Internet Watch Logo

ウォッチャー金丸のNEWS Watch リンクがすでに消滅していることもありますが、予めご了承くださ い。
・NEWS Watchとは
・about 金丸さん
・NEWS Watchバックナンバー

1997年11月19日


HEADLINE 3 articles

日本の通信業界再編も急を告げる
CATVインターネットを富士通がサポート
電子出版物を国会図書館へ
余談3題:DDIの国際通信サービス進出/@ぴあ拡充/アンチ・ウィルス市場急拡大


[通信業界再編](レベルA
日本の通信業界再編も急を告げる!11月11日のNEWS Watch参照)


 先週、朝日新聞が1面トップで報道したニュースが、今週は日経新聞の1面を飾っている。
 その日経新聞1面及び13面の解説には、国際電信電話(KDD)トヨタ自動車系の国内長距離新電電テレウェイ(日本高速通信)が、来年10月に合併するという記事が掲載されている。テレウェイの株式5~6株に対してKDDの株を1株割り当てる案で調整中ということで、トヨタ自動車が新会社で10%超の株式を保有し、郵政省共済組合やNTTを抜いて筆頭株主になると報じている。

 トヨタグループの国内外での通信事業の拡充(参入)(6月19日のNEWS Watch参照)をより加速させたいという意向と、KDDの日本列島を光海底ケーブルでぐるりと囲うJIH(Japan Information Highway)計画(本日の日刊工業新聞39面には、日本大洋海底電線社が19日、JIH用海底ケーブル製造開始式を行うとの記事もあり)の推進のため、日本国内の通信インフラを是非押えておきたいとする意向が相まった合併と考えられる。
 しかし互いの意向が結び付いているとはいえ、合併時期が来年の10月という時間的な余裕もあることから、米MCIコミュニケーションズ社を巡る巨大通信業者3社の買収合戦などの様に、我々が想像する以上の業界再編劇が起こり得る可能性も、まだ残っているだろう。

編集部注: テレウェイ社との合併について、KDDに問い合わせたところ、現在交渉中ではあるが、正式に決まったものではないとのことだ。



○CATVインターネットを富士通がサポート
 日経新聞11面には、富士通が2000年をメドに、現在出資している首都圏や近畿圏などのCATV事業者(16社)を通じて、CATV高速(伝送速度:10Mbps)インターネット接続事業に乗り出すという記事が掲載された。16社のCATV視聴世帯数は96年末で約20万世帯で、このうち武蔵野三鷹ケーブルテレビプロバイダー事業を4月から開始しており、さらに今年度中にもシティテレビ中野など数社が事業化する計画があるとしている。富士通ではCATVを家庭への新たな通信インフラとして、今後在宅介護などのサービスも取り込めると見ており、関連の機器やマルチメディア・コンテンツの需要開拓などに結び付けるともしている。

 CATVプロバイダー事業を支援している業者としては、ODNとの相互接続を進めている日本テレコム6月16日のNEWS Watch参照)などもある。が、InfoWebなどにおいてインターネット接続とともにWebコンテンツ事業での実績もある富士通が、CATVプロバイダー事業支援を手掛けることによって、高速インターネットの(特に)家庭などへの普及に対して貢献出来るのではと思われる。


○電子出版物を国会図書館
 日経新聞38面には、国立国会図書館長の諮問機関「納本制度調査会」が18日、国内で発行されるCD-ROMや光ディスクなどの電子出版物についても、国立国会図書館法の一部を改正して発行者に国会図書館への納入を義務付けることなどを盛り込んだ中間報告を発表したという記事が掲載さた。その報告書において、インターネットのホームページなどのネットワーク上の情報は、内容を次々と更新していくことが可能であり、どの時点で内容を記憶媒体などに移して固定化するのか決めるのが難しい上、著作者が後世に残すことを意図していないことも多いため、当面は納本義務の対象から外すのが適当としている。

 これは物理パッケージ化された電子出版物は納入し、それ以外は必要無いということだろう。Watchでの出版形態を考えて見ても、電子メールなどの電子パッケージされた出版物はどう扱われるのだろうか?またWatch Webにしても、ちゃんとバックナンバーをとって後世に残すことを意図している場合はどう扱われるのだろうか?などと疑問がわいてくる。
 出版物の形態も紙(Atom)からデジタル(Bit)へと広がりを見せている中で、国会図書館の納本の趣旨でもある「出版資料の大勢による直接利用を可能とし、永く後世に伝えていく役割」も損なわれないよう、貴重な資料を漏らさないということも検討していただきたい。
(私自身としては、NEWS Watchがどう扱われるかも、気になるところではあるのだが...(^_^;)

編集部注: 国会図書館に問い合わせたところ「現在、問い合わせが殺到しており、資料が足りない状態。足並みを揃えて、各社に対し今週末をめどに送付する予定。発表は昨日だが、館長、副館長には本日報告があった状態」とのことだった。この件に関しては後日INTERNET Watchで報道する。




余談その1:DDIの国際通信サービス進出
 もう一つ、日本の通信業者の国際進出にまつわる件として、日経新聞13面掲載の、DDIが国際通信サービスに進出する記事も取り上げてみたい。しかし国際通信参入とはいっても、98年9月から営業開始する衛星を使った国際携帯電話「イリジウム」への国際通信用の電話番号「0078」をこのほど取得した、ということのようだ。DDIは固定電話や携帯電話、PHSで国内から発信するイリジウム向け通話をDDI回線にいったん集約し、国内から海外まで一貫した通話料を設定してサービスを提供するともしている。

 地上における、通信業者同士のM&Aなどによる激しい通信インフラの奪い合いを避けて、宇宙に漂う衛星での通信インフラ構築に頼る事も、海外進出の一方策なのではと思われる。

余談その2:@ぴあ拡充10月1日のINTERNET Watch記事参照)
 日経新聞16面には、チケット販売最大手のぴあが、インターネット・チケット販売「@ぴあ」を拡充するという記事が掲載された。その第1弾として12月6日からアイルランド出身の人気ロックバンド「U2」のコンサートチケットを扱い、電話予約の受け付け開始と同時にインターネット販売も始めるとしている。

 人気チケットによるオンライン・サービスのユーザー数拡大を図ったというところだろう。個人的には、電話予約と比べてどちらがチケットを取りやすくなっているのかというところも、気になる部分ではある。

余談その3:アンチ・ウィルス製品市場が急拡大
 日経産業新聞7面には、日経ウォッチャー誌調べで、日本でのアンチ・ウィルスソフト市場が急拡大しているという記事が掲載された。出荷数トップのトレンドマイクロ社が、96年度のアンチ・ウィルス製品出荷数:84万本の倍以上となる180万本の出荷を97年度に見込んでいるのを筆頭に、主な販売ベンダー5社の合計出荷数の97年度見込が、前年度の約3倍の400万本弱に達するとしている。

 (ウィルスの感染経路にもなってしまう)コンピュータ・ネットワークの日本での普及の早さが、こんな数字にも反映されていると言えようか。



INTERNET Watch


(C)1996 Impress Corporation. All Rights Reserved.

internet-watch-info@impress. co.jp