インターネットの普及が進むにつれキャッシュレス化も進展したというアイスランド。VISAアイスランドで最高経営責任者代理を務めるレイファー・シュテイン・エリソン氏によれば、2003年の民間消費支出に占めるカード払いの割合は72%に達したという。日本のカード支払いは民間消費支出の8%程度に止まっており、「アイスランドは世界的にも電子決済が最も進んでいる国の1つだ」と語る。
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VISAアイスランド
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VISAアイスランドのエリソンCEO代理
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● 決済手数料は日本より安い。VISAではデビットカードも発行
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アイスランドで発行されているカードの一部
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アイスランドのカード利用額
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VISAアイスランドでは、ペイメントカードとしてクレジットカード以外にデビットカードを発行。いずれもアイスランド国内発行シェアは70%を超える。決済手数料は日本より安い。日本国内では1.7~5.0%の手数料が、アイスランドでは0.9~2.5%だ。このため「加盟店もカード利用者に対してディスカウントし、カード利用者はさらにカードを利用するという好循環ができた」と分析する。
なお、アイスランドでペイメントカードの所有が許される年齢制限は、デビットカードが12歳以上、クレジットカードが16歳以上だ。ちなみに法的に成人とされるのは18歳からだという。
VISAアイスランドの戦略は、“必要悪”とされてきたカードの利用を“快適な行為”に変えることだった。「まず、消費者のニーズに応じて25種類のカードを発行した。海外旅行好きなアイスランド人な嗜好に合わせてアイスランド航空と提携して、マイレージのポイントを貯められるようにし、自動的に旅行保険に加入するようにした」という。
こうしてカードの利用率が高まると、「納税や光熱費といった毎月の支払いもカード払いに対応した」。また、アイスランド人に新しいモノや新技術を好む性向があり、インターネットや携帯電話によるECやオンラインバンキングの進展もペイメントカードが普及した原因の1つだと語った。
エリソン氏は「小切手や現金の取引は減少し続けており、現在では全ての取引のうち、現金取引は10数%程度になっている」と分析。「今では雇用者の97%がペイメントカードを所有し、レイキャヴィク市内のホットドックショップでもカードが利用できる。アイスランドはキャッシュレス社会をほぼ実現した」とコメントした。
● フィッシング詐欺には国際的な対策を
一方、ペイメントカードによる犯罪の抑止策については現在検討しているところだという。「例えばフィッシング詐欺の場合は、国内サーバーではなく、国外サーバーで行なわれるケースがほとんど」とし、アイスランドだけでなく国際的な対策の必要性を訴えた。
なお、ビザ・インターナショナルでは、カードの偽造防止対策として磁気ストライプ部分に鳩のホログラムを印刷する新しいデザインを15日付で発表。同社では「これまで表面に印刷されていた鳩のホログラムと磁気ストライプと組み合わせることでて、カードの偽造を困難した」としている。なお、新デザインのカードは2005年後半から順次提供される予定だ。
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新デザインのVISAカード。ロゴマークも新しくデザインされている
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関連情報
■URL
VISAアイスランド(アイスランド語)
http://visa.is/
ニュースリリース(新デザインのVISAカード)
http://www.visa.co.jp/newsroom/NR_jp_150305.shtml
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( 鷹木 創 )
2005/03/25 18:30
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