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ウォッチャー金丸のNEWS Watch

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1998年3月11日


HEADLINE 3 articles

日本発のネットワーク機器を目差して
高速回線向けのインターネット放送システム「ポストビジョン」
「cdmaOne」サービスの開始
余談3題:EC推進/PHS10Mbps受信システム/ワッセナー協約対策/休刊のお知らせ


 

[NET機器]レベルA'
日本発のネットワーク機器を目差して

 日経産業新聞1面トップには、NEC日立電線大井電気インターネット総合研究所と組んで、インターネット向けネットワーク機器の開発会社「ワールドアクセル」(資本金:2億1千万円)を共同で設立したという記事が掲載されている。既に大手総合商社も出資を決めており、3月中に3億円に増資。まず国内向けの機器を開発すると書かれている。ファブレス(工場を持たない)として製品の企画・開発を担当し、製造は出資企業を中心に委託するようだ。米国型の大学とベンチャー企業が共同開発し大手メーカーが製造販売する分業体制のように、産学のノウハウを持ち寄る新しい日本型ベンチャーとして日本発のネットワーク機器の世界標準を目指すとしている。


 ネットワーク機器、特にインターネットに関連するルーターなどのほとんどの機器が、米国を中心とする海外製品で占められているのはご存じの通りである。インターネットの普及に伴い、データ通信の需要が大幅に増加している中、日本の大手通信機器関連メーカーも危機感をつのらせていることが感じられる。しかし、海外勢の開発スピードも加速度をつけており、この会社も激しい開発競争の中に巻き込まれるのは必至だろう。
 また、国内向けの機器(日本発)にこだわりすぎて、ネットワークのデファクト(世界標準)を見失わないようにも、頑張ってもらいたいと思う。




○高速回線向けのインターネット放送システム「ポストビジョン」
 日経産業新聞2面には、三菱総研NTTデータ通信、システム開発のクリエイティヴ・リンクの3社が、CATV等の高速回線向けのインターネット放送システム「ポストビジョン」を開発したという記事が掲載された。動画放送や一般のホームページなどのコンテンツを任意に組み合わせてTV画面上で表示できるとしており、基本システム(百万円~)はビデオ画像配信用サーバーと専用ブラウザー、送信する番組を指定するインデックスサーバーで構成され、その他電子モール用の受発注システムも用意したという。

 一般家庭へのVOD(ビデオ・オン・デマンド)の場合、これまではリクエスト要求用の放送局への上り回線としてISDNを含む電話公衆網を使おうとする動きが一般的だった。しかし、上り下り回線ともCATV回線などのデータ伝送速度の速いネットワークを使い、かつインターネットに対応していれば、高速アクセス多チャンネルへの対応、ユーザー管理・課金の面で、省力・省スペース・省費用などのメリットが大きくなるだろう。


「cdmaOne」サービスの開始'97年7月15日号のNEWS Watch参照)
 日経新聞13面と日経産業新聞7面、及び日刊工業新聞7面には、DDI(第二電電)が10日から、傘下の関西セルラー電話九州セルラー電話沖縄セルラー電話の3社が7月14日から、新デジタル携帯電話「cdmaOne」サービスを開始すると発表したという記事が掲載された。残るセルラー5社とIDO(日本移動通信)も、99年春までに同サービスを開始する。サービス開始時の人口カバー率も、関西が97%、九州と沖縄が91%と当初から広い範囲で利用できるよう、インフラ整備を整えてから3地区同時にサービスインする方針という。

 予定されるデータ伝送サービスでは14.4kbpsを可能としており、64kbps以上のデータ伝送についても段階的な機能拡張を検討しているので、今後普及が待たれる次世代の移動電話方式:IMT-2000(International Mobile Telecommunications-2000:伝送速度は移動中で384kbps、静止中は2Mbpsが可能)サービス開始への第一歩を踏み出したといえる。



余談その1:EC推進
 日経新聞1面&13面及び日経産業新聞1面&2面には、ネットワーク時代の国際的課題を話し合う「世界情報通信サミット」が10日、東京・大手町の日経ホールで開かれたという記事が掲載された。日米欧アジアの政策責任者や専門家22人が参加し、世界的な経済発展を促すには、インターネットや電子商取引(EC)を推進すべきだと提案したという。特に3分科会のうちEC部門では、基調講演でのマガジナー米大統領上級顧問と関本NEC会長ともに、ネット上ではセキュリティーや知的所有権の問題の他に、国境を越えたECに対する通貨価値や権限といったものの重要性を指摘している。

 これまでインターネットの拡大要因には、距離や時間を短縮できるという利便性があったが、来世紀に向かってはECにおける利便性が原動力となっていくようだ。この会議でEC推進を唱えているのも、そういった意味からかも知れない。

余談その2:PHS10Mbps受信システム
 日経産業新聞5面にはアステル東京が、PHSの32kbpsデータ通信を使って送信すれば、約10Mbpsでの受信が受信機付き携帯PCで可能にするシステムを開発したという記事が掲載された。

 これはマルチメディア移動アクセス推進協議会が3月10日~12日の間、横須賀リサーチパーク(YRP)とNTT横須賀研究開発センターにて行っている、高速無線アクセス基礎実験の一般公開での成果の一部と考えられる。この「マルチメディア移動アクセス(MMAC)」技術は次世代PHSの中核をなすもので、現行のPHSの32kbpsのデータ伝送速度を最大25Mbpsに高め、超高速無線LANへも156Mbpsの伝送速度を目指すとしており、現在加入者数が減少中のPHSを救う技術として期待されている。

余談その3:ワッセナー協約対策
 日経産業新聞10面には、(財)戦略技術貿易情報センター(CISTEC)が7月をメドに、輸出管理情報などを会員企業などに提供するエクストラネットを構築するという記事が掲載された。武器輸出の国際的な管理体制であるワッセナー協約に日本企業が違反しないよう、要注意企業などが検索できるという。

 かつて共産圏向け輸出規制「ココム(COCOM)」が存在したように、紛争当事国等への輸出規制関連法規も、イラク等の時節柄、製品を輸出する日本企業にとって非常に注意すべき点が多くなってきたということだろう。このところの環境管理・監査の国際規格であるISO14000シリーズや品質保証に関連する国際規格であるISO9000シリーズの認定の取得等、輸出や品質管理面での企業に対する負荷が重くなる分、こういったインターネット上でのサービスの充実も望まれそうだ。



休刊連絡:
 明日のNEWS Watchは休刊とさせていただきます。どうかご了承の程を、お願い致します。m(__)m


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