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「bモバイル」を提供する日本通信に無線サービスの今後を聞く

〜2004年は無線アクセススポット元年に

 日本通信株式会社は、PHSを利用した定額のインターネット接続サービス「bモバイル」を提供している通信事業者だ。2003年3月からは無線LANのアクセススポットにも対応し、2004年1月にはインテルキャピタルジャパンが日本通信への出資を発表するなど、無線アクセスサービスを提供する事業者として話題を集めている。今回は同社執行役員の福田尚久氏に、無線アクセスサービスの現状と今後について伺った。


購入すればすぐに使える「周辺機器感覚で使える通信サービス」

日本通信の福田尚久氏
 「当社のサービスを一言で言えば、『どこでもインターネットにつなげます』ということになります。家庭にはブロードバンドが広まっていますが、そうなればなるほど、どこでもインターネットに接続したいという欲求も強くなっています」と語るのは、同社執行役員の福田氏だ。同社では、2001年12月に個人向けのサービスとして、PHSによる接続サービス「bモバイル」の販売を開始した。DDIポケットの通信網を利用するPCカード(CFカード)と、半年〜2年分の定額使い放題の接続料があらかじめ含まれているプリペイド型の製品だ。

 同社がプリペイド型のサービスを提供しているのは、ユーザーにとってのわかりやすさを追求した結果だとしている。接続用のカードを購入、通信事業者との契約、プロバイダーへの申し込み、アクセスポイントの電話番号・ユーザー名・パスワードを設定、といった各種の手続や設定の手間が、多くのユーザーにモバイル環境でのインターネット利用をためらわせているという。

 一方、bモバイルの場合にはこうした設定は必要ない。カードを購入して、専用ソフトウェアをPCにインストールすれば、アクセスポイントなどの通信設定は自動的に行なわれる。「量販店などで購入してくればすぐに使える、プリンターや外付ハードディスクといった、PCの周辺機器のような感覚で使える通信サービス」を目指した結果だということだ。


PHSに無線LAN、目指すは「通信のBTOサービス」

 さらに、2003年の3月からは無線LANの無線アクセススポットにも対応している。PHSのカードとは別に、PCに内蔵されている無線LAN機能などを利用する形になるが、こちらも専用ソフト「bアクセスWiFi」が用意され、ESS-IDや暗号鍵の設定などを自動的に行なってくれる。どの無線アクセススポットに行っても、専用ソフトさえ起動すれば業者の違いを気にすることなく利用できるというものだ。

 現在、bモバイルでは「HOTSPOT」「FREESPOT」「無線LAN倶楽部」など8社の無線アクセススポットサービスに対応している。本来、日本通信はMVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体通信事業者)と呼ばれる、複数の通信事業者のサービスを組み合わせて1つのサービスとして提供する事業者で、法人向けにはPHS以外にもダイヤルアップなどを組み合わせた形で接続サービスを提供している。個人向けにはDDIポケットのPHS網を借り受けてリセールする形でサービスを開始したが、本来目指していたのは単なるリセールではなく、こうした複数の通信サービスを組み合わせて提供する形のサービスだ。

 福田氏によれば、日本通信では「パソコンのBTOサービスのように、各種の通信サービスを必要に応じて組み合わせる『通信のBTO』の提供」を目指しているという。複数の通信事業者のサービスから必要なものを組み合わせることで、ユーザーが本当に求めているサービスを提供しようという考え方だ。現在のPHSや無線LAN以外の通信サービスについても「3G携帯電話を始め、各通信事業者のサービスについては常に使わせて欲しいとコンタクトを取っています。コストの問題もありますが、ユーザーのニーズに見合う通信サービスが利用できれば、当然それも束ねた形でサービスを提供したいと考えています」と語る。


複数のサービスが使えるというメリット

 編集部でも、bモバイルの「U100C」を借りてサービスを試用してみた。PCに専用ソフト「bアクセスWiFi」をインストールして、カードを装着すれば準備は完了。さらに、無線LANを使う場合には、同社のWebサイトでユーザー名などを登録する必要があるが、これもすぐに終了する。あとは専用ソフトを起動すれば、PHSが使える場所ではPHSのボタン、無線LANが使える場所では無線LANのボタンをクリックするだけで、どこでもインターネットへの接続が可能となる。

 通常は無線アクセススポットに行くと、まずその場所がどのサービス事業者に対応しているのかを確認して、ESS-IDと暗号鍵を設定。さらにそのサービスの認証ページにアクセスして、ユーザー名とパスワードを入力、といった手順を経てようやくインターネットに接続できる。さらに言えば、あらかじめその事業者と契約しておくことも必要だ。一方、bモバイルの場合には、専用ソフトを起動して無線LANのボタンをクリックするだけだ。

 試用中、出張で立ち寄った新大阪駅で無線アクセススポットを使ってみた。今回初めて使うサービス(JR西日本の「エキLANスポット」)だったが、ボタンをクリックすればすぐに接続が完了する便利さを改めて実感した。ある程度の知識があるユーザーであれば、複数の無線LANの設定を自分で設定し、必要に応じて切り替えることもできるだろう。しかし、bモバイルのように、専用ソフトで様々なアクセスサービスを簡単に、手続き無しに利用できるメリットは大きいと感じた。

