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すべてのユーザーが公平に帯域を利用するために

~アンリツに聞く、ISP帯域制御の裏側~

アンリツピュアフロー事業推進部営業部の森課長と笛木主任
 「動画がカクカクする」「音声や画像が途切れる」「ブロックノイズが発生する」。動画のストリーミング配信などで、こんな経験のある方も少なくないだろう。ダイヤルアップやISDNなどのナローバンド環境ならまだしも、ADSLやFTTHなど数十Mbpsクラスのブロードバンド環境ですら、発生する可能性があるのだから納得できない。

 IPネットワーク向けなど通信、計測機器の大手であるアンリツでは、こうした現象についてネットワーク側で対応できる制御機器を提供している。同社ピュアフロー事業推進部営業部の森一弘課長と、同営業部マーケティンググループの笛木正主任にお話を伺った。

ケーブルテレビ2005に帯域制御機器を出展
 アンリツでは、「PureFlow SS10」および「PureFlow FS10」を、15日(水)から開催される「ケーブルテレビ2005」に出展。会場でデモも実施する。出展についての詳細はこちら


ブロードバンドなのになぜ?

――ブロードバンド化されて帯域は確保できているはずなのに、なぜ音声が途切れたり、ブロックノイズが発生してしまうのでしょうか。

森氏
 本来、通信パケットはある一定間隔を維持しながら均等に送出されるべきですが、実際にはムラのあるバースト状態で送信されています。パケットが固まった状態でバースト送信されることにより、ルータやスイッチなどのネットワーク機器内で瞬間的なバッファオーバーフローが発生し、結果としてパケットロスが発生しているのです。


パケットロスはバッファオーバーフローが原因

 アンリツでは、1msの分解能でトラフィックをリアルタイムにグラフ表示できるIPアナライザ「MD1230B/MD1231A」を販売しています。例えば、WMT形式で平均レート1Mbpsの映像を配信する場合、100ms程度の分解能では1Mbpsの位置で横ばい、すなわちバーストしていない状態に見えます。ここで分解能を1msまで上げてみると、ギガビットインターフェイス利用状況下では平均1Mbpsといえどもピークは200Mbps近くに達し、実際は上下の振幅が非常に激しいトラフィックになっていることがわかります。つまり皆さんが一般的に視聴している1Mbps程度の映像配信でも、パケットがバースト状態で送信されることで、一時的に200Mbpsの帯域を占有してしまうのです。

 一時的にでも帯域が占有され、ネットワーク機器のバッファがオーバーフローし、パケットロスが発生すると、フレームレートが極端に落ちて動画がカクカクしたり、メディアプレーヤー側でバッファリングが頻繁に行なわれ停止状態が続いたり、画像圧縮ブロック単位で映像欠損によるブロックノイズが発生したりする場合があります。Windows Media Playerであれば映像が止まったり、音声が途切れたりする状況になる可能性もあるのです。


「上り回線と下り回線の帯域の差が問題を生み出すこともあります」(森氏)
 上り回線と下り回線の帯域の差が問題を生み出すこともあります。テレビ会議システムで支社の回線と本社の回線の太さが異なる場合などがこれに当たります。例えば、支社がADSLで本社がFTTHのときは、支社の画像を本社が見る分には問題ありませんが、本社の画像を支社が見ようとするときはパケットロスが起こる可能性があります。

 というのも、本社の画像はFTTHの上り回線帯域100Mbpsで送信されますが、それを閲覧する支社ではADSLの下り回線帯域数10Mbpsで受信するからです。バースト状態のまま本社から送信されると、回線が細くなる受信側装置でバッファオーバーフローによるパケットロスが発生する状態になってしまっているわけです。

 ですから、このパケットバーストを平均化(アンリツでは平滑化といっていますが)できれば、高精細な映像の安定した配信ができるでしょう。そこで、アンリツでは2004年7月にパケットのバースト状態を平滑化するIPネットワークの帯域制御機器「PureFlow SS10」を発売したのです。

 ストリームシェーパ「PureFlow SS10」は、バースト状態で受信したパケットをあらかじめ設定したレートに調整するネットワーク機器だ。レートコントロールの範囲も、800Mbpsまでの超高精細な映像配信から8kbpsのIP電話までと幅広い。10台までのストリーミングサーバーを1台で制御可能なほか、IPv6にも対応している。価格は1台730万円~。


