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1998年3月27日


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総合経済対策で情報通信分野が目玉に
NTTサテライトコミュニケーションズ社の衛星インターネットサービス
「GMN-CL」技術仕様公開
余談3題:おしゃべりWebサービス/LMDS不評!?/企画書ネット


 

[政策][インフラストラクチャー](レベルA'
総合経済対策で情報通信分野が目玉に

 今朝の各一般新聞のトップに掲載されている、過去最大の総額16兆円を上回る総合経済対策に関連する記事が、日経新聞1面トップ日刊工業新聞1面にも掲載されている。情報通信や科学技術、環境などの成長分野への投資拡大など、集中的に公共投資を上積みするようだ。
 同じく日経新聞3面や日刊工業新聞12面及び40面には、社会資本への投資として、これまで行ってきた道路や下水道など一般の公共事業とは別に、環境や教育、情報通信など「新たな社会資本整備」に重点を置くとしている。携帯電話などの移動通信の不通地域を減らすための設備投資の他にも、教育現場や病院の光ファイバー網利用を促す通信料金補助などソフト分野でも事業を進めやすくする狙いがあり、公共事業と非公共事業の境が大幅に変わる契機にもなるという。

 情報インフラの整備にも政府が重点を置くようになったということで、FTTHなど光ファイバー網整備が前倒しされる可能性も出てきたと言える。
 また日経新聞5面には、郵政省が26日発表した97年度第3四半期(10~12月期)の通信産業実態調査によると、全産業がマイナス4.4%となる中で、電気通信・放送を合わせた情報通信産業(上位160社)の売上高は3兆6,865億円で、そのうち継続して調査している96社でも前年同期比の伸び率は6.8%と依然高水準の伸びを続けているともある。このことを見ても、成長が望める情報通信産業への投資を景気対策の柱とする根拠があるようだ。
 これまでの公共事業への投資のように万遍なく投資配分するのではなく、情報通信産業の将来も見据えた重点投資を望みたいと思う。




○NTTサテライトコミュニケーションズ社の衛星インターネットサービス
 日経新聞13面&日経産業新聞7面と日刊工業新聞11面、3月26日号INTERNET Watchには、NTTと日本サテライトシステムズ(JSAT)が26日、衛星インターネット事業を手掛ける共同出資会社「NTTサテライトコミュニケーションズ」を4月1日付で設立するという発表を行ったという記事が掲載されている。 衛星インター/イントラネットサービスを展開するということで、利用する衛星もNTTが保有する通信衛星「N-STAR」とJSATの「JCSAT-4」だという。

 通信衛星の「N-STARa」と「N-STARb」が東経132゜136゜に、同じく「JCSAT-4」が東経124゜に静止衛星として浮かんでおり、12゜しか衛星方向が異ならないことから、インターネット通信に必要となる衛星パラボラアンテナは1個で済むのではないかと思われる。
 また、現在デジタル衛星放送のパーフェクTV!で使用している衛星「JCSAT-3」も東経128゜に位置しており、現在の受信パラボラアンテナをそのままこのNTTサテライトコミュニケーションズ社の衛星インター/イントラネットサービスに流用して、マルチチャンネル・デジタル放送とインターネットを同時に楽しむことも可能となろう。
 加えて、N-STARの送信トランスポンダ(送信部分)の一部をNTT社外に提供していくことが郵政省から認可されており、上記の会社の他にも第二種電気通信事業会社の参入があれば、衛星インターネットサービスでも競争原理が働く期待も出来そうだ。


○「GMN-CL」技術仕様公開
 昨日の日経産業新聞5面と日刊工業新聞14面にはNTTが25日から、高速かつ高機能なサービスを低コストで提供するためのコンピュータネットワークアーキテクチャーGMN-CL」(ConnectionLess networking technologies for Global Mega-media Networks)の技術仕様の公開を始めたという記事が掲載された。これはNTTのメガメディア構想(GMN)の一環で、10Mbpsの広帯域のマルチメディアネットワークサービスを月額1万円程度のコストでSOHOを含めたホームユースに提供することを目指しているという。

 具体的には、ATM技術を応用してインターネット・プロトコルのデータ転送系を高速化することと、エンド・トゥ・エンドで高速伝送を可能とするコアネットワークを形成するためのコアプロトコルの開発が主な技術要件となっている。現状のインターネット・ルーターを統合したり高速化することによって、インターネット・バックボーン自体の伝送速度をアップする方法以外にも、このようにネットワーク全体をATM網に入れ換えることで、高速化を図っていこうとする考え方のようだ。
 Web上での情報公開も「NTT R&D」の4月号が発売される4月10日以降には論文本文が掲載されるので、技術的な詳細を知る機会にもなろう。



余談その1:おしゃべりWebサービス
 日経産業新聞2面には、NECがインターネット上でリアルタイムのチャットが可能なシステムを開発し、4月1日からBIGLOBE上で「おしゃべりWeb」サービスとして公開するという記事が掲載された。プログラムはサーバー側のCGIで処理するため、参加者はブラウザーで対象ページにアクセスするだけでよく、IDとパスワードを入力するログイン操作で「現在参加している」状態が他の参加者に通知される仕組みらしい。また知り合いを対象に別途パスワードで会員を限定できる部屋を作れるシステムと、だれでも参加できるオープンな大部屋となる両方のシステムを用意したという。

 チャット初心者にとっては、チャットルームにいきなり飛び込むのは勇気のいることなので、参加人数や参加者の情報など事前に分かれば、少しは入り易くなることだろう。

余談その2:LMDS不評!?
 3月24日号のNEWS Watchで報告した、日本での加入者系無線アクセスシステムが、アメリカではもう一つウケが悪いらしい。
 日刊工業新聞5面の記事では、米政府が競売にかけていた超高周波無線周波数の契約高が、予想の40億ドルを大いに下回る5億7,800万ドルの入札しか入らなかったという。米政府は2月18日から開始したローカル・マルチポート・ディストリビューション・システム(LMDS)用の無線周波数:1.15GHzと150MHzの入札を今月25日に締め切ったのだが、競売参加社は139社に達したものの、入札価格が低くて見込額の20%にも届かなかったらしい。

 米通信業者の将来サービスへの慎重な姿勢が伺われる。また、一般的にアメリカは日本とは異なり、通信ユーザーがローカル(狭い地域)に集中していないことも、もう一つ乗りきれない要因かも知れない。

余談その3:企画書ネット
 日経産業新聞の2面と23面には、PR会社のスーパーピーアールが、インターネットを利用して企画書の制作者と依頼主を仲介する事業を始めたという記事が掲載された。「企画書ネット」というホームページを開設して企画書制作者(プランナー)を登録しておき、企画書作成の依頼者は電子メールで同社に企画書見積もりを依頼すると、それを登録者に転送、返事の見積もりが同社を通じて電子メールで返信されてくるという仕組みのようだ。依頼主は契約料の20%を仲介料として同社に支払うが、制作者を探す手間が省けて、かつ遠隔地からの依頼も簡単になるという。

 依頼主にとっては企画書作成のスピード・アップにつながるサービスだろう。しかしプランナーにとっては、そのスピード・アップが競争を激化させ、ちょっときついサービスとなるかも。


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