 ただし、この専用ソフトを使うと、これまで使っていた無線LANのユーティリティは利用できなくなってしまう。試用した環境では、自宅と職場で無線LANを使い分けるのに無線LANアダプタのメーカーが提供しているユーティリティを利用していたが、これとbモバイルの「bアクセスWiFi」を併用することはできない。ただ、bアクセスWiFiには「ユーザー定義」機能があり、自宅や職場の無線LANの設定をすれば同様に利用できる。しかし、マニュアルにそうした説明がやや不足しているように感じられた。無線アクセススポットの利用者の多くは自宅や職場でも無線LANを利用していることを考えると、無線アクセススポット以外で無線LANを利用する際にも使いやすくする方向での改善を望みたい。


「bアクセスWiFi」の画面。PHSと無線LANのどちらもワンクリックで接続できる

それでもまだ高いサービス、値下げの決め手は「無線LANの普及」

 同社の製品はプリペイド型のため、特別な契約は不要で購入すればすぐに使用できるという点では便利だが、前払いとなるため最初の料金が高くなってしまう。主力製品のマルチリンクベストエフォート128kbpsの「U100C」の場合、半年間利用可能なパッケージで約5万円、カードを含まない更新料のみでも約4万円(量販店などの店頭価格)となる。プロバイダー料金も込みで、各社の無線LANホットスポットが使えることを考えると割安ではあるものの、なかなか個人では手を出しづらい価格だ。こうした点については、「営業面から考えれば、値下げしてユーザーを集めるという方法もありますが、ネットワークを調達するコストが下がらなければ無理をしていることになり、ビジネスとしては成り立たなくなります」(福田氏)と語る。

 現状では、サービスの価格は月額にすると6,000〜7,000円程度となってしまうのは避けられず、まずはビジネスで利用するユーザーがターゲットになるということだ。これが3,000円程度になれば、一般にもさらに普及していくと考えてはいるものの、現時点ではビジネスモデルを確立することが先で、無理に値下げをするつもりは無いという。

 ただし、現在のPCカードのような製品ではなく、PDAなどに直接組み込む形の製品であれば、さらに安い価格帯でのサービスが可能になるとしている。それは、特定の機器であれば使用時間にも限界があり、24時間ネットワークを使い続けるような状況が無くなるためということだ。本来はモバイル用途を前提として販売されているbモバイルだが、現状では自宅でメインの回線として利用しているユーザーもまだまだ多いという。

 もちろん、24時間いつでも利用して構わないサービスとして販売しているものだが、計算上は1人のユーザーに対して月額300万円分のネットワークコストがかかることもありえるという。一方、専用機器に組み込まれる形でのサービスであれば、こうした状況は想定しなくても済むため、月額1,000円程度でのサービスも可能になるということだ。

 また、データ通信市場全体のネットワークコストを下げるには、ホットスポットの普及が早道だと考えているという。これは「無線LANによる高速なホットスポットサービスが普及すれば、他の回線事業者もそれを無視できなくなり、料金は下がっていく」という予想によるものだ。


2004年が本当の「無線アクセススポット元年」に

 無線アクセススポットの普及については、「今年の春にも施行される電気通信事業法の改正が1つのターニングポイントになる」と予想している。これは、4月から6月にかけて施行される予定の改正では、通信事業者の1種と2種の区別が無くなり、事業への参入や撤退がこれまでの認可制から登録制になるためだ。

 これまで、通信事業者は回線を自社で保有している「第1種事業者」と、第1種事業者から回線を借りてサービスを提供する「第2種事業者」に分類され、第1種事業者は国からの許可が必要とされてきた。しかしこの定義では、無線LANによるアクセススポットサービスは第1種に相当すると考えられるため、多くの事業者が無線アクセススポットを「実験サービス」として提供している一因になっているという。これが、法改正により正式サービスとなり、スポット数も大幅に増えるという。その意味では「2004年こそが本当の意味での無線アクセススポット元年」になるという見通しだ。

 ただし、無線アクセススポットの増加は歓迎すべきことだが、「たとえ無線アクセススポットの数が10万件以上になったとしても、それだけですべてをカバーできるわけではない」としている。現在、bモバイルで利用できる無線アクセススポットの数は3,000以上となっているが、これが10万、100万と増えたとしても、その通信技術の特性上すべてのエリアがカバーできるわけではなく、PHSのようなカバーエリアの広い接続手段も引き続き必要になるという。

 インテルキャピタルが同社に投資を行なったのも、こうした点も理由の1つだということだ。インテルは、無線LANを標準機能として持つCentrinoの発売以来、無線LANや無線アクセススポットの普及を促進するキャンペーンを進めているが、やはり現状では無線アクセススポットだけではモバイルコンピューティングには不十分であるということが、日本通信への投資につながったようだ。

 現時点では、無線LANのようなPC業界から来た技術と、PHSのように通信業界から来た技術をシーンに応じて組み合わせて提供するのが、もっとも効率的なサービスだと考えているという。「将来的にはPC業界発の技術の方が、コスト面などで有利になるのではないか」とも予測しているが、いずれにしても同社はサービスを組み合わせて提供するMVNOであり、「自分たちでインフラを持つつもりはありません。ユーザーの代理となって、各サービスの『いいとこどり』をする形で、3G携帯電話やさらにその先のサービスも、開始されればそれを束ねてユーザーに提供していきたい」という。


関連情報

URL
  日本通信
  http://www.j-com.co.jp/
  関連記事:インテル キャピタル、「bモバイル」の日本通信へ出資
  http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2004/01/22/1833.html
  関連記事:bモバイル、PHSデータ通信とHOTSPOTなどが1年使い放題のサービス
  http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2003/09/18/493.html
  関連記事:日本通信、無線LANとPHSを切り替える「bアクセスWiFi」のベータ版
  http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2003/0722/baccess.htm


( 三柳英樹 )
2004/03/01 14:43

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