ウォッチャー金丸のNEWS Watch
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1997年7月8日


HEADLINE 3 articles

新会社「日本ATMネット」の低料金企業ネットワークサービス
インターネットマッチングビジネス
富士通その他の電子マネー事業及び実験展開
余談3題:暗号技術の安全評価/分散オブジェクト推進協議会/読書感想文コンクール


[ネットワーク構築][新会社](レベルA'
新会社「日本ATMネット」の低料金企業ネットワークサービス


 日経新聞11面には、米ATMネット社が慶応大湘南藤沢キャンパス(SFC)の教授らと共同出資で日本法人「日本ATMネット」(横浜市)を設立し、今秋から映像や音声など各種の情報をやり取りできる企業ネットワークを低料金で提供するサービスを始めるという記事が掲載されている。ユーザーが自ら専用線を借りてネットを張る場合に比べ、約1/3の通信コストになるようだ。この日本法人には米ATMネット社が半分近くを出資、残りを日本クルジャン・コーポレーションの木村節社長や東京インターネットの高橋徹会長、SFCの相磯秀夫教授と村井純教授らが個人出資したらしい。
 記事によると、この新会社が内外の通信業者の専用線を借りて米ATM社が持つ米欧間の回線とつなぎ、来年度には日本-アジア間の回線も開設するとあり、1.5M~155Mbpsの通信サービスを展開するということからも、主に企業向けネットワーク構築が対象といえるだろう。
 フレームリレー等の通信データ量に従うような課金制度から、ATM技術などを使った定額料金的な通信サービスに移行しつつある中で、自ら持っている通信インフラを新規事業に活かそうとする大手企業やインターネット・プロバイダーにとっても、新たな競争相手の出現と言えよう。
(また、SFCも2月7日6月23日のNEWSWatch記事で取り上げたような、企業との提携やベンチャー設立などの活動を積極的に展開しており、今回はその範を教授陣自ら示したものとも解釈出来、インターネット事業に於ける先進性を改めて見せる結果となっている)
 



[事業][マッチング](レベルA'
ロスピノス2アジア日本ユニシス情報システムのインターネットマッチングビジネスサイト「ワールド・ビジネス・プラザ


 日経産業新聞2面には、南米最大のプロバイダー:ロスピノス2(LOS PINOS II)のアジア統括拠点であるロスピノス2アジアと、日本ユニシス情報システムが8月、インターネットを使った企業のマッチングビジネスに乗り出すという記事が掲載されている。専用ホームページ「ワールド・ビジネス・プラザ」を開設して、日本企業や米国、スペイン、中南米企業の情報を掲載し、企業間の商取引や提携を促す場を提供するようだ。
 ロスピノス2アジアは今年2月に設立され、日本からラテンアメリカ地域などのロスピノスIIユーザーに対する電子メール広告や、WWW広告をスペイン語、ポルトガル語、英語、自国語の四ヶ国語で行うサービスなどを展開している(3月28日のNEWSWatch記事を参照)が、今回の日本企業との提携により、もう一歩踏み込んだサービス=企業同士を結び付ける事業(マッチング・ビジネス)を展開できるようになったといえよう。
 これまで、日本語圏と英語圏をマッチングするインターネット上でのサービスや事業は数多くあるが、世界の約1/4の勢力を誇るスペイン語やポルトガル語圏とのパイプを持つようなサービスは未だ少数に留まっており、新しい架け橋(マッチング)になればと期待される。



[電子マネー][EC](レベルA'
富士通などの、電子マネー事業展開


  日刊工業新聞8面には、富士通が電子マネーシステムの分野に本格参入するという記事が掲載されている。具体的には「ビザ・キャッシュ」や「モンデックス」などの電子マネーに対応する電子マネーシステムや、個人認証にICカードを使用するECシステムなどを開発/販売していくようだ。
 富士通は7月7日のリリースでも、ICカードシステムソリューションのキーコンポーネントの第一弾として、ICカードとリーダライタを発売を発表しており、明日の9日から11日までホテル・パシフィック東京にて開催される「'97エレクトロニックバンキング総合展」でも上記システム共々展示されるされるので、参考になるだろう。
 折しも日刊工業新聞7面には、エレクトロニック・マーケット・プレース(EMP)推進協議会が8日から、東京・三鷹市ICカード型電子マネーの実証実験'96年12月26日のinternetWatch記事及び、三鷹市の公報参照)を開始するという記事が掲載されており、使用されるのはJCBが発行する「JCBスマートカード」で、三鷹市の市民カード(4月15日のinternetWatch記事参照)のとしての機能もあるようだ。また、千葉・幕張のミニストップ・イオンタワー店では7日から、イオンクレジットサービスが発行する「イオン・スーパーキャッシュ」による電子マネー実験も開始したらしく、各々ばらばらにEC&電子マネー実験が相次いで始まっている。
 ICカードのみならず、プリペイドカード方式のビットキャッシュなども電子マネーとして普及し始めており、富士通のような併用化を可能とするシステム構築がより重要となってくるだろう。




余談その1:
 日経産業新聞5面には、三菱電機がインターネット上の情報保護に使う暗号技術の安全性を評価するソフトウエアを開発したという記事が掲載された。
 データ解読に使う「鍵」を割り出すのに必要最小限なコンピューターの計算量を示すそうで、試作したソフトはデータの暗号化と解読に同じ鍵を使う「共通鍵方式暗号」の性能を評価するらしい。
 「鍵」開発研究用に使われるならいいが、このソフトが公開されると必ず悪用されるケースが出てくると考えられ、単なる安全度の指標用途に留まらない危険性も感じてしまう。

余談その2:
 日経産業新聞11面及び日刊工業新聞8面には、富士通日立NEC日本ユニシスの4社が、分散オブジェクト技術の普及促進と関連製品の相互接続性の実証を主な目的とする「分散オブジェクト推進協議会」を設立することで基本的に合意したという記事が掲載された。
 7月7日の富士通のリリース及び日立のリリースにもあるように、分散コンピューティング製品の相互接続性をOMG(Object Management Group)の分散オブジェクト技術「CORBA(Common Object Request Broker Architecture)」および「IIOP(Internet Inter-ORB Protocol)」を核にして確保していくことで合意しているあたりは、今年3月に米のIBM、Oracle、Sun Microsystems、Netscape Communicationsの4社の合意発表とまったく同じ内容3月13日のinternetWatch記事参照)なのだが、 この4カ月の遅れが日本からの情報フィードバックの有効性を落とさないように頑張っていただきたい。

余談その3:
 日経産業新聞2面には、新潮社がインターネットを使って、小中学生を対象にした読書感想文コンクールを開催するという記事が掲載された。
 新潮文庫の100冊の中から好きな本を選び、PCを使って読書感想文を書き、インターネットで応募する仕組みで、新潮社では全国の小中学校に協力を呼び掛ける考えらしい。
 平時ならどうってことない記事なのだが、時期が時期だけにその趣旨など、よりハッキリさせなければならないだろう。(何事もシンチョウにということだろう...(¨;)



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