ウォッチャー金丸のNEWS Watch
リンクがすでに消滅していることもありますが、予めご了承くださ い。
・NEWS Watchとは
・about 金丸さん
・NEWS Watchバックナンバー

1997年8月12日


HEADLINE 2 articles

通産省のEC実証実験事業化2例
「TBSデータパレード」の本放送
余談3題:プッシュを使えば../電話料金競争/太郎たち


[EC][政策](レベルA'
通産省のEC実証実験が事業化されるにあたり...


 日経産業新聞2面には、NECが8月末にも、通産省の電子商取引実証実験「バーチャル・シティ」内で展開している仮想商店街「VMALL」において、1円からの少額決済も可能なデジタル・コンテンツのオンライン小口販売システムを導入するという記事が掲載されている。現在約40の出店数を12月末までに500に増やして、来年4月をメドとしたバーチャル・モールの実用化に備える意向で、コンテンツ販売のノウハウ蓄積と出店者の獲得を急ぐようだ。コンピューター・ソフトやニュース、天気予報、写真などをオンラインで小口販売出来る新システムを、まずNECの「VMALL」内に導入するということらしい。
 「バーチャルシティ構想」は、NECのほか、住友銀行住友クレジットサービス日本総研の4社が幹事会社となって推進しているプロジェクトだが、今回はNECが自身のグループ会社(日本電気ソフトウェアNECインターチャネル)を出店させるということで、出店内容の充実よりもシステム構築を優先させて、オンライン小口販売システム確立を狙っているようだ。
 また日経新聞9面には、三菱商事三菱電機が、電子認証・決済サービスなどの電子商取引関連サービスの事業化に向け、企画会社「ジャパンネット」を共同設立したという記事も掲載されている。両社は同じく通産省が助成する電子商取引推進事業「JapanNet」の中心メンバーであり、98年3月まで予定される実証実験の終了後、4月から新会社を事業会社に格上げして電子認証・決済業務を事業化するらしい。EC関連での通産省の助成事業は、95年末に第一弾の19件がスタートしたのだが、実験期間終了後の事業化を決めたのはこれが初めてのケースでもあるようだ。
 前者の少額の決済は、個人業者にとってもコンテンツ事業の可能性を広げるシステムとして注目され、個人ベースならコンテンツ出店者も増えると考えられる。また後者は、民間企業によるの認証局事業設立に向けた試みとして評価されるだろう。
 上記2件を含めて、これまでEC実証実験の名目で行ってきた作業を今年度末には終えて、実際に事業化されるタイミングとしては、現在の民間でのECの普及具合から見ると、やや遅い感じもある。しかし、19あるEC関連研究の中から一つでも多く、事業化されることを期待したい。



[TV][データ放送](レベルA'4月30日のINTERNET Watch記事を参照
10月から「TBSデータパレード」のサービス放送が本放送に


 日経新聞11面には、TBSが10月から本放送を始めるTV電波を利用したPC向けデータ放送事業に、40数社が参加するという記事が掲載されている。資生堂や日本航空の他、ソニー系のレコード会社、リクルート、角川書店、ダイエー、アサヒビール、ヤマト運輸、松竹、花王、三菱商事、NECなどが番組ソフトやサービスを供給し、これにより10ジャンル以上のチャンネルで50近いコンテンツを放送する体制が整ったようだ。
 7月1日からスタートしている「TBSデータパレード」のサービス放送が、10月から本放送となるわけで、つい先日TBSが独占放送していた世界陸上においても、「TBSインターネット世界陸上ホームページ」と連動してマラソン競技をデータ中継放送サービスなどを行っており、ノウハウ蓄積も進んでいるようにも見える。
 データ伝送レートも40kbpsと、テレビ朝日が4月からデータ放送を開始している「ADAMS(TV-Asahi Data and Multimedia Service)方式」などと同等の伝送速度を持ってはいる。しかし、データ伝送方式自体は、TBSが「Bitcast方式」を採用しており、テレビ朝日の方式と互換性がないことが今後問題になりそうだ。その他のTV局は、両社の動向を様子見しているわけだが、スポンサーやコンテンツ数での優劣で方式標準が決まるようでは、PC視聴者(?)がそれぞれの方式に対応したハードを2式用意する事態も招きかねず、TV放送業界としても何らかの調整が必要となってくるだろう。




余談その1:
 日経産業新聞5面には、米メリーランド州のベンチャー企業のターゲテッド・マルチメディア(TMI)が8月末にも、プッシュ技術大手のバックウェブ・テクノロジーズのソフトをもとに開発したプッシュ型のショッピング・サービス「モダン・ショッパー」を登場させるという記事が掲載された。特売案内や製品情報などをタイミングよくユーザーに配信、注文はネットで受け付ける事ができ、1分程度のビデオ配信もできるらしい。
 プッシュということでは、日刊工業新聞6面に、伊藤忠テクノサイエンスが8月末にも、米マリンバ製のファイル自動配信ソフト「カスタネット」の新製品として、Java以外のファイルの自動配信も可能にした「カスタネット・アップデート・ナウ」を発売するという記事も掲載ており、C/C++やVisual Basicなどのファイルやアプリケーション・ソフトの自動配信や自動管理、自動更新などができるということらしい。
 INTERNET Watchの第1回金曜コラムにおいて山下編集長も、怠け者のためのチャンネルが増えて欲しいと書かれていたのだが、一般の通販好きな人からソフト開発者まで、みんなが怠け者を嗜好してしまうサービス/ソフトが続々登場しそうではある。

余談その2:12日のINTERNET Watch-Web記事を参照)
 日経新聞9面及び日経産業新聞7面及び、日刊工業新聞6面にも、日地域系新電電の東京通信ネットワーク(TTNet)が11日、98年1月に始める新しい市内中継電話サービス料金(平日昼間の市内通話が9円/3分)を正式発表したという記事が掲載された。
 長距離通話料金でもことごとく、NTTなどの電話料金より安価に設定しており、インターネット電話などの参(乱?)入も含めた、本格的な通信価格競争の始まりを感じる。

余談その3:
 日経産業新聞2面には、立命館大学の学生ベンチャー企業のちきゅう屋が、松下電産が開発したカード作成装置「うごい太郎 」を使って、インターネット上で見る角度を変えると画像が動いて見えるカード事業を展開するという記事が掲載された。(詳細は12日のINTERNET Watch-Web記事を参照のこと)
 ジャストの「一太郎」しかり、日商岩井の3次元会社訪問「CHA太郎」(2月25日のINTERNET Watch-Web記事を参照)しかり、アステルグループ5社のPHS-PIAFSデータサービス「つなげ太郎」(8月1日のNEWS Watch余談その2を参照)しかり、なぜ日本人は「太郎」が「好きなの太郎」か...m(__)m



INTERNET Watch


(C)1996 Impress Corporation. All Rights Reserved.

internet-watch-info@impress. co.jp