ウォッチャー金丸のNEWS Watch
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1997年6月26日版


HEADLINE 3 articles

オプトロムのCPUなどを内蔵した光ディスク「インテリジェントディスク」開発
コンピュータ・テレフォニーとインターネット電話の関係各種
「オーブコムジャパン」設立
余談3題:ジョーダン登場/エスクロウ事業/世の東西を問わず...


[光ディスクPC][ID](レベルA)
オプトロムは、CPUなどコンピューター部品を内蔵した光ディスク「インテリジェントディスク(ID)」を開発


 日経産業新聞1面には、CDやCD-ROM、MD、MD-MO、DVD等の製造大手のオプトロム(仙台市)が、CPUなどコンピューターの中核部品を内蔵した光ディスク「インテリジェントディスク(ID)」を開発したという記事が掲載されている。ICカードのような光ディスクを専用の駆動装置に挿入するだけで、PCと同じ機能を持ち、ディスプレーとキーボードだけでハードが構成出来るらしい。専用ハード製造が必要なため、PCメーカーなどと提携して商品化を進めたい考えのようだ。
 記事によると、この新タイプの光ディスク「ID」は、CPUの他にRAMや通信機能などの電子回路を薄い板状にして光ディスクの裏側に張り付け、表側にはCD-ROMやDVDなど通常の光ディスクの記録機能を持たせており、特に専用の回転駆動装置には超小型アンテナを設けて電波を発信させて、ディスク側のコイルを励起・発電させることにより回路の電源としていることなどは、回転運動を利用した良いアイディアと思われる。この電波をデータや制御信号の送受信にも使って、ディスクと専用駆動装置とのインターフェイスを取ることになっているのも非接触ならではの方式といえる。これが1.2mm厚の光ディスク規格に収まるようなのだから、また驚きだ。
 その他の細かいスペックなどはまったく分らないのだが、もしこのIDが現在のPC並の機能を持つようになれば、モバイルコンピューティングに革命をもたらすのは間違いない。この1枚を持ち歩けば、共通化された専用駆動装置の有る場所で自分のPC環境で作業ができるので、まったく持ち運びに困ることは無くなるだろう。例え備え付けの駆動装置が無くても、モバイル用の駆動装置もモーター部分と無線制御部分のみで、かなり小さく設計出来ると考えられ、CDウォークマンを持ち歩く感覚で大容量PCが使える時代もやってきそうだ。
 (PCだ、NCだ、いやNetPCだと騒いでいる間にも、次々世代情報機器の発想が、ひょんなところから出て来る時代になってきて、まったく興味が尽きない)


 




[インターネット電話][CTI](レベルA')
●コンピュータ・テレフォニー(CTI)とインターネット電話の関係各種


 日刊工業新聞13面及び日経産業新聞9面には、NECが、インターネット電話システムを構築できるゲートウェイシステム「APIXIPゲートウェイシリーズ」を25日から発売し、9月から出荷するという記事が掲載されている。PBX(構内交換機)とつないで使用できるので、内線電話からもインターネット経由の通話が可能になるようだ。  NECのプレスリリースでも、PBXやビジネスホン装置(キーテレホン)をインター/イントラネット等のTCP/IPネットワークに接続するためのゲートウェイ装置としてAPIXIPゲートウェイシリーズを位置付けており、例えば音声をIPパケットに変換して伝送するために、既存のデータネットワーク(LAN)との親和性が高いこととか、CTI(コンピュータ・テレフォニー・インテグレーション)技術を活用しているために、LANに接続されたPCから電話をかけられることなども記述されている。
 また、同じく日経産業新聞9面には、富士通もCTI事業を強化し、独立系のソフト開発会社との連携を本格化するほか、インターネットでCTIを利用できる新機種を近く発売するという記事も出ており、97年度のCTI機器の売上高を96年度の4倍の120億円に拡大する目標を立てていることも掲載されている。
 こうした中、同日の日経新聞の夕刊3面には、コンピューター機器販売やプロバイダーなどを手掛けるベストワンが、7月からインターネット格安電話サービスを始めるという記事も掲載され、インターネット電話(+CTI)の需要の高まりを感じさせている。
 こうなってくると、ベンチャーから大企業までインターネット電話とCTIをミックスして、新たな市場を開拓する意欲に満々ているのがよく分る。やはり、昨日から始まっているWINDOWS WORLDExpo97に行ったら、併催されているコンピュータ・テレフォニーワールドエキスポも見て、CTIがどこまでインターネット電話を取り込んで変って行こうとしているのか、見ておく必要がありそうだ。





