バリューコマースが7月31日、東証マザーズに上場した。同社は1999年11月、日本で初めてのアフィリエイトサービスを開始。2006年6月時点では、広告主であるECサイトが1,600以上、アフィリエイト広告を掲載するパートナーサイトが17万3,000以上に上る。同社のブライアン・ネルソン代表取締役社長兼CEOに、上場後の戦略などを伺った。
● 広告主とアフィリエイトパートナーは、量だけでなく質が重要
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ブライアン・ネルソン代表取締役社長兼CEO。後ろに掲げられている「翔」「武」という2文字は、ネルソン社長が尊敬する2人の名前の頭文字をとったものだという
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野村證券金融研究所が発表したアフィリエイト広告の市場規模によれば、2005年は390億円、2006年には580億円に達する見込みだ。ネルソン社長によると、現在バリューコマースは「おおよその市場規模と当社の売上を比較すればシェアの20~25%を獲得しており、業界では最大手」という。株式上場で獲得した資金については、新サービスの開発を促進するとともに、人材の確保に充てる考えだ。
アフィリエイト事業を拡大するには、広告主とアフィリエイトパートナーサイトを数多く獲得することが重要となる。この点についてネルソン社長は、「量だけでなく質を重視している」と強調する。
同社では、基本的に広告代理店を通さずに、自社の営業担当が広告主を開拓している。広告主と直接面会することで、より詳しく広告主の意向を把握できるからだ。1,600を超える広告主のうち、広告代理店経由で獲得したのはわずか5%ほどだという。
アフィリエイトプログラムへの参加を希望するアフィリエイトパートナーと広告主については、30人のカスタマーサービ人員が審査とサポートを行なっている。「どんなアフィリエイトパートナーでも受け入れるわけではないのは、結局、質の高いパートナーが売上をたてるから」という理由だ。今後も、営業やカスタマーサービスを行なう人員は増やしていくという。
2005年からは子会社のSozonを通じて、広告主の検索エンジン最適化(SEO)サービスも強化している。
● アフィリエイト広告市場はこれから拡大していく
中長期的には、「インターネットによる販売とマーケティングでグローバルリーダーとなること」を目指し、Googleをライバルと見定める。Googleは、個人や法人が運営するWebサイトに関連する広告を提供し、クリック数に応じてWebサイト運営者に広告収入を付与している。いわば、バリューコマースが展開するアフィリエイト広告とGoogle AdSenseが、Webサイト上のスペースの陣取り合戦をしていると見ることもできる。
海外展開についても、着々と準備を進めている。これまで、韓国や台湾、中国、オーストラリアで現地の企業と提携している。これにより、米国の大手広告主がアジアに広告を出稿したいという場合には、バリューコマースが引き受けることができるという。
8月2日には、Yahoo!オークション向けのアフィリエイトサービスを開始した。これは、Yahoo!オークションに出品するストア・個人が広告主となり、アフィリエイトパートナーは、Yahoo!オークションの出品物の広告を掲載することで、成果報酬を得られるというものだ。
オークションに出品する個人が広告主となるアフィリエイトサービスは、国内では初めての取り組みとなる。このサービスについて、ネルソン社長は「売上を増やしたいと考えるオークション利用者のニーズに応える販促サービス」と説明する。
「これまでのアフィリエイトサービスは、広告主が企業でアフィリエイトパートナーが個人というB2Cのケースが大半だったが、今回のサービスによりC2Cのアフィリエイトサービスが提供されることになる。個人の出品者が我々のアフィリエイトプログラム経由で売上を増加させることで、アフィリエイト広告市場がより活性化する」
ネルソン社長は、アフィリエイト広告市場は拡大の途上にあると強調する。「日本には約600万社の企業がある。しかし、このうちアフィリエイトマーケティングを利用している企業は、わずか1万5,000社程度。「高品質のサービスを提供することで、これまで同様業界のリーディングカンパニーとなる」としている。
関連情報
■URL
バリューコマース
http://www.valuecommerce.co.jp/
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( 増田 覚 )
2006/08/04 11:42
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