ウォッチャー金丸のNEWS Watch
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1997年7月15日


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DDI(第二電電)とIDO(日本移動通信)の次世代デジタル携帯電話「cdmaOne」展開
日本の情報産業の現状
余談4題:バナーからスポンサー広告へ/格安INT電話/オンライン書籍販売/インターネット中継


[デジタル次世代携帯電話](レベルA'
DDI(第二電電)IDO(日本移動通信)は、次世代デジタル携帯電話「cdmaOne」の全国展開を急ぐ


 日経新聞11面には、DDI(第二電電)とその傘下のセルラー電話8社が、98年春から順次導入する米国方式のデジタル携帯電話「cdmaOne」の商用化を、当初予定導入時期の2000~2001年を、99年春に早めるという記事が掲載されている。提携しているIDO(日本移動通信)を含め、cdmaOneの全国展開が99年中に完了することになるようだ。現行方式の携帯電話が、もう一つ振るわないことが原因らしい。
 3月26日付のDDIのプレスリリース及びIDOのプレスリリースでも、両社は平成10年(1998年)からの導入を予定しており、それに引き続く全国ネット化を急いだことになる。
 また日経産業新聞11面及び日刊工業新聞11面には、DDIが14日、CDMA(Code Division Multiple Access:符号分割多元接続)方式の実験局予備免許を郵政省から取得したという記事も掲載された。これにより、DDIとIDOは協力して、来月から来年3月まで京都府南部から大阪府北東部をエリアとして実験するとしている。
 加えて、同じく日刊工業新聞11面には、JRC(日本無線)も、ワイドバンドCDMA(W-CDMA)の商品開発目的の「CDMAプロジェクトチーム」を設置したという記事まで掲載されている。
 これほど各社が次世代デジタル携帯電話導入を急ぐのは、通話品質が良く、周波数利用効率が高い(チャンネル数が多く取れる)、設備コストが低い(基地局が少なくて済む)、そして高速データ通信に適している(データ伝送速度は、移動中で384kbps静止中は2Mbpsを可能にする)など、これまでのデジタル携帯電話の使い勝手をより良くしてくれるからだ。

 これまでNEWSWatchでは、NTT DoCoMoを中心としたCDMA方式の取組みを取り上げてきた(4月4日及び、4月15日のNEWS Watchを参照)のだが、ここにきて日本の携帯電話関連会社も、実験から実用へと動きが激しくなる兆が見えてきた。
 折しも同じく日刊工業新聞11面には、今日から火曜日と木曜日に連載される「次世代携帯電話--世界標準への途」特集も始まっており、次世代の世界的移動体通信規格「IMT-2000(International Mobile Telecommunications-2000)/FPLMTS(Future Public Land Mobile Telecommunication Systems)」(ITU(国際通信連合)にて検討中)について、業界や各国の思惑など国際規格制定の難しさを解説していく内容になって行くと思われる。こういった規格制定の動きにも大きく影響を与えるCDMA方式の実用実験なだけに、大いに今後の動向が注目される。



[情報産業](レベルA'
日本の情報産業の現状は...


  日経新聞1面には、情報関連機器の国内生産額が96年に17兆3千億円となって自動車を上回り、品目別で初めて首位となったという記事が掲載されている。通産省が14日発表した「97年版・我が国産業の現状」で明らかになったようで、PCや携帯電話などの需要が急速に拡大したのが主因としている。情報関連機器の生産額は前年比で12.7%増え、そのうちPCが前年比41%増えて2兆円となり、ソフト分野の情報サービスでは、同10%増の4兆1千億円となったらしい。
 また、同じく日経新聞1面同3面の解説記事には、日本のベンチャーキャピタル(VC)の投資が、96年度は1.5倍(日本経済新聞社が14日まとめた96年度のVC調査)となっており、資金供給量は増えても、有望企業の争奪戦が激化しているVC過当競争時代に入ったとしている。
 また日経産業新聞1面では、同じ調査の中で、業種別投資額がコンピューター関連向けがサービス関連向けを抜いて首位になったという記事も掲載され、同紙9面の”ベンチャー”面では、その調査結果の詳しい分析も載っている。
 上記記事は、日本の産業構造が明らかに情報分野に傾倒し始めていることを示しており、米国に遅れる事○○年、やっとその方向性がハッキリしてきたといえそうだ。
 この動きを押し進めた原動力に、インターネットを始めとする情報通信の一般家庭などへの普及・拡大があるので、それに合わせて産業構造も投資対象も変ってきていることから、どこまで情報産業が主要産業として伸びていくか、計り知れない部分もある。しかし、今後数年は(一時のバブル期を思わせるような)右肩上がりの成長曲線を描くことは、既にVC等の投資先の厳しい競争が始まていることからも、十分期待できるだろう。




