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1997年12月2日


HEADLINE 3 articles

音楽配信2題
People-Power-Webサービス開始
東京電力のインターネット資材調達
余談5題:同時双方向送受話装置/路線バス運行情報実験/インターネットへの興味/信用リスク情報公開/ネチズンであるということは


○音楽配信2題
 日経新聞17面には、パソコン通信サービスのマスターネットが来春から、インターネット上で家庭用カラオケサービスを本格的に始めるという記事が掲載された。これまでパソ通(マスターネット、ニフティサーブPC-VANBIGLOBE)、ピープルJ&P HOTLINEのいずれか)を通じて、音楽データを送るカラオケサービスを提供してきたが、今後はユーザーがインターネット経由でも利用できるようになるとしている。料金はパソ通サービスと同額の1曲120円となり、ユーザーは一度受信すると、何度も繰り返して利用できるともしている。

 個人ユーザーなどが繰返し楽しむ分には何の問題も無いのだが、ダウンロードした楽曲データを又貸ししたり、再発信出来てしまうことなどに対する防止方策など、著作権に絡んだ課題はクリアされているか不明だ。

 また同じく音楽配信でも、直接的な商売でなく実験的な試みとして日経新聞16面には、ヤマハが12月22日に、坂本龍一氏と組んで東京・恵比寿の「恵比寿ザ・ガーデンホール」で開催するコンサートの演奏を、遠隔地の楽器にインターネットで送り再現する実験を一般公開するという記事も掲載されている。

 坂本氏は、この様な先進的な音楽配信の取組みと並行して、インターネット時代の知的所有権に関する意欲的な取組みも行なっており、その中から上記課題への答が見えてくるのかもしれない。


People-Power-Webサービス開始
 日経産業新聞2面には、オンラインサービスのピープル・ワールドが12月1日から、動画配信や認証・課金システムを備えたWWWサーバーのレンタルサービスを始めたという記事が掲載されている。他のプロバイダーより全体で平均2~3割安の料金を設定しており、例えば同社が提供するサーバーに利用者のコンテンツを預かり発信する基本サービスの「P-PLAZA」などは、料金は容量15MBで初期費用が3千円、月額3千円となっている。

 「People-Power-Webサービス」として開始されており、自前のハードやソフトなどのシステムを持たなくても、ECなどに参入可能となっているようだ。個人事業主としてこれからインターネット上での店舗を持ちたいと思っているユーザーなどには、朗報だろう。


東京電力インターネット資材調達
 日経産業新聞11面日刊工業新聞15面には、東京電力が1日から、インターネットを使って資機材の一部品目について新規取引先の募集を開始したという記事が掲載された。

 12月1日のリリースでも、日本内外から新しい資材を調達することでコスト削減につなげるのが狙いとしており、配電・送電用など電力流通設備用の資機材17品目(年間調達額:約300億円)が対象となっている。また、インターネットでの資材調達情報へのアクセス件数も21,200件/月(10月のアクセス画面数)と、今年9月以前の資材調達情報公開前に比べてほぼ倍増したともしている。

 東電の様な巨額な資材調達を行う企業でのインターネット取引における実績が上がって来れば、オンラインでの受発注業務などの普及に一段と拍車がかかることとなろう。




余談その1:同時双方向送受話装置
 日経産業新聞19面には、電子機器開発のパン・コミュニケーションズ(東京)と設計事務所の横浜電子技術、医療機器などの開発請負のエスコムとが共同で、PC用のハンディーフリー送受話装置を開発したという記事が掲載された。独自設計のアナログICを利用して、騒音の中でも人間の音声は鮮明に感知して送信、同時双方向の通話ができるとしている。従来のスピーカーホンでは、高価なDSP(Digital Signal Processor)を使わなければ通話する2人が同時に会話をすることができず、同社のICはDSPに比べて低価格で、この機器の販売価格を1万円台に押さえられるともしている。

 PCなどで同時通話できる用にする場合は、ソフト・コントロールするケースが多いのだが、音声が途切れたりするなど、その切り替え特性は今一つの感がある。その点、音声特性を重視したような今回の機器などは、ハードによる音声特性改善がなされて、かつ安価であることから、インターネット電話やパソコン会議などの使い勝手の向上にも寄与しそうだ。

余談その2:路線バス運行情報実験8月19日のINTERNET Watch記事参照)
 日刊工業新聞2面には、運輸省が1日から、路線バスの運行状況をインターネットを通じてリアルタイムに情報提供する実験を横浜市で開始したという記事が掲載された。実験期間は来年2月末までで、約3百人のモニターによる評価を行うとしている。

 早速その横浜市のページを見てみたのだが、Java Appletによる現在のバスの運行状況が一目で分るので、バスの動きを見計らって出発できる(バス停のご近所の方にとっての)メリットなど相当にあるのではと感じられる。

余談その3:インターネットへの興味
 日経新聞16面には、市場調査のジェイ・ディ・パワー・ジャパン(JDP)社とリサーチ・アンド・デベロプメント社が実施した調査で、PCに興味・関心がある人の割合が調査開始以来初めて50%を切り、購入意欲もある人も減少したという記事が掲載された。掲載されているグラフでも、インターネットに興味・関心がある人PCでインターネットをやってみたい人の割合も減少傾向にあるようだ。

 景気後退の影響がPC購入へも及んでいることは衆知となりつつあるが、インターネットへの興味も薄れてきていることは、Watchのみならずインターネット関連業種全てにおいて、由々しき事態と思われる。

余談その4:信用リスク情報公開
 日刊工業新聞19面には、野村総合研究所(NRI)がホームページ上で「ジャパンプレミアム(邦銀向け上乗せ金利)」と円債流通市場における「格付け別スプレッド」に関する信用リスク情報を公開したという記事が掲載された。ユーロ市場における取引からNRIが独自に算出したもので、日々データ更新するとしており、円債の格付け別スプレッドなどはあのムーディーズ格付けでAaa格からB格までの格付け別スプレッドも提供するとしている。

 既に11月28日から公開されたサービスで、一般・個人などがジャパンプレミアムなどのチャートを見ても、専門的すぎてどうこう出来るわけではないとは思う。しかし、今年11月以降のジャパンプレミアムの急激な上昇を見るにつけ、一連の日本の金融破綻を引き起こしている要因の一つを目の当りに突き付けられた気分にさせられる。

余談その5:ネチズンであることとは
 日経新聞8面の国際面には、イギリスで11月3日、ネチズンが国家に対する脅威とみなされ被告席に立たされたという内容の特集記事が掲載された。被告はイギリスの秘密情報部(SIS、通称MI6)の元エージェントで、不当解雇に怒ってSIS内幕本をインターネットで公開するとSISを脅迫し、逮捕されたということらしい。その日の公判でも、インターネットに習熟しているということで保釈も却下されたともしている。

 インターネットが全世界に向って開かれているという特性を逆手にとった本人が、その特性によって保釈もままならないとは、皮肉と言えば皮肉なのかもしれない。しかし、一般社会においてインターネットに精通しているからと言って、まるで魔女狩り当時の様な扱いを受けているということも、心しておこなければならない現実でもあるようだ。
(そういった意味では、12月1日のサオリ姉さんのSurfin'USAで書かれていた、Kevin Mitnichに対する拘置所での扱いに近いもを感じてしまう)



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