ウォッチャー金丸のNEWS Watch
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1997年5月29日版


HEADLINE 3 articles

アクセスと日本ベリサインの技術提携
郵政省の相互接続「IX研究会」初会合
JEIDAの2000年問題対策計画
余談5題:太っ腹オラクル/片手キーカード/ネットワーク型学習支援システム/KDD &KCOM/ネットリーダー


[電子認証][ソフト](レベルA')
●アクセスと
日本ベリサインの技術提携


 日経新聞17面には、インターネット接続ソフトのアクセスと日本ベリサインが技術提携し、アクセスがベリサインから認証技術を導入して家電や携帯情報端末でも利用できる規模の小さな認証ソフトを開発するという記事が掲載されている。RSA準拠の暗号化と解読用ソフトを開発し、認証サービスに対応させるようだ。
 アクセスはワープロやTVなどでも使えるインターネット接続ソフトの開発実績もあり、この接続ソフトに電子認証機能が入れば、オンライン・ショッピングなどが家電機器経由で行えるようになり、ECも一気に普及する可能性があることは容易に察しがつく。
 電子認証業者も他に、サイバートラストや、日立NEC富士通の共同認証会社(4月28日のNEWSWatch記事参照)、三菱商事JapanNetなど、数多くサービスインしてきている事からも、日本ベリサインがPC経由ばかりでなく、新しい媒体を求めて新市場で先行したいという意図もあるのだろう。
 PDAやTVを使って一般消費者がECを簡単に利用できるようになる事が、電子認証サービス自体のコストを押し下げ、更成る普及を押し進める結果となるような、好循環になることを期待したい。


[相互接続][行政](レベルA')
●郵政省の相互接続事業の研究会:「IX研究会」


 日経産業新聞2面には、郵政省が28日、プロバイダーの相互接続事業に関する研究会の初会合を開催したという記事が掲載されている。研究会の名称は「IX研究会」で、座長には村井・慶大教授が就任、6月末までに3回程度の会合を開催し、接続事業の課題などについて検討結果をまとめる予定らしい。
 村井教授は、27日に設立された「インターネットワーキング技術・コンソーシアム」の代表にも就任(5月28日のNEWSWatch参照)しており、相互接続事業の当事者として、この研究会を取りまとめるには最適任者と言えるだろう。
 昨日のNEWSWatchでも書いている、国内の地域自治体やプロバイダー、通信業者同士による相互接続が相次いで施行・計画される事や、海外とのローミング・サービスを含めた相互接続(5月7日のNEWSWatch参照)も計画される事態を迎えるに当たって、行政側である郵政省も傍観しているだけでは済まなくなったというのが実情だろう。いわば、民が官を動かしたという部分もあるのだろう。
 それだけに、相互接続の今後の在り方がインターネットを含めた電気通信行政全般にも関わる重要課題になりつつあるという認識も高まっているとも言え、NTTKDD富士通日立などのインターネットばかりでなく通信全般に関連する企業などが、この研究会に参加していることも頷ける。この研究会の検討結果如何では、インターネットがその他の通信事業を包含して行く、懐の深い(使える)伝送網にもなれば、非常にクローズで狭苦しく、ある特定企業だけがスムーズに情報伝送が出来るような通信網にもなり得るだけに、インターネットの将来性を見越した報告が出てくるかどうか、注目したい。


[2000年問題](レベルA')
日本電子工業振興協会(JEIDA)の97年度事業計画の発表


 日経産業新聞9面には、日本電子工業振興協会(電子協、JEIDA)が28日、コンピューターの西暦2000年問題対策やネットワークコンピューター(NC)やモバイルコンピューターの統計開始、業界団体同士の連携などを柱とする97年度の事業計画を発表したという記事が掲載されている。従来の「データショウ」を発展させて、関連業界団体の見本市とも一体化させた「COM JAPAN1997」も11月に開催するようだ。
 このところポツポツと新聞でも話題になっている「2000年問題」だが、Yahoo!JAPANディレクトリが出来ている程には、一般に周知されていないのが現実だろう。日本IBMの「西暦2000年対応」日立の西暦2000年対応など、各コンピューター・メーカーが個別に警告したりソフト変更サービスを告知したりしてはいるが、それに呼応して対策済となっている企業や組織などはまだまだ数少ないと思われ、その問題の存在すら知らないユーザーも居るのではないだろうか。(社)日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)による「2000年問題検討協議会」や、(社)情報サービス産業協会(JISA)「西暦2000年問題」対応など、各情報関連財団も各々に動いてはいるが、業界内のみの運動で、公報の度合が今一つ少ないように感じられる。
 JEIDAも西暦2000年問題に関するユーザーへの注意喚起活動を始めるようだが、主催する「COM JAPAN1997」でも、その予想される被害の大きさと対策方法などを大々的にテーマとするぐらいの取組みが必要ではないだろうか。(既に、公報時期としては遅すぎるという話しもある)
 この問題は時限爆弾そのものなので、いくら臭いものに蓋をしておいても爆発する日は決まっており、対策が後手に回れば回るほど、人手が不足し費用もかかる厄介者になるのは明らかなので、今更この問題の原因の愚かさを嘆くより、対策へと先に動いた方が、また次の世紀を先取りできることになろう。


