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ウォッチャー金丸のNEWS Watch

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1998年2月18日


HEADLINE 3 articles

マスターカードとモンデックスの多通貨電子マネーの実用化
セキュリティー格付け診断サービス「セキュレート」
政府創設ページが受けている
余談3題:エヌ・エス・インターネットサーバー/Hi-HO40万人体制/五輪サイトは大盛況その3


 

マスターカードモンデックスの多通貨電子マネーの実用化
 17日の日経新聞1面と今日の日刊工業新聞7面には、米マスターカードとその傘下のモンデックス・インターナショナルが、一枚のICカードに複数通貨建て資金を蓄える、初の「多通貨電子マネー」の実用化に乗り出すという記事が掲載された。関係通貨当局などの同意を得て、まず米ドルと香港ドル、カナダドルなどを同時に使える新型カードを、早ければ年内にも発行する予定と書かれている。17日にニューヨーク市で行った公開実験では、香港ドルとして発行されたモンデックス・カードを銀行のATMを通じて一定額の米ドルとしてメモリーに移し、同市内のマクドナルドで代金を支払った。実用段階では、外国旅行先で利用できるようになるほか、個人や企業が銀行を通さずにICカード間で外貨を決済することも可能になるとのこと。

 現在多くの国の外為法などの法規制では、国内と国外との外貨の資金移動には手数料なり税金がかかることにはなっているが、今回は少額とは言え、その壁を破る試みと言えそうだ。金融機関など為替手数料を取っているところにも、少しづつではあるが手数料軽減サービスなどを考えさせるような、影響が出て来ると考えられる。


○セキュリティー格付け診断サービス「セキュレート
 日経産業新聞7面と日刊工業新聞8面には、三井物産が全額出資するコンピューターサービスの三井物産デジタルがネットワークサービスのドットウェルビー・エム・エスと共同で、企業のコンピューターシステムのセキュリティー格付け診断と対策サービス「セキュレート」を開始したという記事が掲載された。定期的なパスワード変更や情報にかかわる従業員との守秘義務契約など500の診断項目により、9段階に格付けするため、企業側はハッカーの侵入や社内の不正行為に対してどのぐらい安全かを把握でき、危険度の高い部分から効果的に対策が打てるとしている。格付けコンサルティング料は、システムの規模に応じて30~300万円、実際の対策料は6百~6千万円となっている。

 「格付け」と聞いて、ビクッとする金融関係者の方もいるだろう。そのような感覚を生み出す元となっているのは、現実の世界の格付け会社:ムーディーズの信用格付け情報が、日本の金融機関などの倒産への引き金になっているからだ。これからECやセキュリティー情報伝送が盛んになる仮想ネット社会においても、セキュリティーや信頼度といったバーチャル格付け情報自体が、その重要度を増してくることだろう。


○政府創設ページが受けている
 日経産業新聞2面には、ドイツ政府が16~26歳の若者向けに開設したホームページ「ヤングネット」(略称YN)が開始早々、高い関心を呼んでいるという記事が掲載された。教育や職業、政治、余暇・娯楽など6分野から若者向けの情報を若い世代に読まれるスタイルで提供するYNは、開始後の3日間でアクセス数は2万件、ページヒット数は25万を記録した模様で、YN関係者は「政府のヒットサービスになる」としているらしい。ドイツの若者がよく言われる「ヌル・ボック(無気力)世代」ではなく、職業や社会奉仕などについて非常に関心が高いことを認識し、急拡大するインターネットをベースにこのYNの構想が生まれたとしている。
 また17日の日経新聞2面には、首相官邸のホームページの月間アクセス数が1月に320万件と、初めて300万台を突破したという記事も掲載された。村山内閣の94年8月から開設しており、第一次橋本内閣の96年4月には100万件の大台に乗せ、昨年12月には290万件に急増していたようだ。ただ問題なのは、一日平均で10万件もアクセスがあっても、利用者が何を知りたいのか分かっていないことで、総理府もページ別検索件数カウンター・ソフトを現在発注しているという。

 同じアクセス増加現象でも、ドイツではコンセプト以上の反響に驚き、日本ではその理由さえも分からないという、両政府の反応にも大きな違いがあるようだ。ホームページ一つを取っても、開設の目的意識の差が、頑然とあるように感じる。
 (しかし、「Young Netというネーミング・センスには、政府らしい共通したものを感じるのだが... (^_^;))



余談その1:エヌ・エス・インターネットサーバー
  日経産業新聞2面には、システムインテグレータのネットワークソリューションが19日、インターネット接続に必要な機能を盛り込んだ多機能サーバー「エヌ・エス・インターネットサーバー」(49万8千円)を発売するという記事が掲載された。WWWやDNS、メール、プロキシーといった各種機能を盛り込んだサーバーの販売に加えて、ネットワークシステム全体の設計から運用までのコンサルティングや顧客企業のネットワーク管理者の育成コース(5日間で20万円)、ネットの保守サービス(ハードで月8~12万円、ソフトで同12~24万円)などのオプションも用意するようだ。

 サーバー導入においては、多機能で安価などというハード面に加えて、保守や維持といった販売後のサービスも必要になってくるだろう。


余談その2:Hi-HO40万人体制
 日経産業新聞2面には、松下電産はプロバイダーサービス「Hi-HO」の会員40万人体制を、半年前倒しで99年半ばにも達成できる見通しを明らかにしたという記事が掲載された。Hi-HOは昨年9月にコンテンツ・サービスと統合し、インターネット総合サービスとして会員1万5千人でリニューアルしたが、今年1月時点で6万人と予想を上回るペースで契約数が増加しており、松下では、個人が動画・音声を簡単に放送できる「レンタルチャンネルサービス」や有料ネットワークゲームなどのサービスを充実させる一方で、ブランド力を背景に契約を伸ばすとしている。

 日本の景気も停滞し、プロバイダー事業そのものも収支が厳しい状況の中でも、世界の松下は倍々ゲーム以上の景気のいい話があるようで、何ともうらやましい。

余談その3:五輪サイトは大盛況その32月16日号のNEWS Watchも参照)
 日刊工業新聞1面には、日本IBMが17日、長野五輪の公式ホームページへのヒット数が1分間に9万8,226件という驚異的な数字になったと発表したという記事が掲載された。この記録は、17日の午後零時41分に達成されており、同日のスキーのジャンプ団体戦で日本がメダルを獲得したことが、大きな要因としている。
 またその同じ日、asahi.comも1千万ヒットを突破したとしており、日本中が五輪情報に注目したことが分かる。

 日本選手団の活躍のボルテージがまさにピークを迎えたあの日、ネットの利用も最高潮に達したようだ。五輪公式サイトの累計ヒット数も、ぶっちぎりの世界新を記録するのは間違いないところで、一体どこまで伸びるか楽しみだ。


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