第5回：東風荘

■東風荘
http://mj.giganet.net/

　「ちょっと知りたいページの裏側」は、皆さんがご存知のさまざまなサービスやコンテンツが、どうやって作られているのかといった、なかなか知る機会がないところをインタビューしようというものです。
　さて第5回目は、インターネット対戦麻雀ゲームでおなじみの「東風荘」。今回は、作者で運営管理をしている東さんと、広告などを担当しているBNTの峰岸さんにお話を伺いました。

●対戦ゲーム好きが高じてソフト開発に着手

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IW編>>東風荘を作られたきっかけを教えてださい。

東　>>フリーのプログラマーをやっていたんですけれど、ちょうど'96年の夏ごろに暇ができまして。その頃ちょうどニフティやPC-VANで対戦麻雀をやっていて、課金が月に4～5万ぐらいと結構はまっていたんです。暇があってそんなにお金をかけているなら自分で作ってみようかなと思ったのがきっかけです。

IW編>>どのくらいの期間で作られたんですか？

東　>>もともとプログラミングの仕事でいろいろ経験があったので、まぁなんとなくできそうかな、という感じで作り始めたら意外と早くて、3～4カ月ぐらいでできました。夏に作りはじめて、12月末ぐらいに公開しました。

IW編>>当時、インターネットのオンラインゲームは多くなかったと思いますが、インターネットで始めた理由があれば教えて下さい。

東　>>個人的に始めるには、インターネットしかなったんです。パソコン通信ではコストがかかる。ちょうど知り合いの会社のところで、専用線を引いていて、無料で貸してくれるという話がありました。

IW編>>それはラッキーでしたね。

東　>>回線は64kbpsだったんですが、しばらくしていっぱいになってきまして。ホームページに、誰か引き取ってくれませんか？ という話を書いたところ、BNTの方から連絡があったんです。

IW編>>BNTさんが東風荘に興味を持たれたきっかけは？

峰岸>>本当に本格的なもので、これだったら面白そうだなと思ったのと、東さんが告知を出していたのを拝見したためです。告知がなければ弊社としても、何かやってるな、面白そうだなと思うだけで終わっていたかもしれません。

IW編>>BNTと東さんの仕事の分担は？

峰岸>>広告をとってくるといったことは、弊社のほうで受けています。東風荘を形を変えてやりたいというプロバイダーに対しての窓口などもやります。ディレクション関係も全部こちらです。それに対してプロダクションは東さんで、プロデューサーとディレクターの関係ですね。

IW編>>現在の運営は、やはり広告収入ですか。

峰岸>>全部広告で賄っています。広告以外のなにものでもありません。

IW編>>ということは、かなり広告が好調でいらっしゃる？

峰岸>>最初は本当に収支は赤でした。今の時点では、まだ好調とは言えないですね。アクセス数は10万人ぐらいかと思います。アクセス数が多いなら増やせばいいということになると思うんですが、回線容量を増やすほどのペイラインには行っていないんです。麻雀というカテゴリーなのでちょっと偏っているというのもあるかもしれません。取材している方にいつもお願いしているんですけど、広告募集と書いていただきたい（笑）。

IW編>>アクセスはやはりテレホーダイタイムが一番多いですか。

峰岸>>会社の人間も入れないほどです。誰も入れないので、その時間がどんな感じで行なわれているかというのは全然分からないんです。でも、昼間でも2/3ぐらいはいつも埋まっています。朝一からやっている人もいて、なぜこんな時間に？ と思いますけどね（笑）
峰岸>>でも、ひとつ言えるのは、広告を打ったとかではなくて、ユーザーサイドが盛り上がってくれた。まさに口コミでここまできたのかなと。

IW編>>最初の頃の人の入りはどうでしたか？

東　>>公開したといっても、ホームページを立ち上げて麻雀のサーバーを立ち上げただけなので誰もこない。まず知り合いの人2～3人に声をかけて、自分と4人でテストしていました。ところがそのうちYahoo!に公開されて、それで数人ぐらい集まるようになりまして。その数人がまた友人に声をかけて、また数人集めるという感じで、2卓ぐらい囲めるようになりました。正月になってからなぜか急に増えだしたという感じです。

●迷っているのはMacintosh版の開発

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IW編>>東風荘のサーバーシステムを教えて下さい。

東　>>普通のパソコンです。2台ありますが、ひとつがPentium 200のパソコンに64MBのメモリを組み立てたパソコンです。もうひとつも同等程度で、各サーバーに1,050人ぐらい入れます。OSはWindows NTです。

IW編>>自宅のパソコン環境と接続環境を教えて下さい。

東　>>メインはPentium 200のマシンです。麻雀するときはノートパソコンです。あとMacintoshもありますが、これはMacintosh版をつくるときに立ち上げるぐらい。接続は、ISDNダイヤルアップです。テレホーダイで始めて朝まで。それから朝寝るという感じです（笑）。

