ウォッチャー金丸のNEWS Watch
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1997年7月17日


HEADLINE 3 articles

EC普及に向けた「標準契約書」の公表
インターネット電話市場への参入が次々と
富士通とWebTVのTVインターネットサービス試験
余談4題:NCvsIE/バーゲン情報/無料電話/休刊連絡


[EC][政策](レベルA'
EC普及に向けた通産省ECOMの「標準契約書」公表


 日経新聞5面には、電子商取引の円滑な普及に向け、通産省と民間企業240社が、インターネット上のバーチャル・モールに消費者が商品を注文したり、企業が出店する際の「標準契約書」を共同で作成し、近く公表するという記事が掲載されている。その中身は、モールに入る際のパスワードの管理を消費者に義務づけたり、出店者には取得した個人情報の利用を制限するなど、参加者の権利義務関係を明確に規定しているようだ。
 この標準契約書は、通産省と電子商取引実証推進協議会(ECOM)がまとめたものなので、民間企業240社がまとめたとなっているのだが、7月17日付のリリースの中に、ECOM内の国際取引ワーキンググループがまとめた「サイバーモールに関するモデル契約の検討」の発表が出されており、その概要も読むことができる。そこにも利用者へのパスワード管理義務が条項として上げられていることなどから、これが叩き台となって今回の「標準契約書」になったと考えられる。
 この「標準契約書」を通産省は、(前日のNEWS Watch余談にも登場願った)来日中のマガジナー米大統領上級顧問に提示した模様だ。そのアイラ・マガジナー氏は16日、米大使館内で記者会見し、米大統領提唱のEC振興策について、著作権保護などの6分野を優先して1年以内に国際合意を確立したいと語ったという。(日経産業新聞2面掲載)
 その6分野とは、前出の著作権保護の他に、EC関税の無税化、電子署名の統一運用、プライバシー保護確立、有害情報フィルターソフトの活用、ドメイン名の管理としており、残り3分野も含めて2000年までにEC振興策の合意の枠組みを作りたいとしているようだ。この振興策が米国優位性を強めるのではという意見に対して彼は、技術変化の早いインターネットの世界ではそれは短期間のことだとした冷静な分析も見せている。

 もはやECに関しては、日米両国の思惑も深く絡んで、我々ユーザーの頭の上で事が進んで行くようになりつつあるようで、今回の「標準契約書」提示も、マガジナー氏への政治的お土産の一つと考えられそうだ。



[インターネット電話](レベルA'
●各種インターネット電話市場への参入が加速


 8月に郵政省がインターネット国際電話を解禁するすることを受けて、インターネット電話市場への参入が相次いでいる。

 日経産業新聞3面には、7月15日のNEWS Watch余談その216日のINTERNET Watch Webでも取り上げた、千代田産業の日米間インターネット国際電話サービス(3分75円)の記事が掲載されている。
 また日経産業新聞3面には、中堅運送会社の尾崎運送(高松市)が、インターネット国際電話システムの機器販売に乗り出したという記事も掲載されている。米社製ソフト「ネットホンジョイント」(Windows95対応)と音声合成ボードを使ってシステムを構築し、プロバイダー参入を計画する事業者や国際電話の利用頻度が高い中堅企業などに売り込むらしい。尾崎運輸は、通信業者のリブアンドラブネットワークと組んで、インターネット国際電話の代理店募集を行っており、7月30日には大阪で説明会を開くようだ。
 同じく日経産業新聞3面には、規制解禁前倒しのいきさつと、KDD他の対応などを解説した記事まで掲載されており、事がどんどん大きくなっていることが伝わってくる。
 はたまた日刊工業新聞11面には、泉州電業(北大阪)が、ギャラクシーネット(吹田市)、エクス(鈴鹿市)、日本電通工業(福岡市)のベンチャー3社と組んで、インターネット国際電話サービスに参入するという記事も載せられている。3分150円で全世界通話が可能で、ホテルや空港などにインターネット公衆専用電話を設置する計画もあり、8月1日から1カ月の無料お試しキャンペーンを実施するようだ。

