インターネットを中心とした情報通信や放送の実態について統計データをとりまとめた2006年の「情報通信白書」が7月4日に総務省から公表された。今回は、情報セキュリティに関する被害状況についてとりあげる。
● セキュリティで何らかの被害を受けた個人は54.7%、企業は68.1%
情報セキュリティに関して何らかの被害を受けたという個人は54.7%で、過半数を超える。被害内容は「ウイルスを発見または感染」が21.7%で最も多く、次いで「迷惑メールを受信」(20.6%)、「ウイルスに1度以上感染」(7.0%)となっている。
企業については、何らかの被害を受けたという割合は68.1%と7割近くに上る。被害内容は「ウイルスに1度以上感染」が29.4%で最多。以下は「スパムメールの中継利用・踏み台」(3.7%)、「不正アクセス」(2.8%)と続いた。
2005年におけるウイルス被害届出件数は85,700件、不正アクセスの検挙事件数は94件だった。不正アクセスの検挙事件数は2003年の58件、2004年の65件と、年を追うごとに増加傾向にある。
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個人のセキュリティ被害状況
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企業のセキュリティ被害状況
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● 6割の個人はセキュリティ対策を実施、2割は何もせず
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個人のウイルス・不正アクセス対策
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ウイルスおよび不正アクセスへの対策状況では、6割の個人が何らかの対策を行なっている。対策内容は「ウイルスチェックソフトの導入」が35.7%で最も多く、次いで「メールや添付ファイルなどを不用意に開かない」(30.2%)、「プロバイダ等提供ウイルスチェックサービス」(17.3%)と続く。「特に対応していない」も22.1%に上る。
一方、企業では「特に対応していない」という割合は2.3%にとどまる。対策内容は「パソコン等の端末(OS、ソフト等)にウイルスチェック」が80.5%で圧倒的に多かった。以下は「サーバーにウイルスチェックプログラムを導入」(64.3%)、「ファイアウォールの設置」(46.8%)と続いた。
迷惑メールの受信者は、パソコンによるインターネット利用者では20.6%、携帯電話などの利用者では23.8%という結果だった。迷惑メール対策としては、パソコン、携帯電話ともに「メールアドレスを複雑化」が最も多く(パソコン:9.7%、携帯電話:26.9%)、次いで「メール指定受信拒否機能」(パソコン:8.0%、携帯電話:12.1%)、「未承諾広告拒否機能」(パソコン:4.5%、携帯電話:7.2%)と続く。なお、携帯電話の迷惑メール対策は、パソコンに比べ全体的に実施率が高いとしている。
● 84%がフィッシング被害を未経験、フィッシングメール受信は15%
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企業の個人情報保護対策の実施状況
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フィッシングの被害状況では、被害に遭ったことはないという回答が84.2%で多数を占めた。一方、フィッシングと思われるメールを受信したり、フィッシングによる被害に遭ったというユーザーは15.8%に上り、内訳としては、「フィッシングと思われるメールを受け取った」が15.3%、「個人情報を入力してしまったことがある」が0.3%、「金銭的な被害を受けたことがある」が0.2%だった。
フィッシング対策としては、インターネット上で個人情報を入力しないように心掛けるというユーザーが49.3%で最も多く、暗号化された通信以外では個人情報を入力しないという回答が42.3%と僅差で続いた。
そのほか、企業の個人情報保護対策の実施状況としては、何らかの対策を実施している企業が昨年の56.5%から73.2%へ大幅に増加した。従業者規模別では、500人以上の企業では約9割が何らかの対策を実施する一方、100~299人では7割程度にとどまった。主な対策は「社内教育の充実」が45.7%で最多。以下は「個人情報保護管理責任者の設置」(41.4%)、「プライバシーポリシーの策定」(29.7%)、「必要な個人情報の絞り込み」(27.8%)と続いた。
関連情報
■URL
情報通信統計データベース「情報通信白書」
http://www.johotsusintokei.soumu.go.jp/whitepaper/whitepaper01.html
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( 増田 覚 )
2006/07/12 11:21
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