余談その1:
 日経新聞2面には、米大手市場調査会社のジュピター・コミュニケーションズ(Jupiter Communications)社が、スポンサー式のWeb広告が2001年までにインターネット広告市場の1/4を占めるという見通しを明らかにしたという記事が掲載された。
  ジュピターの6月26日のプレスリリースに上記のリポートが一部掲載されており、現在のWeb広告の8割はバナー広告だが、そのシェアは4年後には5割に減少し、代わりにホームページの製作段階から参画するスポンサー式などが増えるということらしい。現在、スポンサー式のネット広告は市場の15 %で、広告収入が多いサイトほどスポンサー式を導入している率が高いという調査結果もでているようだ。ネット広告の認知度が高まるにつれ、スポンサーがコンテンツ提供者と協力してホームページを製作するケースが増えているということらしいが、TVのようにまだ確立されていない広告経路だけに、2人3脚で進んで行くケースの方がより効率的ということなのだろう。

余談その2:
 日刊工業新聞11面には、国際電話などのコールバック業者の千代田産業が、8月にインターネット国際電話サービスの提供を始める方針を決めたという記事が掲載された。同社は既に、東京-大阪間で3分48円のインターネット電話サービスを6月から始めており、今回は米と韓国の2カ国にAPを設け、日米・日韓での国際電話サービスを行い、通話料は日米間で1分25円とKDDに比べ3分で83%の割引率になる設定にするらしい。
 7月11のNEWS Watchでもリムネット国際電話サービスを取り上げており、通話料が日米間で3分90円前後になるとしたが、それ以上の低価格となっている。現在コールバックを行っているその他の業者も順次規制緩和(郵政省のプレスリリースを参照)と供に参入してくると考えられ、もはやニュースともならないくらいに日常サービス化しそうな勢いを感じる。

余談その3:
 日経産業新聞3面及び朝日新聞33面には、大手出版社が相次いでインターネットで書籍の注文を受け付けるサービスを始めるという記事が掲載された。小学館は18日に専用のホームページ「オンライン・ショップ」を、講談社は22日に「Book倶楽部」をそれぞれ開設するようだ。 朝日には、岩波書店も10月からネット販売を予定している記事も掲載されている。
 紀伊国屋書店丸善などが、会員向けにオンライン書籍販売を始めていることから、出版元や書店などの販路、そしてその他の参入組も含めた(米国のような)サービス合戦へとエスカレートしていく可能性を含んでいそうだ。

余談その4:
 日刊工業新聞11面には、神奈川県のローカルTV局のテレビ神奈川インターネット・プロ野球中継が人気を集めているという記事が掲載された。今シーズンからサービスを始めたが、ヒット数は開幕の4月に110万、5月には140万件を突破し、海外20カ国以上からアクセスがあるらしい。
 VDOLiveで横浜ベイスターズ戦が見られるようだが、首都圏の某球団で同様な中継を行ったら、つながらないという苦情だらけになるかも知れない。昨年もインプレス・ラジオで放送したサッカー日本代表の試合などが、海外在留邦人にとっては貴重な放送として評価されており、今後ますます、インターネット・リアルタイム放送の需要が増すだろう。



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