ウォッチャー金丸のNEWS Watch
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1997年7月9日


HEADLINE 3 articles

都会型無線LMDS方式「CVDN 500」
コーラスコンピュータのPHSデータ通信セキュリティー技術開発
今日の「双方向性」
余談3題:ネットワークセキュリティ研究会/モーモー宅急便/タケコプター


[無線ネットワーク構築][LMDS](レベルA'
都会型無線LMDS方式「CVDN 500


 日経産業新聞1面には、米国のベンチャーのセルラービジョンUSA (略称CVUS)社が、ニューヨークで無線データ通信を使ったインターネット接続サービスを始めたという記事が掲載されている。通常の電話回線のほぼ20倍の速さでネット接続が可能で、サービスは定額制で法人は月80ドル、個人向けは月50ドルとなっているようだ。
 CVUSの4月28日のプレスリリースでも、この500kbpsの無線データサービスを、無線方式のローカル・マルチ・データ伝送サービス:Local Multipoint Distribution Service(LMDS)の一方式として位置付け、1,100マイル四方のニューユーク地域(約830万人対象)をサービス対象とした「CVDN 500」(The CellularVision Digital Network system)として始める意向を発表している。
 各家庭には、15cm四方の平面アンテナセットトップボックスを用意して、直接電波やビルから反射した電波を受信する方式を取っており、そのシステム構築の様子はShockwaveを使ったサービスイメージ図を見れば分りやすい。まさに、都会に林立するビル等の建物を利用する、アーバン・ネット・サービスといえるだろう。(マルチパス(無線電波の多反射)の影響が気にはなるのだが...)
 
 また同じ28GHzの無線周波数を使う「LMDS」ということで言えば、米HPが今年後半に、40Mbpsの伝送速度まで可能なLMDS用モデム等の関連機器の出荷を開始する(5月30日NEWSWatch記事及び、6月12日のNEWSWatch余談その2を参照)ようなので、それまでにどれ程のユーザーを確保できるかも注目される。
 



[モバイルコンピューティング][PHS][セキュリティ](レベルA'
コーラスコンピュータのPHSデータ通信セキュリティー技術開発


 日経産業新聞17面には、情報システム開発会社のコーラスコンピュータが、NTT中央パーソナル通信網の技術協力で、PHSを使ったデータ通信時の情報漏洩を防ぐセキュリティー技術を開発したという記事が掲載されている。回線接続時にPHS端末の電話番号を識別するのが特徴で、企業の社内LANにセキュリティー機能を組み込んだPHS用TA(6万9,800円)とLAN接続サーバー(24万円)を接続して、32kbpsPHS端末経由で社外のPCから送られてくる情報を受けるようだ。
 既に同社では、PHS-TA「PIAFSリンクステーション」を発売しており、また「モバイルコンピューティング時代のセキュリティー」と題して、PHSなどの高性能携帯通信ツールを利用したモバイル・クライアント認証が出来る”発信者番号通知認証方式”(特許出願中)の解説なども公開されており、これらの技術を組み合わせたシステム開発と言えそうだ。
 通常の携帯電話やPHSなどでも問題になっている、電話機器の掛け捨てや他人になりすました不正使用などが、32kbpsデータ通信でも必ず発生してくると考えられることから、モバイルコンピューティングが普及することにおいて、(いたしかたないが)必要となってくる技術なのだろう。



[双方向性][AD][etc](レベルB
今日のお題目:「双方向」


  日経産業新聞1面には、三菱自動車工業が、データベース会社のニューズライン・ネットワーク(NLN)と組んで、消費者の反応をダイレクトに販促活動に結び付ける双方向広告システムを導入したという記事が掲載されている。新聞媒体などに掲載した広告に電話番号やインターネットアドレスを印刷しておき、これを見た消費者からの個人情報をデータベース化し、販促活動に役立てるということで、RV車の「パジェロ」の広告にNLNのシステムを利用したようだ。
 また日経新聞16面には、イベント企画のトムクリエイションが9月から、インターネットを使って生徒と講師が双方向でやりとりする英会話講座「ラーコム英語塾」を始めるという記事が掲載されている。時間をとりにくい20~30代のサラリーマンの需要を見込んでいるようで、講師とのスケジュールが合えば、深夜でも授業が受けられるほか、PC画面で受講予約もできるらしい。
 はたまた日刊工業新聞7面には、ベルシステム24がインタ-ネット上で双方向性を持つコミュニケーションサービス「C-VALET」を開始したという記事も掲載されている。各界の著名人(ヴェルディ川崎の柱谷選手やタレントの坂木優子など)がお題目に沿った事柄を掲載、ユーザーがそれに対してEメールで意見や感想を送付すると返事が返ってくるようで、今月は「今、興味があること。」がお題目らしい。
 こういった日本の双方向性サービスを尻目に、アメリカは一歩も二歩も進んでいると感じさせてくれる記事が、日経産業新聞3面に掲載されている。一つは、アメリカでの税金の確定申告の締切迫る3月中旬に、「税金で頭が痛いって?」というバナー広告が出され、頭痛薬のエキセドリンの試供薬と確定申告ソフトの無料体験版を申し込める宣伝が出されたことである。もう一つは、米IBMが学生リクルートの為にバナー広告管理会社と組んで、リクルーターを大学に訪問させる2週間前に、ターゲットとする学生がネットサーフィン中でもその学生の大学の名前がバナー広告に出てくる仕組を作り、IBMのイメージを上げたというエピソードである。
 上記のどちらとも、ただ双方向なだけでは効果的なサービスにはならないという好例だろう。(やはりアメリカのように、もう一捻りwitが効いていないと...)




余談その1:
 日経産業新聞2面及び日刊工業新聞7面には、三菱総研は通信機器メーカーのヒューコムと共同で実施した企業の「ネットワークセキュリティ研究会」の調査結果を8日、まとめたという記事が掲載された。
 それによると、イントラネットの普及で企業はセキュリティー環境の整備が急務なものの、その重要性がまだ十分に理解されていないとして、セキュリティーは倫理や人間学の視点も必要としているとなっているらしい。
 声高に危険性を釈かなくても、今日本は広い野原(インターネットフィールド)の一軒家から、いきなり高層ビルが建ち並ぶ大混雑の大都会に発展した状態なので、悪人も含めて色々な人が来れば、塀も敷居も必要なことが理解できるようになるだろう。

余談その2:
 日刊工業新聞8面及び日経新聞13面&日経産業新聞9面には、日本ゲートウェイ2000が、佐川急便と国内のパソコン配送について提携したという記事が掲載された。
 配送を佐川に独占委託するとともに、個人ユーザー向けとしてパソコン組み立てと時間帯指定配送の二つのサービス(「モーモー・おまかせ便」と「モーモー・タイムセレクト便」)を新設するらしい。
 日本ゲートウェイ2000にとっては、配送のスピードアップが図れ、佐川急便にとっては、宅配に付加価値が付けられるサービスとして位置付けているのだろう。(飛脚が牛を鎖につないで(設置して)、素早く去って行く姿が目に浮かぶようだ...(^_^;)

余談の余談:
 日経新聞17面には、輸送機器ベンチャーの来夢が、自動車機器設計のエンジニアリングシステムと、竹トンボ型一人乗りヘリコプターを共同開発し年内にアメリカで発売するという記事が掲載された。
 パラグライダーと同じで免許はいらないようなので、渋滞した道路や満員電車を下に見ながらの通勤・通学に使えるドラえもんのタケコプターを一足先に手に入れるチャンス到来なのだろうか...(^_^)



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