 これだけ様々な業種から参入してくるインターネット電話市場には、現在林立するインターネット・プロバイダーが相手にしている市場を遥かに上回る数のユーザー獲得と利益が見込まれるだけに、このまま自由参入の形を取っていけば、今のプロバイダー乱立状態がかわいく思えるほどの混乱した事態を迎えるのは必至だろう。これから参入してくる業者は、相当な覚悟が必要となりそうだ。
(もはや、私自身もインターネット電話業者を逐一追い切れない事態を迎えつつあるようで...(¨;)



[TVインターネット放送](レベルA'
富士通と米WebTVは今月から日本でTVインターネットサービス試験を開始


  日経産業新聞2面には、富士通と、米MSが買収を予定している米WebTV Network社の2社が今月から、日本でTVでのインターネットを利用できるサービスを試験的に始めるという記事が掲載されている。すでに専用機器の製造メーカー数社を選定して来月にも2社で合弁会社を設立し、年内にも本格サービスに移行するということだ。米国ではWebTVは、セットトップボックスを使うこのサービスを昨年10月から開始しており、利用料は月19.95ドルで、4月末の会員数は8万5千人となっている。端末はソニー、フィリップス、三菱電機、日立の4社が製造し、店頭で300ドル前後で販売されているようだ。今月から東京地区で40~50世帯のモニター会員を対象に試験サービスを実施し、富士通がインターネット上で提供しているコンテンツや他のコンテンツプロバイダーから番組を提供するらしい。
 昨日もNEWS Watchの中で、IIJが行うIPマルチキャスティグ実験のような放送型インターネット通信の需要が増えてくると言及したが、PCなどに対するインターネット放送とTVなどに対するインターネット放送では、ユーザー層の違いを反映して、要求される情報の質が異なってくる事が考えられる。ただ単純にWebコンテンツをそのまま流せばいいというものでは無いケースも出てくる可能性がありそうだ。

編集部:注 編集部で富士通に確認したところ試験サービスについては実施の予定だが詳細については未定とのこと。




余談その1:(INT Watch Web記事(NC4IE4)も参照)
 やはりというか当然というか、日刊工業新聞12面には、日本ネットスケープ・コミュニケーションズが「ネットスケープ・コミュニケーター4.01日本語版」を19日から発売し、かつプッシュ型サービスも開始するという記事が、日経産業新聞1面及び日刊工業新聞12面には、米MSよりリリースされた「Internet Explorer 4.0」のβ版の記事が掲載されている。しかし今回の論調は、昨年のようなブラウザー戦争を盛り上げるような事はせず、取り敢えず両者を静観しているといった風である。日本的な盛り上り方と言えなくもないが。

余談その2:
 日刊工業新聞11面には、サイバースペース・ジャパン(CSJ)が、オンライン・ショッピングのお得情報を提供する「バーゲン情報メーリングリスト」サービスを開始したという記事が掲載された。6月20日付けの同社リリースから、既に登録などは始まっているのだが、各オンラインショップが開催しているバーゲンセールの最新情報を集めて、登録者へ定期的にメールを無料で届けてくれるようだ。
 DMをジャンクと見るか、貴重な情報源と見るかは人各々の立場や情報の内容にもよるのだが、この夏の時期、バーゲンと聞いただけで情報価値が上がる方も多いのでは?...(^_^;)

余談その3:7月16日のINT Watch Web記事も参照)
 日経新聞11面&日経産業新聞9面及び日刊工業新聞13面には、KDDが16日、郵政省に対して国内電話サービスの認可を申請し、月内にも開始するこのサービスの料金を発表した記事が掲載された。企業向けに全国一律3分54円という通話料金になるようだ。それに対して同じく日経新聞11面&日経産業新聞9面及び日刊工業新聞13面では、宮津NTT社長が16日の記者会見において、このKDDの取組みに対しては意に介していない様子だったということらしい。
 日本の二大通信業者がインターネット電話も横に睨みながらの通信価格競争に入っているわけだが、オーストラリアでは一気に究極まで行ってしまっているらしい。何と、通話料金がタダの電話サービスが来年出現するようだ。(日経産業新聞6面に記事掲載されている)豪メディア・広告会社のウィットフィールド・インベストメンツが開始するようだが、通話最初の10秒と3分毎に挿入される10秒コマーシャルが流れている間、黙っていられれば使えるサービスのようだが...

休刊連絡:
 このところ多い休刊連絡ですが、明日もですのでご了承下さい。m(__)m



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