――PureFlow SS10を導入することで、どのような効果があるのでしょうか。

笛木氏
 ネットワークを効率的に利用できるようになり、高品質のコンテンツを配信できるようになります。また、バースト状態を平滑化することで空き帯域が生まれ、コンテンツを配信するISP様側は1本の回線により多くのコンテンツ(フロー)を流すことができ、結果的にはコストの削減にもつながるでしょう。


「PureFlow SS10でパケットのバースト状態を解消し、ネットワークを効率的に利用できます」(笛木氏)
 例えば、VODなどの配信システムだけでなく、通信衛星による配信システムにも適しています。衛星の配信システムは、ネットワークのパケットバースト状態を平滑化しないと、通信衛星を利用する他のサービスにも影響を与えてしまいますから、帯域制限が大変厳しいですね。最近では多チャンネルのカメラ監視システムもやっかいです。それぞれの地点でカメラとセットで設置しているリアルタイムエンコーダが、配信サーバーと同じ役割を果たしますので、やはりバースト状態による影響を受けやすいのです。

 実際に、1チャンネル4MbpsのCS放送を100Mbpsのトランスポンダで配信する場合では、それまで15チャンネルしか配信できなかったのに、PureFlow SS10を導入することで24チャンネルの配信が可能になります。IPネットワーク上の映像配信では、これまで回線の帯域や配信サーバーの性能が注目されていました。しかし、回線帯域を1Gbpsから10Gbpsに引き上げたり、配信サーバーを追加するには1千万円単位の大規模な設備投資が必要です。そこでPureFlow SS10を導入すれば大規模な設備投資を行なうことなく回線を効率良く利用できます。また、コンテンツも高品質に配信できるようになるでしょう。


P2P対策には“公平制御”、サーバ・ベース・コンピューティングにも対応

森氏
 ISP様などの配信事業者側ではこれまで、増え続けるトラフィックに対して回線帯域を10Gbpsに増強したり、サーバーを増設したりして対応してきました。ですが、インターネットはベストエフォート型のネットワークです。空いていればアクセス回線の最大速度まで帯域を利用できますが、その一方で、最初に帯域を占有した方がいれば、その後にアクセスした方のスループットは際限なく低下してしまいます。回線帯域やサーバーを増加させても、見当違いの対策になりかねない可能性もありますね。

 10Gbpsをもう1本ということになりますと非常に大きなコスト負担になります。また、10Gbps以上の機器が販売されていない以上、現状では回線の太さも10Gbpsで頭打ちです。最近はVODやストリーミングによる大容量の動画コンテンツが増加していますし、社会問題にもなったWinnyなどのP2P型ファイル交換アプリケーションによる帯域の占有は、各ISP様にとっても大きな問題になっています。ですから、ISP様の設備投資がトラフィックの増大に追いつかない状況なんです。

 例えば、P2P型ファイル交換アプリケーションでは一部のユーザーが帯域を占有することが問題になっています。これまでもユーザーごとに回線を監視し、パケットのパターン認識により回線制御を行なうシグネチャ方式の帯域制御装置がありました。しかし、制御されたとしても回線を回り込んだりすることで、制御をすり抜けられたり、誤って検知してしまうこともありました。また、回線を占有できない、もしくはする必要がないユーザーにとっては、占有しているユーザーに対して不公平感もあったと思います。

――確かに、同じ利用料を支払っているのに使える帯域が大きく異なるのは、ユーザーとしては納得しにくいですよね。

森氏
 アンリツではそうした問題に応えるために、シグネチャ方式ではない“公平制御”方式による帯域制御装置「PureFlow FS10」を開発しました。公平制御という考え方は、簡単に説明すれば、回線帯域を、利用しているユーザー数で単純に割るだけです。ユーザー1人あたりの割り当て帯域は、利用ユーザー数を分母にして、回線帯域を割ることで求めるわけです。誰が何をやっているか、ということは関係なく、ズバっと頭割りしてしまうのです。

 公平制御方式の利点は、ネットワーク利用者全員が同じだけ帯域を利用できるほか、シグネチャ方式では必要であったパターンファイルの更新が不要なことです。従ってソフトウェアのアップデート費用もかかりません。また、パターンファイルマッチングのためのトラフィック分析も不要で、高いネットワークパフォーマンスを実現できます。


 フェアシェア「PureFlow FS10」は、“公平制御”方式のネットワーク制御機器。ユーザーごとに均等に帯域を割り当てることができるほか、各ユーザーごとに重み付けを行ない、優先的に帯域を割り当てることなども可能だ。価格は1台530万円~。


