ウォッチャー金丸のNEWS Watch
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1997年8月19日


HEADLINE 3 articles

NTTはアジアを目指す
インターネットを経由しないモバイルネットワークサービス
価値あるコンテンツとは...2
余談2題:知的所有権情報モール/ダブルスタンダード



[企業提携][国際通信インフラ](レベルA'8月19日のINTERNET Watch-Web記事も参照
NTTはAIHやアジア各国の通信業者に出資を決定


 日経新聞1面には、NTTがテレコムマレーシアなどアジア各国・地域の大手通信会社とインターネット分野で提携するという記事が掲載されている。まず、日本とアジアの7カ国・地域を結ぶインターネット回線をもつアジアインターネットホールディング(AIH)の10月までの増資(現在9億円の資本金を16億円に)に対して、2億4千万円を出資して株式の15%を取得し、同時にテレコムマレーシアにも5千万円を出資するようだ。このほかタイ通信公社(CAT)や台湾の中華電信も出資を内定しており、さらに香港テレコムやシンガポール・テレコムなどにも出資を呼びかけているらしい。
 同じく日経新聞3面の「きょうのことば」や同11面の解説記事でも、NTTの国際進出がアジアに向かうことについて、アジアはそれ以外の地域よりも欧米諸国の通信業者に席巻されていないことと、アジア市場において急速な通信需要拡大が見込まれているからだとしている。
 AIHについていえば、5月26日のNEWS Watchにおいて、アジア各国との回線強化を行う記事を取り上げており、そのとき既に6月末をめどにタイと、年内をめどに中国本土やベトナム、フィリピンなど3カ国への回線を開設する予定であることとなっており、各国とののAIHのバックボーンである「A-Bone」の接続図を見ても着々と回線数を増やしているのが分る。しかし、今まではIIJの国内及び米国とのバックボーン・サポートが中心だっただけに、NTTがバックにつくのはその回線増強に弾みがつくことになるだろう。現に新聞記事では、回線容量を2年間かけて、現在の伝送容量の6Mbpsを45Mbpsに拡大するともしており、NTTの支援が大きいことを示している。
 またNTTについていえば、既にAT&Tなどと共同で日中米間を80Gbpsでつなぐ「China-US太平洋海底光ケーブルネットワーク計画」(4月1日のNEWS Watch記事を参照)を推し進めてはいるが、この海底光ケーブル敷設による実効的な通信としては、2015年までを目指しているだけに、ここ数年が勝負の国際進出事業に於ては協力出来るところとはどことでも手を結びたい考えのようにも思われる。ただし、アジア諸国が日本中心の通信網を良しとしていくかは甚だ疑問で、欧米諸国の進出もすぐに始まると考えられることからも、先週、中国・長江の三峡ダム発電設備受注競争にて、欧州のグローバル企業:アセア・ブラウン・ボベリ(ABB)に日本企業体が敗退した事例のような、日本の影響力が薄れていくケースも充分あることを考慮しなければならないだろう。



[モバイルネットサービス](レベルB8月19日のINTERNET Watch-Web記事も参照
インターネットを経由しないモバイルネットワークサービス


 日経産業新聞2面及び日刊工業新聞8面には、三菱電機の情報サービス子会社の三菱電機情報ネットワーク(MIND)が10月16日から、安全に利用できるモバイル通信専用ネットワークサービスを始めるという記事が掲載されている。新サービスはアクセス部分で公衆電話回線やISDN、PHSを使用し、本人確認を経て専用回線なみのセキュリティーと通信品質を備えたフレームリレー網の「MINDモバイルネットワーク」を経由し、ユーザー企業の社内ネットワークに接続する仕組みらしい。インターネットを伝送路に使うわない分、安全や通信品質の確保が容易に出来るとしているようだ。料金はアクセス部分が電話で10円/分、PHSで13円/分、着信課金で発信側の電話料の負担は不要となり、モバイルネットの利用料は5円/分で通信速度は64kbps~1Mbpsの中から選ぶことができるともしている。
 まずこのサービスは、ほとんどが大企業向けと考えられ、利用されるモバイル端末数が多ければ多いほど、システム的にはペイするサービスとなっているようだ。従って企業ユースを最優先するために、敢えてインターネット回線を使用せずに機器やシステムのオープン性といった特性を廃してまでも、セキュリティーやクローズド性を確保するシステム構築を行ったと思われる。インターネットがモバイル・コンピューティングやNCなどの通信手段の主流であるのは間違いないところだが、全ての通信手段がオープン・スタンダードである必要性はなく、またユーザーの種類によってもクローズドな通信手段の方が効率なども良いケースが、企業内ばかりでなく、今までの一般向けの有料コンテンツ配信サービスにもあると考えられる。
 後はクローズド・ユーザー・グループから、外部への情報インターフェースをいかに取るかが重要となってくるだろう。



