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ウォッチャー金丸のNEWS Watch

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1998年4月2日


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戦後初音楽著作権管理団体の認可申請
SUNとIBMの「JavaOS for Business」共同開発
余談5題:EC組織統合/ターゲット・アイ/Socks VPN/無料メールアドレス検索サービス/英語の聞き取り試験ページ/休刊のお知らせ


 

[著作権](レベルA'
戦後初音楽著作権管理団体の認可申請

 日経新聞11面には、音楽アーティストの近田春夫ら5人が設立した「ミュージックコピーライトエージェンシー(MCA)」(資本金1千万円)が来週にも、マルチメディアコンテンツの音楽著作権の管理団体としての認可文化庁戦後初めて申請するという記事が掲載されている。(社)日本音楽著作権協会(JASRAC)が一元管理する現状に風穴を開け、マルチメディア時代にふさわしい著作権管理を目指としており、文化庁は「申請があれば慎重に審査して結論を出す」としている。
 また同面の解説では、1939年に制定された著作権に関する仲介業務法により、音楽や小説、脚本の著作権の権利処理や著作権料回収の代行業務は、文化庁の許認可がないと実施できないとあり、このため著作権者や著作物利用者からビジネス環境の変化への対応が遅れがちとの批判が起こっているという。

 坂本龍一氏も朝日新聞の「論壇」に投稿した「音楽著作権の独占管理改めよ」という論文で、JASRACによる著作件の一元管理の限界を説いている。
 音楽などのコンテンツを販売するパッケージもCDやテープ以外にも多種多様で、またそれを伝える媒体も従来のTVやラジオだけでなく、デジタル衛星放送やインターネットを介するような多様な様式をとるようになってきている。著作権の一元管理など不可能に近いことはもはや明白なことだろう。
 こうしてみるとやっとというべきだが、とにかくデジタル・コンテンツの著作権管理への本格的な試みが、日本でも始まったということだ。



SUNIBM「JavaOS for Business」共同開発
 日経産業新聞7面には、米サン・マイクロシステムズ米IBMが、Javaを使ったネットワークコンピューター(NC)向けの新OS「JavaOS for Business(企業向けJavaOS)」を共同開発するという記事が掲載されている。新OSは98年中ごろまでに商品化し、IBMは99年初めに出荷する同社のNC「ネットワーク・ステーション」に搭載する計画で、サンも1年後をメドに新OS搭載の「JavaStation」を発売するという。 また、共同で他のNCメーカーへの採用も働き掛けるようだ。

 米オラクルなどは、すでにJavaOSをライセンス供与されて、同社NCに搭載した機器展開が行われている。そこにPCの雄:IBMが加われば、これまで一部の企業ユースにしか使えないというマイナーなイメージがあったNCが、汎用性を持った機器へと転身する期待も持てそうだ。



余談その1:EC組織統合
 日経産業新聞2面には、通産省が企業間電子商取引(EC)の普及を目的に実証実験を重ねてきた2つの組織:日本情報処理開発協会STEP推進センター(JSTEP)と3月末でいったん解散した生産・調達・運用支援統合情報システム技術研究組合(NCALS)を統合するという記事が掲載された。統合により研究や実験を効率化し、これまで蓄積してきたノウハウを実用化するとしており、統合後の新組織は7月に発足するという。NCALSはNECやNTTデータ通信など大手企業約200社が参加しており、自動車、鉄鋼設備CALS、プラントなど業種ごとに11のプロジェクトを組み、CALSネットワークの運用実験をはじめ企業間電子商取引の実証作業を進めてきた。JSTEPはIHIや日立製作所など25社が電子商取引の基礎となるデータ交換技術標準化の実験を重ねてきたという。

 現在進められている数多くのECの実験プロジェクトを見ると、各分野毎の取り組みは盛んのようではある。しかし、金や商品の流れをベースとするECだけに、もっと全体を見渡した統合なり協調を考えた取り組みがないと、シームレスに使いやすいECの実現は難しいのではないかと感じる。

余談その2:ターゲット・アイ
 日経産業新聞2面にはNTTソフトウェアが、電話やFAXとインターネットを結ぶソフトターゲット・アイ」(50万円)を発売したという記事が掲載された。同ソフトを導入すれば、PCを使わずにインターネットユーザーである消費者などから電話やFAXを通じて、情報発信元である自営業者などに、音声や文字でそれぞれ質問や注文が伝わる仕組みという。

 「インターネット・ユーザーと情報提供者のコミュニケーションをとることができる」ということで、ネットに接続していない商店主などにとっては、一つの情報販路となろう。だが、インターネットの即応性と双方向性という意味で、ネチズンの興味を引けるのだろうか。

余談その3:Socks VPN
 日経産業新聞2面には、NECが1日から、接続方法を問わない企業向けイントラネット-インターネット接続サービス「Socks VPN」(初期費用:50万円、月額基本料:30万円~)を始めたという記事が掲載された。企業のイントラネットへインターネットから接続する場合に、BIGLOBE以外のプロバイダーなどから、接続できるという。公開鍵暗号を使ったユーザー認証、通信データの暗号化、個人別の認証設定機能を備えており、外部からの接続でも安全だとしている。

 社外からのイントラネットへの接続要求は、モバイル派従業員が増えるにつれて増大しており、SEなどにとっても接続のセキュリティー問題は頭が痛いところだろう。そうなると、4月1日号でお伝えしたNEWS Watchでのワンタイムパスワードを使ったユーザー認証とともに、このVPNも需要が増えてくることだろう。

余談その4:無料メールアドレス検索サービス
 日経産業新聞22面には、インターネット名簿検索サービス大手の米フーホエアが電子メールサービスのフォーディーコミュニケーションズと提携し、無料のメールアドレス検索サービスを始めたという記事が掲載された。検索項目をローマ字(半角英字)で入力すれば、フーホエアの保有するアドレス約1,600万件をホームページから検索できるという。

 電話帳のようにメールアドレスが検索できるのはありがたいが、自分のアドレスが勝手に登録されてしまうのも、問題があると感じるのだが(ちなみに、私のアドレスもすでに登録済みで、何とも複雑な気分である)。

余談その5:英語の聞き取り試験ページ
 日経新聞38面と日経産業新聞5面には、官民共同で設立したATR人間情報通信研究所が1日、多くの日本人にとって聞き分けが難しいとされる英語の「r」と「l」の聞き取り試験に参加できるホームページを開設したという記事が掲載された。米国英語を母国語とする4人の話者が発音した106の単語を聞いて、その単 語に含まれるのがrかlかをPCに入力してネットで回答すると、参加者は全体の中の自分の成績が即座に分かり、聞き取り能力の向上が果たせるらしい。将来的にはインターネット上で多彩な発音訓練ができるようにもしたいという。

 「英語リスニング科学的上達法」の公開実験への参加者募集をネット使って行うことにより、調査母体の数を増やして調査結果の信頼性を上げることも目指しているのだろう。
 そんなことはさておいても、楽しみながら試験を受けられる試みとも言えそうだ(ナショナルのカラーテレビの名称:「Quintricks」と「クイントリックス」を聞き分ける以上に難しい、と言って分るあなたの年齢は...(^_^;))。

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 明日はINTERNET Watch Web版の休刊日に伴い、NEWS Watchも休刊とさせていただきます。どうかご了承の程をお願い致します。m(__)m


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