ウォッチャー金丸のNEWS Watch
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1997年5月8日版


HEADLINE 3 articles

プロバイダー相互接続新会社「日本インターネットエクスチェンジ(仮称)」の設立
携帯電話用超小型基地局「マイクロセル」の開発
研究社のオンライン辞書サービスが有料化
余談2題:PHSインターネット接続アンケート結果/コマースサーバーサービス


[相互接続][新会社](レベルA')
KDDはプロバイダー相互接続会社「日本インターネットエクスチェンジ(仮称)」を設立へ


 日経新聞11面には、KDDが6月下旬に、プロバイダーの相互接続を業務とする新会社「日本インターネットエクスチェンジ(仮称)」を設立する記事が掲載されている。
 4月21日のNEWSWatchにおいて、東京通信ネットワーク(TTNet)など地域系新電電9社が超高速インターネットサービス会社「メディアエクスチェンジ」を設立する記事を取り上げたが、今度はKDDがNTTや地域系新電電が相互接続点を運営することに対抗する意味も含めて、こういった相互接続事業を本格的に商売にしようという意向が伺える。
 インターネット・ユーザーにとっては回線混雑の解消になるだけに、相互接続点が増えるば増えるほど喜ばしいことなのだが、こういった従来の電話などの通信インフラを持っているキャリアと呼ばれる通信会社が乗り出してくるということは、通信料金の見直しも含めたお金の話しが出てくるようになってくるだろう。この接続点を経由したから通信料金はいくらになる、などという課金の仕方をするほどナンセンスなことは起こらないとは思うが、キャリア達もインターネット通信量の増加に手をこまねいているばかりではなく、こういった新事業を打ち出して新たな収益源としてくるであろう。
 昨日、新聞記事になったIIJとAIH及びEUnetのプロバイダー同士による相互接続(NEWSWatch記事参照)サービスの拡大を牽制していく意味も含めて、プロバイダーを取り込もうとするメガ・キャリアの動きも相当に激しくなりそうだ。
(この様に相互接続点が増えてくると、インターネット・マガジンの巻末にある、プロバイダー相関図の接続線同士が幾重にも重なって、マップ作成者が増々大変になるのは必定だ。しかし、その接続線でマップが真っ黒になったときが、インターネット・ユーザーにとっての理想の通信状態といえるかも知れない。(その前にマップ作成者がダウンしてしまうだろうが...(^_^;)



[携帯電話][モバイル・コンピューティング](レベルA')
●ツーカーセルラー東京と
日本モトローラは、携帯電話用超小型基地局「マイクロセル」を開発


 日経産業新聞10面には、ツーカーセルラー東京が日本モトローラと共同で、ビルや地下街など局地的な通信需要に対応する超小型基地局「マイクロセル」を開発した記事が掲載された。「マイクロセル」はスーツケース大で、普通の基地局より1/100程度まで小型化されており、最大1800人の通話処理が出来、半径500mからほぼ0mまで通話エリアを縮小することも可能のようだ。
 これまでPHSが得意としていた、地下街やビルの谷間などの通話に、携帯電話も使用が可能となってくるため、ますますサービス競合が激しくなりそうだ。データ通信に利用する場合にも、市街地は32kbpsのPHSを使い、移動していたり地方で使う場合は携帯電話でという住み分けも、崩れていくだろう。
 半径500m内で1800人の通話を処理できるようだが、28.8kbpsの伝送速度を実現した場合は、通話利用者も1/3の600人が処理可能となるだろうが、それでもPHSの一基地局が処理出来る32kbpsデータ通信利用者数を遥かに凌ぐことから、業務用のデータ通信利用の場合などでは、たとえ通信料金が割高でも携帯電話を使うケースが増えてくるのではないだろうか。



[サービス][辞書](レベルB)
研究社のオンライン辞書サービスが有料化、他


 日刊工業新聞9面には、研究社の「オンライン・ディクショナリー」サービスが6月から有料化になる記事が掲載された。昨年11月8日のinternet Watch集中企画「便利なオンライン辞書サイト」にも、外国語辞書としてこのサービスが紹介されているが、有料化後は「新英和・和英中辞典」「リーダーズ+プラス」及び「新編英和活用大辞典」の各辞書が会員固定料金制で使用できるようになるらしい。多分、Watchや他メディアや口コミなどで、タダで使える良い英和・和英辞書があるという情報が伝わったが為に、利用率が上がったことから自信をつけて、有料化に踏み切ったのであろう。
 また、この記事の隣には、イーストがこの「オンライン・ディクショナリー」と連携した電子辞書「インターネットDTONIC新英和・和英+岩波国語」を発売する記事も掲載されている。4月25日のイーストのリリースによれば、5月15日より第一弾の「インターネットDTONIC広辞苑」とともに第二弾として発売するもので、DTONIC新英和には研究社の有料「オンライン・ディクショナリー」サービスの6ヶ月分の使用権が既に付いているようだ。
 ここまで用意周到に有料化を進められては、反発のしようもないが、これまで便利に使えていただけに、痛い有料化となってしまったようだ。使用頻度が上がったのなら、広告でも入れて収入をまかない、利用については無料のままにしておいて欲しいと願うのは虫の良い話しであろうか...
(今後は、同様な便利サイトの有料化が進みそうで、私個人的にも困る状況が出てきそうだ)



余談その1:
 日刊工業新聞11面には、ABCマーケティング(ABCM)がインターネット・ユーザーに対する、PHSを利用したインターネット接続に関するアンケートの結果を報告したという記事が掲載さた。それによると、PHSを利用したインターネット接続サービスに約70%が関心があるが、今後利用したい意向の人は約25%に留まっているらしい。
 上述の携帯電話の動向やPIAFSとα-PHSの互換性の問題も含めて、様子見の人が多いわけだが、PHSが出たての頃と同じで、普及し始めたらどっと行きそうな気配ではある。


余談その2:
 日経産業新聞3面には、インターネット関連事業を手がけるピーネット(徳島県石井町、七条光博代表)が、クレジットカード決済が可能なサーバーのレンタル「コマースサーバーサービス」を開始した記事が掲載さた。米国法人のピーネット(カリフォルニア州、七条光博社長)がコマーシャルアカウント(決済用口座)を獲得し、大手ネットに比べ半額以下の利用料金に設定したようだ。
 この七条光博氏は何を隠そう、私と同じウォッチャー仲間で、これまでも公開前のNEWSWatchのネタに何度かなっていただいている。ウォッチャーとして自ら記事になる活動をされていることに、ここで改めて敬意を表したい。<m(__)m>



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