ウォッチャー金丸のNEWS Watch
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1997年9月29日


HEADLINE 2 articles

ファイバー・トゥー・ザ・ホームの進捗状況
新ネットワークサービス「セキュアードIPサービス(仮称)」
余談3題:BBC ONLINE/インテリジェントディスク試作機/インターネットのイメージ



[FTTH][NTT](レベルA'
ファイバー・トゥー・ザ・ホーム(FTTH)の進捗状況


 日経新聞19面には、来春からのサービス開始を予定しているNTTの「ファイバー・トゥー・ザ・ホーム(FTTH)」計画についての記事が掲載されている。NTTはFTTHにおける、光ファイバーと交換機の間に設ける光信号処理装置や、家庭の電気機器との間を取り持つ共用光回線終端装置(共用ONU)などを開発したり、沖電気もONUの低コスト化技術を開発、旭硝子などもプラスチック製光ファイバーを開発するなど、数々の成果が相次いでいるらしい。
 また日経産業新聞5面には、NECが大容量光通信網の運用に不可欠な信号処理装置となる、光クロスコネクト装置を開発したという記事も掲載されている。実験では1経路2.4Gbpsの光信号を電気信号に変換せずに光のままスイッチングすることに成功しており、入出力経路を増やせばテラビット通信網にも対応可能ということらしい。

 これまで横浜などで実験的に進められてきたFTTH計画も、来春の一部サービスインを控えて、急ピッチで実証実験から実用化に向けた具体的な成果が出ているわけで、NTTと共同研究をしている各社の開発追込みも終盤に差し掛かってきたとも言える。そういった開発成果を見るには、NTTの9月26日のリリースにもある「つくばフォーラム’97」(10月14日~16日に開催)が最適だろう。上記のFTTHや新光アクセスシステム(πシステム)についての技術的成果報告セミナーや展示を行い、NTTと繋がりの深い通信機械工業会や(社)電信電話工事協会、通信電線線材協会などに所属する企業もこぞって協力・出展するので、FTTHに関するシステム全般を知るにはもってこいのイベントと言える。またワークショップにおいては、マレーシアでのマルチメディア・スーパー・コリドール計画や中国におけるアクセス網高度化計画、ワイヤレス通信網ADSLフィールド実験の取組状況にいたる報告があるので、今後のNTTの国際展開から、その他に取り組んでいる通信新技術まで、NTTの次世紀に向けての方向性も一望できる内容になっているようだ。日本のメガ・キャリアの底力も垣間見れることだろう。



[ネットワークサービス][セキュリティ](レベルB
新ネットワークサービス「セキュアードIPサービス(仮称)」


 日経新聞13面及び日刊工業新聞1面トップには、日本テレコム日本IBMは、企業向けの新ネットワークサービス「セキュアードIPサービス(仮称)」を年内に開始するという記事が掲載されている。テレコムの通信インフラと日本IBMの認証や暗号の技術を組み合わせ、TCP/IPプロトコルは使うが情報漏えいなどの不安がないデータ通信網を構築するらしく、当面はインターネットとも接続しないようだ。
 インターネット・インフラをそのまま使ってセキュリティーを上げるには、9月4日のNEWS Watchで取り上げたような日本DECのバーチャル・プライベート・ネットワーク(VPN)「アルタ・ビスタ・トンネル(AVT)」などで仮想的な専用線網を構築する方法もあるが、サーバーと端末(クライアント)それぞれにVPNソフトが必要となってくる。それに比べて、今回のネットワークは初めからインターネットとは独立しているために、認証などもサーバー(ネットワーク)側に持つだけでセキュリティを上げられるなど、システム的には構築しやすい点もユーザーにとってメリットは大きいだろう。

 またこれとは別に、日刊工業新聞14面と日経産業新聞2面には、日本テレコムオープン・データ・ネットワーク(ODN)接続用のサーバパッケージ「ODN connection1」を10月1日から発売するという記事も掲載されている。サーバやルーター、ハブなどをセットして価格は95万円で、他にも障害時には現地で対応するハードウエアオンサイト保守サービスや電話サポートを行うヘルプデスクサービスなど初年度には充実した保守サービスを提供するらしい。
 上記2件ともに、来月から日本国際通信(ITJ)を合併するにあたり、OCNなどと競合する体力を付けるための改めての通信事業てこ入れと言えるだろう。




余談その1:BBC ONLINE
 日経産業新聞15面には、英国放送協会(BBC)が10月末にも、インターネットを通じて24時間の無料ニュースサービスを開始するという記事が掲載された。BBCのTV放送で得た取材内容をネット向けに編集して、文字や音声、動静画像、双方向技術も盛り込むようだ。
 既にBBC NEWSなどはデイリーで写真入の記事が掲載されているので、これまでは新聞サイトの様相を示していたわけだが、よりリアルタイムな報道をネット上で試みるということで、本来のTV放送コンテンツに近い形でNEWSを流したいとする放送人としての思惑も働いているのだろう。

余談その2:インテリジェントディスク試作機
 日刊工業新聞7面には、オプトロムが開発したCD-ROMのような光ディスク上にCPUやメモリー、通信機能を持つ回路を搭載したインテリジェントディスク(ID)の試作機が、11月末にも完成するという記事が掲載された。
 6月26日のNEWS Watchで詳しくその構造と応用範囲の広さを解説しており、PCなどの構造を根本的に変えるのではと期待している技術なので、はやく展示会でも見てみたいと思う。

余談その3:インターネットのイメージ
 日経産業新聞15面には、リクルートリサーチ社がインターネット・ユーザーから調査したメディアイメージで、情報に信頼性があるのは新聞、趣味情報を得るにはインターネットという記事が掲載された。信頼性があるメディアの1位として挙げられたのが新聞で約79%(複数解答)の支持を得ており、インターネットは20%だったらしい。
 とすると、新聞をリソースとしているNEWS Watchあたりは、新聞の次に信頼性が高い(?)ということになるのだろうか。



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