森氏
 PureFlow FS10は、例えば、一部のユーザーが回線を占有しがちなP2P型ファイル交換アプリケーションに対しても有効ですし、それ以外にも最近導入例が増えているというサーバ・ベース・コンピューティングにも効果があるのではと考えています。

 サーバ・ベース・コンピューティングというのは、クライアント側にはアプリケーションを置かず、サーバー側のアプリケーションをクライアントから利用するというものです。サーバ・ベース・コンピューティングを導入する企業の月曜日の朝は、クライアントからサーバーにアクセスが集中してしまい、いち早くアクセスした人だけが仕事ができるような状況になりがちです。これはベストエフォート型のネットワークでは仕方のないことなのですが、隣の人が仕事を始めているのに、こちらはアプリケーションも開けない状況では困ってしまいます。

 そうした場合に、PureFlow FS10を導入することで、帯域をネットワークの利用者に公平に割り当てれば、最高のスループットはでないかもしれませんが、業務が滞ることもなくなります。これまでは、サーバーへのアクセス集中にはサーバーを追加するか、ロードバランサーを設置して負荷分散していたのですが、ネットワークの帯域を効率よく利用するだけで具合が良くなるのではないかと考えています。サーバーやロードバランサーの増強に比べればコストダウンにもなります。実際にサーバーベンダー様からもご相談をいただいております。

――シグネチャ方式に比べると利点の多い公平制御方式ですが、実際にPureFlow FS10を導入しているサービスなどを教えていただけますか。

森氏
 PureFlow FS10は今年の2月から販売開始していますが、すでに大手ISP様に導入いただいています。このISP様では、バックボーンの10Gbps化が進んでおりますが、同時にトラフィックの増加にも頭を痛めているようです。従来は、ルータやスイッチといったネットワーク機器のQoS機能を活用したり、高価な帯域制御装置を導入するケースが多かったようですが、本来のネットワークに外付けできるPureFlowシリーズであれば、パフォーマンスも維持できますし、ユーザーごとの帯域管理も簡単です。


NetWorld+Interop Tokyo 2005およびケーブルテレビ2005に出展されるPureFlow SS10/FS10
笛木氏
 PureFlow SS10とPureFlow FS10は、6月6日から千葉県・幕張メッセで開催される「NetWorld+Interop Tokyo2005」(展示会場は6月8日から)、6月15日から東京ビッグサイトで開催される「ケーブルテレビ2005」に出展します。特にNetWorld+Interopでは、PureFlow SS10を用いた配信デモンストレーションを行なうとともに、帯域制御機器装置としては初めての10Gbps対応版PureFlow FSX(仮称)を参考展示します。興味のある方はぜひご来場ください。

――最後に映像配信の今後をお聞かせいただければと思います。

森氏
 2004年にインターネットで配信された映像コンテンツの中では、韓流ドラマが目立ちました。韓流ドラマへのアクセス数が多かった理由はおそらく、何十話という話数の多さでしょう。連続モノで話数が多いとレンタルビデオ屋で借りたい巻が借りられないケースがありますが、インターネットではいつでも視聴することができます。こうした理由から、連続モノのドラマはインターネットコンテンツとして非常に有望であることがわかってきました。今後、そういった映像コンテンツはますます増えるでしょう。

 また、DVDより高品質な映像配信も行なわれるようになります。「DVDの次はブルーレイだ!」などとも言われていますが、インターネット配信ではメディアは関係ありません。回線帯域さえ確保できればメディアを気にせず、高品質な映像が楽しめるわけです。そういったことを考えると、今後ますますインターネットを利用した映像配信は普及すると思います。

 配信サイドでも、従来と同じようにサーバーや回線帯域だけに注意しているとせっかくの高品質なコンテンツも宝の持ち腐れになってしまいます。トラフィックをケアすることで、回線帯域を有効に利用し、コストも削減できますので、PureFlowシリーズをぜひ活用していただきたいですね。

――本日は、ありがとうございました。


関連情報

URL
  アンリツ
  http://www.anritsu.co.jp/
  PureFlow SS10
  http://www.anritsu.co.jp/J/Products/IPNwk/PureFlowSS10/
  PureFlow FS10
  http://www.anritsu.co.jp/J/Products/IPNwk/PureFlowFS10/
  NetWorld+Interop Tokyo 2005
  http://www.interop.jp/
  ケーブルテレビ2005
  http://www.catv-f.com/


( 聞き手:鷹木 創 )
2005/06/06 11:13

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