[コンテンツ有料化](レベルB
○価値あるコンテンツとは...2
~「3つのS」と「3つのア」~


 今日の日経産業新聞5面には、昨日のNEWS Watchで取り上げた、インターネットでのコンテンツ配信の有料化に関するアメリカでの事情が掲載されている。そこでは、「3つのSに関するコンテンツが課金できる」として、「Sports」、「Stock(株)」そして「Sex」の各例(インターネット金融情報誌「THEStreet(ザストリート)」やスポーツチャンネルのESPNの「SportsZone(スポーツゾーン)」、プレイボーイの「Cyber Club(サイバークラブ)」など)を示して、広告収入などに頼れない現状も示している。
 そんな中で日経産業新聞5面には、インターネットを使った情報提供会社のトーキョー・インベスター・ネットワークが、個人投資家向けに金融情報専門の検索エンジンを開発し、サービスを開始したという記事が掲載されている。 ネットに専用ホームページ「投資情報館」を開設し、約90の金融機関のホームぺージなどを登録しており、金利や保険、債券、株式分析など70を超える専門 カテゴリーを用意しているらしい。このサービスの方は、情報の登録料やユーザーの利用料とも無料で運営しており、今後スポンサーを募って広告収入で運営する考えのようだ。 既に8月中旬現在で、1週間のヒット数は3万件に達しているらしい。
 他にも、8月19日の第49回ウォッチャーのイチオシサイト紹介で、musemac氏もレポートしていた株価速報をはじめた「Yahoo! FINANCE」なども、着実にアクセス件数を増やしており、日本に於ける3Sの法則の始まりを裏付けているようだ。
 ただ、昨日のNEWS Watchで紹介した日本の有料化コンテンツの傾向では、「3つのア」が現状ではキーワードになっており、「ニメ」、「ート(写真や音楽を含めた芸術全般)」そして「ダルト」といったところだろうか。




余談その1:
 日刊工業新聞2面及び日経新聞5面には、特許庁が18日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)加盟諸国と地域の知的所有権情報をインターネットを活用して、相互に閲覧できるサービス「知的所有権(IP)情報モール(Intellectual Property Information Mall)」を開始したと発表したという記事が掲載されている。
 APECの国々のカテゴリー別特許情報などにに素早くリンク出来る「Quick-link Matrix」の他にも、世界の特許機関にリンクする「World LInk」もあり、一次情報へのリンクはしやすくなっているようだ。次のステップでは、検索し辛い海外特許なども、簡単にキーワード検索出来るような機能を持つなど、日本と海外共々、使いやすくなるような方向性を期待したい。

余談その2
 先週の金曜日と連日NEWS Watchで取り上げ、PC Watchでも14日18日に、また後藤さんのWeekly海外ニュースなどでも大きく取り上げた、DVD-RAM規格分裂のニュースだが、今日の日経新聞11面&日経産業新聞8面及び日刊工業新聞9面には、東芝や松下電産など日米欧10社は20日、DVD-RAM統一規格を欧州電子計算機工業会(ECMA)に申請するという記事が掲載されている。
 ソニーやフィリップスも10社の中に名前は入っているものの、事実上統一規格をサポートしないことから、今後はダブルスタンダードが存在し、(またしても)市場獲得争いに対決の場所を移し始める事が確実になってきたと思えるのだが...



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