IW編>>東風荘の開発環境は？

東　>>Windows版がVisual C++、Macintosh版がSymantec C++です。

IW編>>日本語対応の対戦ゲームが少ないMacintoshユーザーとしては、Macintosh版があるのは非常にうれしいところです。

東　>>でも、いつもMacintosh版をやめようか迷っているんです。作るときはWindowsがメインで、Windowsでできたものを移植するんですけれど、ちょっとしたことでデバッガーごと落ちることが多い。そんなに複雑なプログラムではないので、1時間ぐらい我慢すれば治るんでなんとか続けられていいますが、一日悩むようなことがあるとわかりませんね。

IW編>>Macintoshのユーザーはどのくらいですか？

東　>>ユーザーは1割～2割です。IRCというチャットを仲間でやっているんですけれど、その中にWindowsも持っているけれどどうしてもMacintosh版でやりたいという人がいて、その一人の声に答えるために作ったんです。

●今後は無料サイトを残しつつ有料化も

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IW編>>有料化する予定があれば教えてください。

峰岸>>はい、考えています。ただし、今のところは、無料を残しつつという考えがあります。では無料との差別化をどうするかというと、やはりいつでも入れるというところかなと。たまに落ちる（接続しているのにいきなり接続できなくなる）こともあるので、回線に余裕を持たせたいと思っています。

IW編>>機能的にはやはり変わるのでしょうか？

峰岸>>まず、予約機能ですね。今でも予約というのはできるんですけれども、例えば何時に何卓を予約して、そこが貸し切れるような機能を作りたい。例えば、雀荘に電話して、何時にそこにいくからと予約できるような。
あとは第三者の観覧について何か考えたいなと思っています。マナーの問題ですが、第三者が入れるチャット機能があるので、誰が何で上がれるか、上がりの待ちをばらす人がいる。ほかにも、誰かを寄ってたかっていじめるなんていうこともあるようです。いじめられるのはやはり女性が多いようです。あとは中傷誹謗。卑猥なことを言うといったこともあります。

IW編>>第三者からのチャットをなくすというのは難しいんですか？

峰岸>>第三者からのチャットをなくすためのコマンドがあるので、本人たちは外そうと思えば外せるんです。できるんですけれども、まだ認知度が低いのかもしれません。

IW編>>いわゆる「チャット荒らし」はかなり多いのですか？

東　>>チャット荒らしをなんとかして下さいというメールは、日に4～5通来ています。チャット荒らしがひどいんで、もう行きませんというようなメールもあります。
峰岸>>しかし、チャットができるから面白いというところもあるので、難しいところなんです。
東　>>有料化は、そういった人のために、儲けるためじゃなくて、きっちりしたものを作りたいなという気持ちがあります。だったら再開しようと思って貰えるような。システム的というよりは、運営的なところでの問題と。月額の会員制にするか、従量制にするかわかりませんが、課金システムを考えていきたいと思っています。ある程度固まりましたらまたお知らせします。

IW編>>今後の東風荘について考えていることはありますか？

東　>>今テストをしているのは、赤ドラをいれて3人麻雀をやりたいなと。それが終わったらとりあえずは大きな機能はないですね。赤ドラがユーザーに不評なんで、ギャンブル性を高くするよりも、競技麻雀的なもののほうがいいみたいな動きも起きています。不評なら割に合わないので、やめようかなと思ってるんですけど。でも、3人麻雀なら4人揃わなくてもできるというメリットがあります。

IW編>>ほかのネットワークゲームの開発などは考えていますか？

東　>>そうですね。大貧民は作ろうと思っていたんですけど、すでにありました。トランプゲームを作りたいなと思っています。ババ抜きとかカードゲームが少ないんですよ。ほかには、スポーツものも作ってみたいですね、野球とかサッカーとか。ただ、そこまでいくと一人でやるのはなかなか厳しい。やはりグラフィックなどの専門の人がいないと。

IW編>>かなり対戦ゲームがお好きなんですね。

東　>>対戦ゲームならなんでもやります。この頃Yahoo!のホームページでゲームができたんですが、それにハマって作る時間が無くて（笑）。もし電話代が24時間定額になればみんなやるんじゃないでしょうか。

IW編>>お忙しい中、ありがとうございました。

【プロフィール】
東　：フリープログラマー。パソコン歴15年、インターネット歴3年。年齢は、30ちょっと越えたか越えないかぐらい（本人談）。趣味は麻雀、パチンコ、囲碁、将棋。読書、音楽鑑賞。一番の趣味はパチンコ。ただし、麻雀は実戦ではほとんどやらないとのこと。


【編集部より】
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('98/10/15)

[Reported by junko@impress.co.jp / masaka@impress.co.jp]

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