ウォッチャー金丸のNEWS Watch
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1997年9月24日


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米IBMの銅導線IC製造技術「CMOS 7S」
IA市場にも拡大してきた分散オブジェクト指向
余談2題:広告リサーチ事業/今日もきれいに



[MPU][IC製造技術](レベルA'
米IBMの銅導線IC製造技術「CMOS 7S


 昨日の日経新聞11面及び、本日の日経産業新聞13面と日刊工業新聞7面には、米IBMがMPUやロジックICのシリコンチップ内の導線部分に銅を採用する新製造技術「CMOS 7S」を開発したという記事が掲載されている。従来のアルミ配線に比べ、チップの小型化と省電力化、高速化が可能になるようだ。
 米IBMのリリース日本IBMのリリースの22日の同日発表では、これまで半導体の製造に採用することは難しいとされてきた銅を業界で初めて採用したとしており、チップ上に線幅0.2ミクロン(髪の毛の1/500)の細さの回路が製造可能になり、1チップに1億5千万~2億個のトランジスター(1.8V電圧での動作可能)を詰め込み可能としている。IBMのマイクロエレクトロニクス部門において、今年度中のASIC製品の発売も予定しているようだ。またCMOS 7Sの詳細説明では、実際の銅6層配線構造の写真も見ることができ、その技術が製品段階に近付いていることも分る。
 これまで30年来使われてきたアルミ配線の素材を銅に変更した技術は、ひとつのイノベーションであると言えるだろう。加工技術の進歩により、IC内の配線加工が容易なアルミ素材から、電子伝導率は良いが加工するのが難しい銅素材を使用可能になった事が今回の最大の要因だろうが、銅の素材としての伸張性も上手く利用しているとも言える。もちろん、銅より伝導率の高い銀や、伸張性の高い金やプラチナを利用する方法もあるが、IC全般に使われるような大量の材料であることも考慮すると、コスト的な観点からも銅に落ち着いたと考えられる。
 今後は量産化技術がどこまで整備されるかが課題だろうが、こういった根本的な技術改革が、現在の高集積化技術である意味で行き詰まっているIC集積技術をブレイクスルーして、PDAや携帯機器のより一層の小型化や高速動作化(生活への密着化)などに貢献してくれると期待される。



[分散オブジェクト(CORBA)][IA](レベルA'
IA市場にも拡大してきた分散オブジェクト指向


 日経新聞1面には、東芝日本IBMなど情報関連11社はコンピューターの汎用機やネット家電(IA)、携帯端末など広範囲な情報機器を接続する「CORBA(Common Object Request Broker Architecture)」に準拠するソフト技術を共同開発することで合意し、「分散オブジェクト推進協議会」を10月2日に共同で設立するという記事が掲載されている。10月初めに正式発表するようで、このうち富士通や日立、NEC、日本ユニシスの4社はすでに汎用機同士の接続について提携(7月7日の富士通同日の日立及び日本ユニシスのリリース参照)しており、他に東洋情報システム、日本サン・マイクロシステムズ、日本オラクル、オージス総研、日本ビー・イー・エー・システムズが参画するらしい。
 上記4社の「分散オブジェクト推進協議会」の設立に関する提携については7月8日のNEWS Watchでも取り上げており、その提携が11社に拡大したことにより、海外でのIBMやSUN等の分散オブジェクト(CORBA)における技術提携とフェーズが合ってきたばかりでなく、参画メーカーを増やしてネット家電にまでその接続共通化の範囲を広げたところにも新たな展開が見える。これまで分散オブジェクトについてのメーカー間の標準化競争は、もっぱらMSが推すDCOMとIBMやSUNが推すCORBAの一騎討ちの様相を呈して(9月12日のPC Watch掲載:後藤さんのWeekly海外ニュース「危機に直面するMicrosoft」参照)おり、それが日本の家電メーカーも巻き込んだネット家電市場での接続規格標準化競争にまで具体的に波及してきていると言えるだろう。
 単に大型汎用コンピューターのソフト資産をPCなどとの接続性を上げて、今後とも活用するための共通接続仕様であったCORBAが、日本のメーカーが得意とする家電機器との接近を果たすことで、新たなネットワーク・システムの構築への足掛かりを作ることにもなりそうだ。

 そういった意味では、日経産業新聞が連載している「モダンタイムス2001」特集(第1面と2面に掲載)が今日で第四部が終了するにあたって、今後第5部ではIA(Information又はInternet Appliance)を中心に特集していくとしているところにも、上記CORBAの展開とともに今後の情報通信機器の方向性を暗示しているようにも感じられる。




余談その1:広告リサーチ事業
 日経産業新聞2面には、インターネットを通じた会員制の情報検索サービスを手掛けるNTTナビスペースが、年内にもインターネット広告と連動したリサーチ事業を始めるという記事が掲載された。同社のホームページにバナー広告を掲載し、ユーザーはその企業のアンケートやクイズなどに答えると賞品がもらえるというサービスで、ユーザーの属性なども同時に調べてリサーチ事業とするようだ。
 現在同社が行っているサイバーリサーチ事業を拡充するための方策で、他にも「MY DIRECTORY」というブラウザーを使った半プッシュ型情報提供&広告サービスも展開していることから、インターネット広告効果を計りかねているスポンサー企業にとっては、より確かな広告効果評価付きのサービスになると考えられる。インターネット広告に二の足を踏んでいるスポンサー企業はまだまだ多いと思われる現状では、その効果の程を正確に得られるような各種サービスが、今後とも必要となってくるだろう。

余談その2:今日もきれいに(今日の優れ物)
 日経産業新聞22面には、三菱鉛筆が26日、TVのリモコンやPCのキーボードなどの細かい箇所を掃除するペン型クリーナー「uni ポケットクリーナーペン」を発売するという記事が掲載された。替え芯3本付で価格は500円、蛍光ペンを使う要領でほこりや汚れなどが取れ、静電防止や除菌作用もあるらしい。
 最近の日本はクリーン(除菌)ブームなので、他人が使ったキーボードやマウスを一生懸命きれいにするためにも、胸ポケットにひとつ差しておく必要がありそうだ...(^_^;)



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