1997年10月29日
HEADLINE 5 articles
●今日のMS 関連記事
●岡山情報ハイウェイ構想の広がり
○Do
you know EC?
○海運向け気象情報サービス
○電子透かし技術を活用
余談2題:世界同時株価暴落の思わぬ影響/Wordが1千万本超
[MS][訴訟](レベルB)
●今日のMS
関連記事
今日は昨日からINTERNET Watch及びPC Watchにて報じらている米MSの反論・反訴関係のニュースを、日本の新聞各紙がどう報じているか、追ってみた。
まず28日のINTERNET及びPC
Watch Webに並載された、米SUNを反訴した件は、日経新聞15面と日刊工業新聞8面、そして朝日新聞13面にも掲載されている。反訴内容などの情報はWatchと同様なので省略するが、日経新聞では法廷外でのSUNとMSのソフト開発者などの囲い込み争いに関する記事を掲載しており、なかなか興味深い。
それによると、SUNサイドはマクネリー会長が22日、提携先の技術者を集めて「ネットスケープ社のブラウザーを買おう」とぶちあげ、Java標準化に向けたロビー活動(来月中旬の国際標準化機構(ISO)へのJava標準化申請の件など:既に今日のINTERNET
Watch WebにはISO米国分科会が申請を否決した件が掲載されている)などにも取り組んでいるとしている。これに対してMSサイドは、米インテルやコンパックなどの協力を取り付け、シリコンバレーでMS
Javaの利点説明会を開催するとしている。
また同じく28日にINTERNET
Watch Webに掲載された、反論書を連邦地裁に提出した件は、日経新聞15面のみの掲載になっており、これも米MSの27日のリリースを元にしているために記事内容はWatchと同様なので省略するが、連邦地裁が当反論書を見て最終的に裁判に入るかどうかを正式に決定するともしている。
上記2件の報道のされ方や記事の大きさを見ても、一般紙は取り扱いを減少させ、経済・産業系新聞も小さいマスでの扱いとなっており、冷静に(虎視眈眈と)次のトピックス待ちの体制を取っている様にも見える。上記のSUNとMSの場外乱闘が激しくなってくれば、また新聞紙面での扱いも大きくなることとは思うが。
[プロバイダー][インフラ整備](レベルA'、5月28日のNEWS
Watch参照)
●岡山情報ハイウェイ構想の広がり
日経産業新聞1面には、地方プロバイダーの三洋コンピュータ(岡山市、晴れの国ネット主催)が'98年2月から、岡山県の高速通信網「岡山情報ハイウェイ」を利用して、低価格の個人向けダイヤルアップ型接続サービスを開始するという記事が掲載されている。行政の通信網を利用して民間プロバイダーが商用接続サービスをするのは全国で初めてで、情報ハイウェイを無料で使用することで従来に比べ年会費を20~25%引き下げられるとしている。岡山県は12月末に県庁と9つの地方振興局を高速回線で結び、岡山全域を網羅する基幹通信網を完成させて民間に開放することから、三洋コンピュータは1月に本社と県庁を接続し、同時に高梁市など県内3カ所の地方振興局にアクセス・ポイントを設け、これまでの接続料金:年2万円を1万5千円にするともしている。
5月にNEWS
Watchで岡山情報ハイウェイ構想を取り上げた時には、IIJや東京インターネットなどとのインターネット相互接続実験における産学官共同の取組みとして、主にインターネット・インフラ整備の面で注目したのだが、今回その成果が地方(特に過疎地)の情報通信での活性化にも結び付きはじめているのが分る。OCNなどの通信業者によるネットワーク廉価化は行われてはいるものの、そのコストダウンのスピードは緩やかだ。そこに、行政などと結び付いて格安情報サービスを提供することは、或る意味市場原理を越えてはいるが、過疎地でのインフラ整備や海外並の低通信料金実現の為には、ある程度行われなければならない取組みとも言える。実験の後、確実に通信インフラとして残る、今回のような取組みがますます増えることを望みたい。
編集部注:編集部で三洋コンピュータ社に確認したところ、岡山情 報ハイウェイ構想において、民間プロバイダーに解放した場合の利用 状況の調査など、あくまでも実験の1つに参加するものとしている。 よって、新聞報道にある公的回線を使用して、民間プロバイダーが商 用サービスを開始するという報道は正しくない。また実験後、同様の サービスを継続させるかについても未定としている。
○Do you know EC?(本日のINTERNET
Watch Web記事参照)
