研究会/ドイツのインターネット広告市場/国際モバイルキット/コンピューターもスーパーからウルトラへ/長期休刊のお知らせ


 

NTTの「タイムプラス」続報1月21日号のNEWS Watchも参照)
 日刊工業新聞11面と日経産業新聞7面には、NTTの宮津社長が21日の定例会見で、2月上旬から首都圏限定の市内長電話割引サービス「タイムプラス」を導入する件に関してコメントしたという記事が掲載されている。サービス地域を限定する事が「ユニバーサル(全国均一)サービス」の原則に反するとの指摘に対して、「今後も地域限定サービスは出てくる。選択性の割引制度なら問題無い。何でもかんでも全国一律で対抗するというのは言い過ぎだ」と述べたとしている。

 この言葉の裏には、対抗すべき(儲かる)ところでしか割引サービスは行わないという意味が隠されており、NTT法で規定されているユニバーサルサービス提供責務の適用が、「タイムプラス」に関してはなされない(地方ではサービス展開はしない)可能性を示唆している。
 今年中には規制緩和の名の元にNTT法が廃止される公算が強く、ユニバーサルサービスの提供責務も事実上無くなれば、ますます地方との情報(価格)格差が生じる事も懸念される。


○導電性プラスチックの開発とその用途
 日経新聞11面には、東大生産技術研究所中川威雄教授らが21日、電線にも応用できる導電性プラスチックを開発したという記事が掲載された。電導率はまだ銅線の1/10だが、通常のプラスチック製品のように自由に加工が出来るとしている。この新材料は、樹脂にはんだと銅の粉末を添加して加熱しながら練り混ぜて作るようで、これまでの導電性プラスチックより電導率は約100倍高いらしい。

 従来の導電性プラスチックは、細い銅線などをプラスチックに埋め混んで作られており、電気機器などの電波放射を防ぐのに使われる程度で、電線に使えるほどではなかった。この新素材は導電率がまだ低いので、短距離の低周波(低ビットレート)の電気通信あたりに使えそうで、配線やコネクタの無いPCやPDA、携帯電話等の超小型で超軽量な電子機器ケーブルの無い(接触するだけの)ネットワーク機器など、様々な機器への用途が考えられそうだ。


○FAX使ってインターネット利用
 日経産業新聞2面には、日新電機がソフト開発会社のコムユースと共同で、手書き文字によるインターネットFAXシステム「信乃助イントラFAX『維新伝』」(1回線用で18万円~)を開発し、3月1日に発売するという記事が掲載された。インターネット経由の割安料金でのFAX送信機能の他にも、専用の記入用紙にURLやアドレスを大文字で手書きして、ホームページの内容を引き出したりFAXを電子メールとして送信することなどが可能になるようだ。

 インターネットFAXの普及が進んでくると、例えば文字読取能力の高いOCRソフトを搭載したFAX機種をネットワークへのインターフェース・マシンとして、キーボード嫌いの人々にも使われる事になるのだろう。




余談その1:インターネットビジネスに関する研究会
 日刊工業新聞10面には、郵政省が21日、2005年のインターネット普及率などを予測するため、インターネットビジネスに関する研究会」の初会合を開いたという記事が掲載された。他にもインターネット関連ビジネスの市場規模などの推計や日米との比較等を検討し、6月にまとめる平成10年版「通信白書」にその結果を盛り込むとしている。

 例えば3年前に今のインターネット普及の状況を予測できた人間がどれだけいたかを考えれば、7年後の普及率を予測するのは相当に困難な作業と思われる。

余談その2:ドイツのインターネット広告市場
 日経産業新聞3面には、ドイツでもインターネット広告が盛んになってきたという記事が掲載された。出版大手のグルナー・ウント・ヤール社の電子メディア子会社の調べでは、'97年のインターネット広告市場は前年比の4倍に拡大し、今年はまたその倍の5千万マルク(約36億円)に、2000年では今年の7倍にまで市場が拡大するとしている。またドイツの市場はアメリカを2年遅れで追っていると分析しているようだ。

 日本の広告市場が'97年で約40億円(電通予測、'97年3月31日号のINTERNET Watchを参照)になりそうな事から、ドイツはその約半額の18億円なので、日本から1年遅れの市場といったところだろうか。(ちなみにアメリカは'96年の広告費で既に推計3億ドル約260億円:米調査会社のジュピター・コミュニケーションズ調べ、'97年8月15日号のNEWS Watchを参照)なので、'96年で約5億円のドイツ市場がアメリカの2年遅れとは言い難いのでは)

余談その3:国際モバイルキット
 
日経新聞17面には、ソフト・インターネット関連事業のインターネットテクノロジ社が、北米や欧州、アジアなどで使える携帯電話に携帯情報端末を接続した「国際モバイルキット」のレンタルを近く開始するという記事が掲載された。端末(Windows95マシン)から発信した情報は、同社が受信後に指定した番号にFAX配信するサービスで、電子メール配信も要望が多ければ実施するとしている。またこのサービスは海外出張するビジネスマンを対象にしており、出張の5日前までに電話で申し込めば、出発3日前に全国どこでも宅配してくれるようだ。

 海外を飛び回る方にとって、急な出張の場合などには便利なパックだろう。ただし、欧州とアジアでは同じデジタル通信方式(GSMベース)が広く普及しているので携帯電話を共用できるが、アメリカではデジタル携帯電話自体の普及率も低いので、通話出来る地域など注意が必要だろう。

余談その4:コンピューターもスーパーからウルトラへ
 日経新聞13面と日経産業新聞7面、そして日刊工業新聞10面には、NECが21日、科学技術庁が進めている「地球シミュレータ計画」に使われる世界最高速コンピューターの基本設計開発の受注を発表したという記事が掲載された。それは同社のスーパーコンピューター「SX-4」を応用した超高速並列計算機「ウルトラコンピュータ」で、既存のスーパーコンピューターに比べて実効速度は約千倍になるという。この計画は地球環境問題の解決や自然災害対策作りなどを進めるため、コンピューター上に「仮想地球」を作り出すもので、2001年度の完成を目指すとしている。

 このウルトラマシンに膨大なデータを入力してシミュレーションさせたら、2XXX年には地球生物(文明)は全て絶滅という結果が出て、それを阻止すべくこのウルトラマシンは自ら行動を起こし...などと映画のようなストーリーを思い起こさせるリリースの挿絵(映画「2001年宇宙の旅」を意識か?)なのだが...(^_^;)

休刊連絡:
 明日から30日まで、NEWS Watchは休刊とさせて戴きます。1週間以上の長期に渡ってしまいますが、ご了承の程をお願い致します。m(__)m


INTERNET Watch


(C)1996 Impress Corporation. All Rights Reserved.

internet-watch-info@impress. co.jp