[衛星データ通信][電子メール伝送](レベルB)
○移動体衛星データ通信サービスを手掛ける「オーブコムジャパン」設立


 日経新聞13面&日経産業新聞9面及び日刊工業新聞13面には、大倉商事三井物産九州松下電器KDDなど日本企業9社が25日、衛星通信サービスを手がける米オーブコム・インターナショナルと日本での事業法人「オーブコムジャパン」を設立し、98年春から低軌道周回衛星(LEO)で全世界をカバーする移動体双方向パケットデータ通信サービスを始めるという記事が掲載されている。電子メールなど簡単なデータ通信に需要を絞り込み、通信料金や機器を低コストにしたのが特徴で、日本では移動体とのメッセージ交換やトラックやバス、タクシー等の車両運行管理などの需要を見込んでいるらしい。携帯用端末は5万円前後、通信料金は月基本料金が3千円、使用料金は1Byteあたり0.3~0.5円を想定しているようだ。
 オーブコムは既に、2基の衛星を使ってアメリカで試験サービスを実施しており、トラックやコンテナの位置確認や事故緊急連絡システムに使われている。今後、総数:28+8基のLEOを衛星軌道に乗せて、全世界サービスを展開する予定だ。使用している無線周波数も、VHF帯(137~138MHzと148~149.9MHz)なので、パラボラアンテナのような衛星追尾が必要なアンテナではなく、棒状や平面のアンテナを使用できるのも機器を小型・廉価化できるメリットとなっている。地上の衛星管制局と衛星との間のデータ伝送速度も最大56.7kpbsなので、やはり電子メールやFAX、ページャ(ポケベル)レベルのデータ送受信あたりが最適な用途だろう。
 これまでも低軌道周回衛星を使うシステムとしては、米モトローラが推進している「イリジウム」や、ヨーロッパ勢が中心となり、日本では日本衛星電話(SPJ)が推進している「ICOサービス」などが新聞紙上などに時々登場しているが、衛星打ち上げ費用なども安く済むオーブコムのような、簡易データ伝送システムが先に稼働する運びとなる。




 
余談その1:
   日経新聞夕刊の3面には、米プロバスケットボール協会(NBA)のスーパースター、マイケル・ジョーダン選手が米3大ネットワークのCBS系のスポーツ専門ホームページ「CBSスポーツライン」と10年間の専属契約を交わしたという記事が掲載された。(CBSSportlineのリリースを参照)世界中の会員からの電子メールによる質問に回答する為に、スポーツラインはジョーダン選手にパソコンを供与するという。
 日本でもスポーツマンのインターネット発信で言えば、小錦関長谷川投手の例はあるのだが(5月15日のNEWSWatch余談その1参照)、全世界的に”超”有名なジョーダンからダイレクトにメールが届く確立は、もしかしたらクリントン大統領やビル・ゲイツからメールの返事が返ってくるより小さいかもしれない(?)。
 
余談その2:
 日刊工業新聞12面には、ソフトウェア情報センター(SOFTIC)は7月1日から、ソフトウェアユーザーの保護を目指した「ソフトウェア・エスクロウ(未完捺印証書)事業」を開始するという記事が掲載された。ソフト開発業者の倒産などで生じるソフト開発・管理のノウハウ散逸からユーザーを守るため、この制度を導入するとしており、ソフト取引の信用度を高める観点から普及を図りたいとしているようだ。欧米では十年ほど前から普及している制度だが、日本では具体化しておらず、海外ユーザーとのソフト取引時には現地のエスクロウ機関に出向いて預託しているのが実態らしい。
 どこまでの保証がなされるか範疇が難しいところではあるが、ユーザー保護の一助になることが推進されるのは、良い傾向だろう。(7月24日には、ソフトウェア・エスクロウ説明会が、SOFTIC内(東京・港区)で行われるようだ。(メールでも申込可))

余談その3:
 日経産業新聞2面には、米ネットワーク管理ソフト会社のONテクノロジーが、同社の顧客を対象に実施した調査で、米企業の3/4(72%)の企業の従業員が就業中にアダルト・サイトにアクセスしたことがあると回答したという記事が掲載された。(6月24日のONTECHNOLOGYのプレスリリースを参照)
 世の東西を問わず、成されていることは同じようで...(^_^;)




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