ウォッチャー金丸のNEWS Watch
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1997年5月6日版


HEADLINE 3 articles

松下電産の英デジタルテレビ放送+インターネット接続事業への参入
郵政省の電子マネー実験計画
ハッチシステムとACARANAVIのローミング・サービス
余談1題:イラク大統領もホームページ開設!?


[DTV][提携](レベルA')
松下電産と英衛星放送会社のBスカイB(British SkyBroadcasting)英ブリティッシュテレコム(BT)などが共同で、英国でのデジタルテレビ放送+インターネット接続事業に乗り出す


   5日の日経新聞1面には、松下がBスカイBと英BTなどと共同で、英国でのデジタルテレビ放送とインターネット接続事業に乗り出す記事が掲載されている。同紙13面の解説には、BスカイBが今週にも200チャンネル規模で始めるデジタル衛星放送に使用する「セット・トップ・ボックス」が、インターネット接続も可能となる記載もあり、今週にも正式な詳細発表があるようだ。
 将来的に、今年の秋から放送開始予定の日本の衛星放送:JスカイBや、場合によってはディレクTVなどへのサービスも想定した参入と見て間違いはないだろう。富士通が4月3日からサービス販売を開始(企業向けに7月からスタート予定)した、衛星を使・チた高速通信サービスの「富士通衛星情報サービス」(リリースがあり、4月6日のinternet Watch記事参照)などでも、米ヒューズ社の「DirecPC」方式を採用しており、こういったインターネット・データサービスに松下も虎視眈眈と狙いを定めているようだ。
 ただし、既に米で開始されている衛星インターネット接続サービス「DirecPC」の普及率がいま一つ伸びていないことや、日本でも既にCS衛星放送が始まっている「PerfecTV!」を使ったインターネット接続サービスがなかなか始まらないことからも分るように、CS衛星放送を見る層が必ずしもインターネット接続を必要としていないことも示されている。高速接続(プロバイダーから見て、伝送速度400kbps)を売り物にしていても、その必要性が低いユーザーには無用の長物と化してしまうからだ。
 あくまでデジタル衛星TV放送の付加サービス的なものとしてインターネット接続サービスがあるとしている様では、CS衛星でのTV衛星放送のような予想外(PerfecTV!には失礼だが)な普及の伸びは望めないのではないだろうか。やはり、価格体系を見直して通信料金をもっと安価にするとか、衛星からのデータ伝送が片方向だけであるような技術的課題の解決が急務かと思われる。


 
[EC][実験](レベルA')
郵政省が今年度から電子マネー実験を計画


 5日の日経新聞5面には、郵政省が今年度から電子マネー実験を3年計画で行うとした記事が掲載された。同日の朝日新聞2面にも同様の記事が掲載されており、NTT日本銀行の研究機関が共同開発した方式を採用して、サイバービジネス協議会を通して10月から実施するようだ。
 英「モンデックス」や、オランダのDigiCash社「ecash」が方式のデファクト競争で世界的にも先んじており、日本でも野村総研(NRI)さくら銀行が共同で97年6月からecashを使った電子現金の実験を行なう(5月1日のinternetWatch記事参照)ことなどからも、「今年10月から3年計画で」などと、悠長に構えていて大丈夫なのかと端から見ていても心配になる。その実験も日本独自の方式にこだわるようなので、ますます世界とのズレが生じないかという懸念も大きくなろう。
 日本の大手銀行やカード会社などは、「デジタル・キャッシュ」についても、とにかく使える技術を実証していく(国内外は当然問わない)方向性を見せているので、このあたりで方式などについての産学官の擦り合わせが無ければ、労多くして益少ない実験ともなりかねないだろう。



[検索サービス](レベルB)
○数字入力URL検索の
「ハッチシステム」「ACARANAVI」のローミング・サービス


 5日の日経新聞16面には、ネットワーク関連のディアンドアイシステムズ(D&I)とリクルートが、数字入力でホームページに接続できるサービスを相互乗り入れすることで合意した記事が掲載された。D&Iの「ハッチシステム」とリクルートの「ACARANAVI」という、両者とも数字入力でホームページへリンク出来るという同様な仕様だったために、この様な相互乗入れもスムーズにいくのだろう。
 検索サービスの「YAHOO!JAPAN」にしても、「ACARANAVI」や「NETPLAZA」などとサービス相互乗入れを果たしており、お互いにユーザーを奪い合う時代から各々の強いところでの提携を行っていく時代へというのが、ディレクトリ・サービス界のトレンドのようだ。こうなってきたのは、ユーザー争奪戦のうまみが少ないことに各社が気付いた為であり、それだけユーザーのパイ(総量)がまだまだ少ない現状を映しているとも言え、ディレクトリ・サービスにおける競争原理が働かないような、ある意味で狭い市場になりつつあるのではと危惧される。
 リクルート社がプロバイダー事業から7月をめどに撤退(4月11日のinternetWatchダイジェスト記事より抜粋)したのも、コンテンツ事業に専念するためばかりでなく、市場動向に敏感な同社が素早い利益判断を下した結果なのではとも思えてしまう。



余談:
 5日の日経新聞9面には、イラクのフセイン大統領のホームページが開設された記事が掲載されている。4月28日の60歳の誕生日を機に、イラク国外で開設されたようだ。
 残念ながらURL表示も無く、捜しきれなかったのだが、経済制裁下では貴重な情報源の一つにもなるであろうか。(こういった平和的な手法による主張なら、大歓迎なのだが...)

  編集部注記:編集部で調べたフセイン大統領のホームページ



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