1997年3月7日版
HEADLINE 6 articles
●通産省の電子商取引ルール策定着手
●米IBMの汎用コンピューターのUNIX/WindowsNT対応
●仏アルカテルの衛星データ通信システム「スカイブリッジ」
○マスターカードがUCカードのEC実証実験を公認
○NTTのPHSとGSM一体型携帯電話
○バーチャル水着フェアを「キュリオシティ」上で
[EC][政策](レベルA)
●通産省の電子商取引ガイドライン策定着手
日経新聞5面には、通産省が電子商取引の統一ルール策定に向けて動き出した記事が掲載されている。
95年末に、通産省が中心となったプロジェクト「エレクトロニック・コマース推進事業」の内容(INTERNET
Watch記事参照)が公表されてからほぼ1年以上がたった今、十数のプロジェクトがEC関連で進められており、また民間企業側も「電子商取引実証推進協議会」(EC協議会)を昨年1月に発足(INTERNET
Watch記事参照)させて、各企業共同で実証実験を行い、そのノウハウを積み上げつつある。ここにきて、その方式や規格にバラツキが発生すると今後のEC発展の疎外要因ともなるので、通産省も今年がそのルールづくりの好機と捕らえたようだ。
ECの基準策定には、来世紀の日本の経済状況をも左右しかねないテーマだけに、昨日のデジカメ用語統一(NEWS
Watch記事参照)とは比べものにならないほどの、慎重かつ大胆な先読みを行っていただきたいと思う。
[コンピュータ][ソフトウェア](レベルA')
●米IBMは、汎用コンピューターでUNIXとWindowsNTのアプリケーションを動作させることに
日経産業新聞1面トップには、米IBMが汎用コンピューターでUNIXとWindowsNTのアプリケーションを動作出来る技術開発を始める記事が掲載された。
時の流れといってしまえばそれまでだが、主にUNIX機を中心としたワークステーションのダウンサイジングの波と、Wintel陣営からのWindowsNTを搭載したパソコン・サーバー機などからの攻勢に、さすがの巨人も膝を屈した形となってしまったようだ。巨大だが、ばかっ速いオープン・システム・サーバーが登場してくることにはなる。
昨年が、コンピューターの祖である「ENIAC」の生誕50周年記念の年だったことも考え合わせてみると、「汎用機」という言葉自体もそろそろ博物館行きなのかもしれない。
[衛星データ通信][開発](レベルA')
●仏アルカテルの衛星データ通信システム「スカイブリッジ」
日経産業新聞6面には、フランスの総合電機メーカーで衛星関連の部品も作っているアルカテル・アルストム社の移動体衛星を使ったデータ通信網の記事が掲載された。米FCCに認可申請したようだ。
アルカテルの2月28日付のプレスリリースに掲載されているニュースで、"SKYBRIDGE"というシステム名称で、35億ドルかけて地球の周りに64機の低軌道移動衛星を打ち上げる計画がだされている。2001年のサービスインを目指すらしいが、ここでも比較されるのが840個衛星を打ち上げる、米マイクロソフトがバックアップするテレデシック計画(ウォッチャー'sレポート参照)である。確かに64個なら全体の経費もテレデシックより少なくて済む(衛星のサイズや機能などが異なるので、単純に64/840の経費割合とはいえない)だろうが、アルカテル自体が衛星全体を作ったこともないことから、まず構想ありきで申請を先に済まそうというスタンスと考えられる。
米モトローラが推進する衛星移動体電話システム「イリジウム」などもそうであったように、今回も衛星業界で良く見かける、構想をまず「打ち上げ」ておいてから周りの状況を見てパートナーなどを集める(アメリカ的な)やり方の一つともいえる。
[EC][カード会社](レベルB)
○マスターカードがUCカードのEC実証実験を公認
日経産業新聞3面と日刊工業新聞7面には、マスターカード・インターナショナルがUCカードなどのECプロジェクトを公認した記事が掲載された。
既に昨年6月末からスタートしているUCカードのECプロジェクト(INTERNET
Watch記事参照)であり、電子決済機能を付加した「UC
CYBERNET CARD」を使って「SET」プロトコルなどを実証しているのだが、マスターに目を付けられ、マスター陣営に取り込まれようとしているようだ。
ビザ・インターナショナルとのECでのデファクト争いに関する、マスターの日本での多数派工作の一つでもある。
[携帯電話](レベルB)
○NTTが、PHSとGSMの一体型携帯電話開発
日刊工業新聞8面と、日経新聞13面及び日経産業新聞9面に、NTTがPHSと、主にヨーロッパやアジア地区で普及しているデジタル携帯電話の規格「GSM」の両方を使える一体型携帯電話を開発した記事が掲載された。
NTTのプレスリリースにもその発表がそのうち掲載されるであろうが、NTTとしては今後PHSシステムを売り込みたい東南アジア諸国に対して、既に普及しているGSM携帯電話の補完用として考えていると思われる。もしこの一体型携帯電話を東南アジアで買えば、同じ方式の欧州や、PHS機として日本でも使えるようになる可能性も高いのだろう。(その機器の認証問題が解決したらではあるが)
ただし、データ伝送機器としては、GSMは現在9.6kbpsまでしかサポートしておらず、今後32kbpsのPHSとの整合性をどうとっていくかも注目される。
[通販][FASHION][FUN?](レベル?)
○バーチャル水着フェアを「キュリオシティ」上で
日経新聞17面に、東レと三越、三井物産の3社が共同開催するバーチャル「97年新作水着フェア」の記事が掲載されている。三越でのリアル水着フェアと連携して、CD-ROMから仮想モールの「キュリオシティ」につなぐオンライン通販も可能なようだ。
女性ユーザーが実際の水着ショーを見て、そこでキュリオシティのCD-ROMを買い、追体験でオンライン通販してもらおうという意図は良く分るし、若い女性のネット進出を促進してくれそうなので喜ばしいことではある。しかし、ここでも男性ユーザーからのアクセス&通販という(良からぬ?)利用法の方が多くはなりはしないかと危惧してしまうのは私だけだろうか?(そんな想像を起こさせる新聞写真だったので...(^_^;)
連絡欄:
来週(3/10~)1週間ほど、NEWS Watchは休刊とさせていただきます。何卒、ご了承下さいm(__)m
(その代わりといってはなんですが、私の「Internet
World Spring'97」の、現地からのリポートをお楽しみください)
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