1997年3月3日版
HEADLINE 3 articles
●気球でインターネット
●東芝のAWL技術
●ジー・サーチの行政情報サービス
[インフラストラクチャ](レベルA)
●気球を使ってインターネットを
日経産業新聞1面トップに、米スカイステーション・インターナショナルの気球を使ったインターネット・インフラ構想の記事が掲載され、「サイバー企画・第6部」の1回目も飾りました。
スカイステーション社の解説図を見ると分るように、都市部の上空約20kmに気球を静止させ、地上での半径約450kmに渡って、携帯端末なら伝送速度が64kbps以上(バースト(瞬時)的には2.048Mbpsまで、ダウンリンクとして)の通信が、固定の端末(例えばパラボラなどを使用)なら155Mbpsまでの通信速度が可能になるという。また、インターナショナルの名に恥じず、イタリアやオーストラリア、インドなど米国以外にも6ヶ国にジョイント・ベンチャー企業を設立しているようだ。いかにもアメリカ(大陸)的な発想ともいえます。
静止気球を使うということで、ヘリコプターや飛行機の用に毎回飛んでいる必要は無く、またロケットでの打ち上げなどを必要とする、米マイクロソフトがバックアップするテレデシック社の移動衛星によるインターネット接続計画や、現在アメリカでサービス・インしている衛星インターネット接続サービス「DirecPC」の後継サービスともいえる、静止衛星を使った「SPACEWAY」計画に比べても、通信インフラ全体としての経費は少なくて済むことになります。(両衛星システムについては、私の[ウォッチャー's
レポート]もご参照下さい)
しかし、現在あまり使用されていない47GHz帯という周波数を使うということで、降雨や降雪などに電波の波長の上で弱い面があることや、対流の少ない成層圏に気球を置くとはいえ、その制御技術は確立されてはいないでしょうから、これから技術的に解決しなければならないことは多いと思われます。
1999年には最初の配置展開を始め、少なくとも250個の気球を上げることを目指すようなので、21世紀には「晴れた日には、気球が見える」なんてことにもなりかねないでしょうか。(^_^;)
[移動通信](レベルA)
●東芝の「アシンメトリック・ワイヤレス・リンク」技術
日経産業新聞1面に、東芝の伝送速度10Mbpsでの携帯端末に通信できる無線システム記事が掲載されました。PHSのような携帯端末に対して、非対称(Asymmetric)な伝送速度(上り9.6~32kbps、下り10Mbps)の無線(Wireless)回線(Link)を使う方式なので、「AWL」というようです。郵政省や通信総合研究所が進めている、高速移動体通信の研究lのような、マイクロ波を使った広域のデータ通信とはまた違った方向性を持っているといえます。
というのは、現在の携帯電話やPHSなどが使用している周波数(800MHz~1.5GHz帯)では、高圧縮したり多値デジタル方式にしてもエラーの率が上がるだけなので、到底10Mbpsなどは実現できないため、もっと周波数の高いところ(10~30GHz帯の準ミリ波)を使うようです。そうなると通信距離は、極端な場合では送信アンテナから数十メートルくらいしかない場合もあるので、余程人通りの多い場所でデータ携帯端末の利用率の高いところでなければサービスする価値が無いことにはなります。しかし、例えばホテルのロビーや喫茶店の中などに「高速マルチメディア・データ・エリア」の表示があれば、そこにノート・パソコンやPDAを持ったビジネスマンが集まってくるサービスともなる可能性も考えられます。
ビジネスマンが群がってみんなひとところで、キーボードを叩いている姿は、それなりに不気味な光景ではありますが...
[サービス][行政](レベルA')
●ジー・サーチの行政情報サービス
日経産業新聞3面に、ジー・サーチによる日本の行政情報のインターネット提供の記事が掲載されました。ジー・サーチが行っているデータベース・サービスの一環のようで、有料でのサービスになるようです。
特に、アメリカでの情報公開サービスの充実ぶりは衆知のとおりで、「電子情報公開法」(INTERNET
Watch記事参照)も成立したほどに、一般への公開が進んでいます。したがって、上記のようなサービスも、個人でのアクセスが可能になり、データベース業者のサービス自体も、よりきめ細かいものが可能になるのでしょう。
日本でも政府機関ではないですが、日本銀行が「日銀短観」などを即日公開したサービス(INTERNET
Watch記事参照)などは、情報収集の効率が上がったと各企業や投資家などには非常に好評で、アクセスも公表日などは大変なものになるようです。
上記の様なデータベース業者の有料サービスばかりでなく、各省庁や公共団体のデータ公開により、より使いやすい行政情報サービスの実現を願いたいものです。
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