ウォッチャー金丸のNEWS Watch
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1997年7月30日


HEADLINE 3 articles

NTTとKDDの国際/国内通信業務の動き
BIGLOBEの海外ローミングサービス
日本テレコムと郵政省の次世代携帯電話実験
余談3題:カワイ・ショッピング・プラザ/ネチズン:渡辺徹/休刊連絡


[国際/国内通信][JIH](レベルA
NTTの国際第一種事業の子会社設立/KDD日本列島周回ケーブル(JIH)の動向


 日刊工業新聞1面トップには、NTTが29日、今秋に国際第一種事業の子会社を設立する方針を明らかにしたという記事が掲載されている。米AT&Tなどと共同で進めている「China-US太平洋海底光ケーブルネットワーク計画」(3月31日のNTTのリリース及び4月1日のNEWS Watch記事を参照)が年内に建設保守協定を締結する運びであるため、それまでに子会社を設立して体制を整えるようだ。これは、7月24日の国際特別第二種子会社設立(7月25日のINTERNET Watch記事を参照)に続くもので、相次ぐ国際事業の強化で99年6月の分離分割までに国際業務を軌道に乗せたい意向らしい。
 ただし、この太平洋海底光ケーブルネットワーク計画にはKDDも参画しており、まったくの競合会社出現に相当な反発が予想される。新電電も含めた他国際通話事業者からもクレームが付くことは必至で、郵政省による調停がどこまで可能なのか、不透明な状況となっている。

 これに対して日経新聞13面には、長距離新電電のテレウェイ(日本高速通信)が、KDDから日本列島周回ケーブル(JIH)の一部回線を取得する一方で、日本テレコムは見送るという記事が掲載されている。テレウェイが取得するのは、日本一周するケーブルルートのうち、北海道~東北間と四国~九州間で、いずれも容量は2.4bpsとなるようだ。テレウェイは直通回線の拡充を目的としたようだが、日本テレコムは取得金額が折り合わなかったらしい。既に、第二電電(DDI)は、JIHの全回線容量:100Gbpsのうちの20Gbpsを取得する(20%をJIHに出資しているため)こととなっている(4月7日のNEWS Watch記事を参照)ので、これで「長距離電電」と呼ばれる3社の足並みが少し乱れてきたと言えよう。
 通信大競争と呼ばれる時代に突入して、今日の味方が明日は敵となるような、混沌とした事態を迎えているのは確かなようだ。海外からの通信自由化の圧力と、企業存続をかけた各通信業者の事業拡大路線の狭間で、さらに激しい動きがあるだろう。



[ローミングサービス](レベルA'
BIGLOBE海外ローミングサービス開始


 日刊工業新聞9面及び日経産業新聞1面には、NECが8月1日から、「BIGLOBE」にて海外146カ国・地域でインターネットの利用を可能にするローミングサービスを提供するという記事が掲載されている。
 同社の7月29日のプレスリリースでも、米アイパス(iPass)社と米エイムクエスト(AimQuest)社との提携により実現したサービスで、上記2社と提携関係にある世界各国のプロバイダ(約200社)を経由してBIGLOBEを利用可能に出来るとしている。その特長は、その他のローミングサービスと同じく、海外において市内電話料金にて国内と同様のインターネットサービスが受けられる事なのだが、利用可能なAPの数が1,600にも及ぶ事が、他社に差を付けている部分だろう。サービスも2種類あり、従来からあるタイプA<ローミングサービス用ID発行方式>では、事前申込みを受けて、海外滞在期間中の海外プロバイダーのポートにアクセスできる特別IDを発行し、料金は500円/月となっている。もうひとつのタイプB<業者仲介方式>が今回発表となったサービスで、BIGLOBE/meshのIDで海外プロバイダーのポートにアクセスでき、事前申込みが不要で料金は60円/分となっている。
 上記のiPass社もAimQuest社も、海外ローミングでは大手(4月16日のNEWS Watch記事及び7月28日のNEWS Watch記事を参照)で、特にAimQuest社は富士通のInfoWebと業務提携していることからも、BIGLOBEを含めた日本におけるローミングサービスにおいて、またひとつ大きく拡充出来た事になる。InfoWebとAimQuestのサービスが世界約40カ国・地域で、127社:約1,200カ所(7月16日現在)のインターネットAPを利用でき、料金はBIGLOBEよりも安い20円/分前後とする発表が、富士通から7月28日にあったばかりでのNECの発表でもあるので、今後とも両プロバイダー間の激しいサービス合戦が続きそうだ。