余談その1:
 日経産業新聞6面には、オラクルが、インターネット経由で希望者に同社のソフトを提供し、60日間の無料使用を可能にするという記事が掲載された。1カ月後をメドにアプリケーションソフトを除いたほぼ全ての製品をWebに上げて、「Oracle8」も6月下旬の発売と同時にネットで配布、60日を過ぎても無料で使い続けることができる設定にするそうだ。
 公開されるソフトを見てみないと何とも言えないが、いくら販促活動の為だからといっても、ここまで太っ腹になるとは驚きだ。某社ではまずこんなことはしないだろうが。

余談その2:PCWatch記事参照)
 日刊工業新聞13面と日経産業新聞9面には、富士通研究所が、片手でカスタネットを打つようにキーを入力できるキーボード「片手キーカード」の日本語版を開発したという記事が掲載されている。英語版は昨年開発済みで、年内には試験的に評価版を出荷するが、製品化の時期や価格は未定らしい。
 日刊工業新聞1面とWeb上にも写真が掲載されているので参照していただきたいが、PCを使ったプレゼンや外出先でノートPCに接続して使うのに便利で、身体障害者のPC利用の拡大にもつながるということらしい。
 健常者も含めて早期の商品化を願う方は多いことだろう。

余談その3:
 日刊工業新聞12面には、クラフト電子がPC同士を専用ケーブルで結ぶネットワーク型学習支援システム「アイデオ(IDEO)」を発売した記事が掲載された。LAN構築に比べて、約1/3の費用でネットワーク型の集合教育を可能にするらしい。
 Windows95をはじめ、数種類のOSに対応するようだが、果たしてTCP/IPに対応しているかが心配だ。これからの教育用PCは、LANもインターネットも使えることが当たり前の状況になってくることから、いくら価格が1/3だからといっても、クローズドのままでは立ち行かなくなるだろう。それもこれも、米国のように教育機関に対して、安くインフラなりPCなりを提供する予算が、日本では無いという所に根本的な問題があるのだが。

余談その4:
 日経新聞11面には、英通信コンサルティングのタリフィカ社の調査で、2001年にはKDDの売り上げの1割以上がインターネットに食われるという記事が掲載された。既存の国際電話サービスへの影響はインターネット電話、同FAX、Eメールの3種類が想定され、今年の売り上げでは減収分は1.3%だが、99年には3.8%に拡大、2001年には売上高の11.6%がインターネットに奪われると予想しているようだ。
 しかし日経産業新聞3面に掲載されている、KDDの子会社のKDDコミュニケーションズ(KCOM)の山本社長の”チャット”コメントにおいては、「海外からのインターネット・ローミング・サービスは快適」とか「国際電話より安いインターネットが全世界で簡単に使えれば、便利」などと申されている。これを親元が見たとしたら...(^_^;)

余談その5:
 日経産業新聞2面には、シャープが商品開発にインターネットを活用する記事が掲載された。同社のホームページにアクセスするユーザーの一部を会員組織「ネットリーダー・メンバーシップ・システム」にまとめ、商品のマーケティングや討論会を開催し、商品開発や販促活動に生かすという事らしい。
 既にネットリーダーの募集は始まっており、Web上からも登録可能となっている。
 先の見えない時代(特にインターネットでは)に、ユーザーからの意見をダイレクトに吸い上げる考えは良いのだが、ネチズンはGive&Takeが原則であるから、それ相応の見返りがなければすぐに退散してしまうので注意が必要だろう。(Watcherのみならず、読者の皆様もそうなのだろうが...(^_^;)



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