日経産業新聞2面と日刊工業新聞7面、そして朝日新聞10面には、電子商取引実証推進協議会(ECOM)が28日、インターネットなどの電子ネットワーク上で買い物をする電子商取引に関する意識調査を発表したという記事が掲載された。電子商取引という言葉を8割が「知っている」ものの「購入経験がある」との回答は全体の13%にとどまったとしている。「ECで購入したい商品」のベスト5は、演劇チケット、海外商品、印鑑登録証明、住民票写し、交通チケットの順で、チケット類の権利(予約)商品や海外商品とともに行政サービスへのニーズが高いともしている。
調査した場所が、ダイレクトマーケッティングフェアという一般の入場者が多そうな所だけに、インターネットやPC関連の展示会などでの調査などより、世間でのECに対する評判も反映されていると思われる。ECに対してデータ洩れや注文した商品との差異が大きい等の不安もあるだけに、そのイメージ払拭がEC業界にも今後求められるだろう。
○海運向け気象情報サービス
日刊工業新聞35面には、日本気象協会が11月1日から、インターネットを活用した世界初の海運産業向けグローバル気象情報サービス「MICOS Ship」を開始するという記事が掲載された。従来のオンライン情報サービスに比べて1/3以下に低価格化しており、地球規模で外洋の波や台風予報などを表示するほか、国内主要港湾133カ所の48時間予報を提供する「港湾天気予報」や、各船舶が今後遭遇する気象状態や目的港の入港予定などが表示される「船舶運航管理情報」の提供など、11月12日までは無料サービスを実施するとしている。
テキストデータではなくホームページ上での情報提供となるので、特に海上の船舶へのデータ通信速度も問題になってくるだろう。PHSでは地上から電波が届かず、携帯電話では内海を航行する船舶に僅かにデータ伝送が可能ではあるが、衛星電話回線を使えば外洋上でもホームページを見ることが可能になる。しかし、まだ9,600bpsが主流のデータ無線通信では情報を確認するまでに時間がかかりすぎてしまうだろう。このあたりの改善も望まれるところだ。
○電子透かし技術を活用(10月27日のNEWS
Watchも参照)
日経産業新聞2面と日刊工業新聞7面には、サイバービジネス協議会(CBA)が、インターネット上でのコンテンツ流通に於ては「電子透かし技術」を活用することが必要だとした報告書をまとめたという記事が掲載された。不正コピーや不正二次使用防止へのキーテクノロジーとして電子透かし技術を位置付け、その技術の使用でインターネット流通の安全性と信頼性を高められるともしている。
奇しくも27日のNEWS
Watchでコメントした、「電子透かし技術の向上が、電子コンテンツの公正な流通を促進するのは間違いない。」と言った部分を裏付けたかたちとはなったが、活用プラス管理(運用)も重要となろう。
余談その1:世界同時株価暴落の思わぬ影響(10月16日のNEWS
Watch記事参照)
日経新聞9面には、いま一番マスコミを賑わせている話題である世界同時株価暴落(NY市場が暴落した10月27日の月曜日をブルーマンデーと呼ぶようになりそうだが)の影響が、米MCIコミュニケーションズの買収問題に出てきそうだという記事が掲載された。MCI買収には、英BT、米ワールドコム、米GTEと3社が手を挙げているが、特に影響があるのは一番高い株式交換方式を提案しているワールドコムであるとしている。
16日のNEWS
Watchでも、GTEが示した現金買収方式はこういった時に強みを発揮すると提示したのだが、全くその予想通りの展開となっている。現在のワールドコムの会社自体の高い評価も、株価とともにあるようなものなので、このまま株価低迷が続くようだと通信業界の風雲子と呼ばれるワールドコムの事業展開にも影響が出てきそうだ。
余談その2:Wordが1千万本超
日刊工業新聞8面と日経産業新聞5面には、マイクロソフトが28日、日本語ワープロソフト「マイクロソフト・ワード97」が累計出荷本数が1千万本を越えたと発表したという記事が掲載された。Office97の市場も日本が米国に次ぐ世界第2位へと成長しており、Wordも'90年12月発売以来、シリーズ累計で1千万本を超えたとしている。
これほど普及したWordとなれば、マクロウィルスなどの標的になってしまうのはいたしかたない部分もあるとは思う。しかし、その被害件数まで世界第2位にならないよう、対策も充分普及させるべきなのでは?(¨;)
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