[次世代携帯電話][MOBILE COMPUTING](レベルB
日本テレコム郵政省の次世代携帯電話実験


 日刊工業新聞11面及び日経新聞13面&日経産業新聞9面には、日本テレコムが29日、次世代携帯電話システム「IMT-2000/FPLMTS」(International Mobile Telecommunications-2000/Future Public Land Mobile Telecommunication Systems)の実証実験を98年春から開始すると発表したという記事が掲載されている。無線方式はワイドバンドCDMA(W-CDMA、符号分割多元接続)技術を利用し、2001年にはサービス開始したい考えで、これまでNEWS Watchで度々報告してきたDDIIDONTT DoCoMoの取組みと同様に、データ伝送速度を移動中で384kbps、静止中で2Mbpsを可能にすることを目的としているようだ。(7月15日のNEWS Watch記事も参照)
 この様に各社がCDMA方式の導入へ動いている中で、同じく日刊工業新聞11面には、郵政省通信総合研究所が29日、NTTや日立などとマルチメディア・マルチモードTDMA(MM-TDMA)無線方式の野外高速移動伝送実験に成功したと発表したという記事も掲載されている。郵政省の7月29日のリリースでも、通総研と日立、NTT、三菱電機、YRP移動通信基盤技術研究所、シャープが協力して研究開発を実施しており、CDMA方式と同じ2GHz帯の無線周波数を使って、ディジタル自動車電話のような利用法で約4Mbpsを達成できたとしている。
 前記のW-CDMA方式が、アメリカなども推進し、日本の携帯電話関連メーカーも次々と試験を実施して早期の実用化を図ってはいるのだが、後記のように郵政省から、より伝送速度のパフォーマンスが良いMM-TDMA方式の実証実験結果が発表されたとなると、次世代携帯電話に新たな選択肢が増えてしまった事になる。国際的な次世代携帯電話システム「IMT-2000/FPLMTS」の通信規格を提案する期限が98年半ばと迫っている(7月1日のINTERNET Watch記事を参照)中で、今後どのような方式選択がなされるのか注目される




余談その1:
 日経産業新聞18面には、(会社創立70周年記念日に後10日の)河合楽器製作所が、インターネットで同社の楽譜や書籍を検索して注文できる通信販売サービス「カワイ・ショッピング・プラザ」を開始したという記事が掲載された。カワイ出版刊行の合唱曲やピアノ譜など1千タイトルを書名や作曲者名のキーワードで検索し、直接注文出来るようだ。今年4月にサーバーを自社所有に切り替えてから、楽譜の試行販売を始めており、8月1日から本格稼働するらしい。将来的には、楽譜の電子化で即座に楽譜データが入手できる新システムも開発、譜面が読めない人も購入前にPC伴奏で曲の導入部分が聴けるサービスも計画しているようだ。
 音楽関連サイトというと、RealPlayerや音声ファイルなどで音だけを聴かせるサービスがインターネット上では全盛なのだが、楽譜という(旧来の)正統的な音楽伝承データベースへの応用もあって然るべきかと思われる。

余談その2:
 今日の日経産業新聞3面のMULTI MEDIA欄にて、「デジタル時代を語る」コーナーの続編が掲載されており、その第1回に俳優の渡辺徹氏が登場しているのだが、印象深い発言があるので紹介したい。
 氏は、(意外にも?(^_^;)DOS/V-PC歴10年の強者で、演劇のチャットなどにもはまった経験もあるそうだ。そういった経緯の中から、「デジタル化で情報氾濫が進めば、逆に本物の価値が上がってくる。役者にとっても、マニュアル化された(計算された)CG映画を見ると、かえって役者の演技のマニュアル化されない部分に気付く逆療法になるのでは。」と考えるようになったという。
 私自身もマニュアル化しないよう、肝に命じたい...

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明日はNEWS Watchを休刊とさせていただきます。m(__)m



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