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第25回:メール編(14)迷惑メールを回避する


 迷惑メールから身を守るためにユーザーがするべき行動としては、「回避する」と「無視する」の2つがあると筆者は考えている。

 「回避する」とは、極力迷惑メールが届かないようにする、迷惑メールが届き出した場合に備えてメールアドレスの変更を容易にしておくという方法だ。一方、「無視する」とは、迷惑メールが届いてもユーザーが気にしなくてよいような、いわゆる「迷惑メールフィルタリング」という方法だ。

 今回はまず、「回避する」ための具体的な行動指針を解説したい。


迷惑メールを「回避する」方法とは

 「迷惑メールを回避する」というのは、迷惑メールの発信者にあなたの「今の」メールアドレスを察知されないということだ。全く迷惑メールが届かない環境というのは非現実的だが、極力届かない体制を作ってしまおうというのが今回の本題だ。

 多くのISPでは、加入者に対してメールアドレスを1つ提供しているが、このアドレスにすべてのメールを集約することが、迷惑メールに困る状況を生み出していると筆者は考えている。友人とのやり取り、銀行やクレジットカードのお知らせ、ECサイトや懸賞サイトの登録など、1つのメールアドレスですべてまかなおうとすると、迷惑メールの山になってしまうだろう。

 そういった状況では、メールアドレスの変更をしたくても、誰に「メールアドレス変更しました」と通知を出せばよいかわからなくなってしまっているかもしれない。こうした悲惨な状況にならないようにするために、メールアドレスを変更しやすい体制を作っておきたい。

 自分のメールアドレスが迷惑メール配信業者に収集されて、迷惑メールが届き出したら、そのメールアドレスを破棄して使わないようにすれば迷惑メールを「回避」したことになる。(例えが非常に悪いのだが、借金取りが大挙してやってくるのに「夜逃げ」すると思えばわかりやすいだろう)。


複数のメールアドレスを用途別に使い分ける

 懸賞サイトや出会い系、アンケートなどが迷惑メールのアドレス収集に使われる可能性があることは以前説明したとおりだ。このため、メールの目的と収集される可能性の度合いによってメールアドレスを使い分ける方法をお薦めしたい。つまり複数のメールアドレスを用意して、これをジャンルや信頼度で分けて使用するということだ。

 例えば、「迷惑メールの汚染源」になりそうな懸賞申し込みやアンケートに対しては、メールアドレスを破棄しても困らない専用アドレスでやり取りをすればよい。逆に各種の通知メールが届くが、しっかりとした管理体制を整えており、メールアドレス漏洩事故が起こらないであろう「銀行・クレジットカード」にも別にメールアドレスを設定しておくということだ。

 とはいえ、あまり多くのメールアドレスを持っても管理が煩雑になるので、筆者としては、個人連絡用、金融機関用、ECサイト用、アンケート用の4つぐらいから始めるとよいと考えている。

 このようにメールアドレスを目的ごとに分離しておけば、目的外のメールが来た場合に判断が容易になる。例えば、銀行関連のメールアドレスしか受信しない「銀行用」アドレスを作れば、それ以外のメールアドレスに「○○銀行からの大切なお知らせ」と称したフィッシングメールが届いても、メールアドレスが銀行用でないので直ちに怪しいと判断できる。

 筆者の場合、PayPalのフィッシングメールがよく届くが、筆者の正規のPayPal用アドレスは他であまり使っていないアドレスなので、それ以外に届いた場合はフィッシングであることが内容を吟味するまでもなく判明してしまう。


フリーメールで複数のメールアドレスを取得する

 複数のメールアドレスを確保する方法としては、現在ならば無料でアドレスを取得できる「フリーメール」が最も手軽だろう。筆者は、Yahoo!メールとGmailを頻繁に使用している。

 ただし、フリーメールを使う場合にはいくつか注意点がある。フリーメールは簡単に作成できる一方、一定期間アクセスがない場合はアカウントが閉鎖されてしまうため、定期的なアクセスが必要だ。期間はサービスごとに異なるが、最低でも月に1度はアクセスしたほうがよいだろう。

 (「アクセスしないとメール確認すらできないじゃないか」と反論されそうだが、受信のみのケースでは、メール転送設定で済ませることができる。また、Webメールが基本のフリーメールでPOPアクセスを行った場合に、アクセスしたと判断されるのかわからないため、確実なアクセス記録のためにWebログインを定期的に行うと解釈して欲しい。)

 銀行やクレジットカードなど金融機関からのメールは基本的に受信専用であり、頻繁に送信するのは友人や知人の連絡用メールアドレスであるため、これをメールソフトで送信できるようにしておけば基本的には問題ない。ECサイトへの連絡も頻繁に行わなければ、フリーメールに用意されているWebメールで十分といえるだろう。


メールアドレスを使い分ける際のポイント

 なお、フリーメールのアドレスでは、登録を受け付けないオンラインサービスも存在する。これはサービス提供元の問題でいかんともしがたいが、必要ならば、ISPが提供している追加メールアドレスの契約をしたり、別のISPのダイヤルアップコースの最小限の契約をする方法もある。

 例えば、BIGLOBEでは「わいわい1時間コース」を使えば月額210円でメールが利用できる。@niftyでは「お手軽1コース」が月額262円で利用可能だ。有料のメールサービスを提供しているASPもあるが、意外と高いのでむしろこちらのほうが安いだろう。

 なお、ISPのコンテンツ会員に登録すれば無料でメールアドレスを取得できるケースもあるが、コンテンツ会員は一定期間コンテンツ利用がないと強制退会の恐れがあるのと、接続会員とはメールドメインが違うのでフリーメールとして扱われる可能性があることに注意したい。

 なお、メールアドレスを複数設定する際には、大切なポイントがいくつかある。

 1つ目は、ランダムな組み合わせや辞書組み合わせによるメールアドレスの生成による迷惑メールを防ぐために、メールアドレスはある程度長く、アルファベットだけでなくアンダーバーやピリオド、数字を混ぜたものにしておくことだ。

 2つ目は、そのメールアドレスを知らせた相手や、可能ならばサービスに登録した日にちをメモしておくことだ。これは該当メールアドレスが「迷惑メールで汚染」されたときに、メールアドレスの変更を伝える相手がすぐわかるためだ。

 以上のことを踏まえた上で、何らかの理由で特定のメールアドレスへの迷惑メールが多くなった場合には、そのメールアドレスを変更すればよいだろう。



2008/07/30 11:51
小林哲雄
中学合格で気を許して「マイコン」にのめりこんだのが人生の転機となり早ン十年のパソコン専業ライター。主にハードウェア全般が守備範囲だが、インターネットもWindows 3.1と黎明期から使っており、最近は「身近なセキュリティ」をテーマのひとつとしている。

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