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アルファブロガーが予想する、2008年のインターネット業界


 「読者が選ぶ2007年インターネット10大ニュース」の1位は動画共有サービスだったが、2008年は何が盛り上がるのだろうか? 常に感度の高いアンテナを立てているアルファブロガーの皆さんに、今年注目しているインターネット関連のサービスや技術などを自由回答形式で挙げてもらった。調査協力はアルファブロガー運営委員会。


2008年も動画共有サービスの年となるか!?

Ustream.tv
 回答をいただいたアルファブロガーは、湯川鶴章氏、finalvent氏、山口浩氏、いちる氏、kengo氏、COODOO氏、otsune氏、essa氏、コグレマサト氏、大西宏氏、秋元裕樹氏、iori3氏、美爾依(みにー)氏の13人(順不同)。

 全体的な印象としては、各氏の意見が分かれたほか、特定のサービスや技術よりも大きな枠組みで、分野的に注目する考えも多かった。そのため、回答が集中したサービス・技術はなかったが、少数ながらも票を集めたところを紹介する。

 最も多く挙げられたサービスは2つ。まずは「ニコニコ動画」。湯川鶴章氏、コグレマサト氏、iori3氏が挙げた。ニコニコ動画はすでにブレイクしているが、安価な動画編集ソフトや「初音ミク」などのツールが普及したことで、2008年は個人制作の動画がさらに盛り上がるだろうという意見があった。

 もう1つは「Ustream.tv」だ。個人でも無料で動画のライブストリーミング配信ができるサービス。PCとWebカメラさえあれば、ユーザー登録を行なうだけで動画配信ができるという手軽さが特徴だ。現在は英語サイトのみ。kengo氏、otsune氏、コグレマサト氏が挙げている。2008年はライブ動画配信の普及が加速するのではという意見があった。

 次が、SNSでの人間関係を示す相関図「ソーシャルグラフ」で、いちる氏、大西宏氏が挙げている。ソーシャルグラフの共有化によるSNSの発展に期待する意見もあった。また、ブログサービス「Tumblr」は、otsune氏、essa氏が挙げている。シンプルで使いやすい、他人の投稿記事を自分のブログで再利用できる「reblog」機能が面白いという。

 このほか、アルファブロガー各氏の回答は以下を参照してほしい。注目しているものとあわせて、その理由をご紹介する。なお、長文のコメントをいただいたものについては、編集部で短くまとめさせていただいたことをお断わりしておく。




「湯川鶴章のIT潮流」湯川鶴章氏
 http://it.blog-jiji.com/0001/

・広告プラットフォーム
 米IT大手が次々と広告事業関連の大型買収を決めている。この動きはいずれ日本にも波及するだろう。日本の広告業界がどう迎え撃つのか。2008年頃から日本でも具体的な動きが少しずつ出始めるだろう。

・ニコニコ動画
 http://www.nicovideo.jp/
 既に大きなパワーを持つ“ニコ動”だが、初音ミクなどのプログラムとともに、日本発のネット文化が世界に輸出されるようになるだろう。

・グーグル(企業として)
 http://www.google.co.jp/
 財力、人材ともにまだまだ世界のトップに君臨しているので、2008年も画期的な技術、サービスを発表すると思われる。引き続き目が話せない企業。



「極東ブログ」finalvent氏
 http://finalvent.cocolog-nifty.com/

・NHKアーカイブス
 http://www.nhk.or.jp/archives/
 戦後史が包括的に含まれていて、人生に余裕のできた団塊世代が再考するようになるから。

・NGN
 http://www.ntt-east.co.jp/ngn/
 現状のIP高速回線にはいろいろ限界がある。NGNがCATVからIPTVへの変化のインフラになる。

・動画対応iPodによるテレビ
 http://www.apple.com/jp/itunes/
 業界的にはiPod touchやiPhoneに関心が集まっているが、iPodとテレビの融合のほうがより身近で多くの人に魅力がある。

・Adobe Air
 http://www.adobe.com/go/air
 共通プラットフォームでRIAベースのクラウドコンピューティグが実現できる。開発も容易。

・バイナリーXML
 Ajaxから展開したクラウドコンピューティングの基本技術は、バイナリーXMLに依存する。




「H-Yamaguchi.net」山口浩氏
 http://www.h-yamaguchi.net/

・政治におけるネットの活用(動画共有サービスなど)
 http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/12/18/17920.html
 http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/07/09/16286.html
 メディアとして認められ、使われ始めている。もはや影響があるのかどうかを問う段階ではなく、テレビがそうであるのと同様、影響があることを前提とした議論が行なわれるだろう。衆院選では、なし崩し的に事実上の「解禁」方向に向かうかもしれない。

・非営利組織での仮想空間サービスの利用
 http://jp.secondlife.com/
 仮想空間サービスは、少なくとも現在のところ、企業よりも学校や病院、NPOなどの非営利セクターにおける教育や医療、訓練や啓蒙といった活用法のほうが向いているように思われる。企業進出の「大騒ぎ」が一段落して、そうした活用例に注目が集まり始めるのではないか。

・予測市場
 http://prediction.jp/
 プロバイダー側、利用者側とも、企業における関心が急速に高まってきている。日本でも本格活用に向けた動きが始まり、導入企業が複数出てくるものと思われる。

・小画面動画コンテンツ
 http://www.h-yamaguchi.net/2006/09/post_8489.html
 ワンセグ対応携帯電話、iPodなどの携帯プレーヤー、携帯ゲーム機などの普及で、小型画面で動画コンテンツを見るインフラが整ってきた。消費者の側には、小画面で動画を見ることを当たり前と思うマインドセットができつつある。作り手の中でも、小画面で見るためのコンテンツを作る動きが出てくるのではないか。

・AR技術の日常化
 AR(強化現実)技術とは、仮想世界と現実世界をつなげる仕組みのこと。今後は、携帯電話やPCでの映像コミュニケーションの場で活用されるのではないか。例えば、テレビ電話で自分の顔を隠すアバターや自分を飾るファッション、コミュニケーションを助ける3Dエモーションなど。



「小鳥ピヨピヨ」いちる氏
 http://coolsummer.typepad.com/kotori/

・ソーシャルグラフ
 http://www.ce-lab.net/ringo/socialgraph_proposal.html
 中心人物が、あまり色目を出さず、「たった1つのことを、上手にやろう」としている。これはうまくいく可能性がある。

・ブログメディア
 http://www.gizmodo.jp/
 ブログの新しい使い方として最注目される価値がある。

・携帯コンテンツの深化、多様化
 技術的要素は大体揃いつつあるから。

・ウィジェット+ハードウェア
 応用範囲が広く、カスタマイズ性が高く、サードパーティが入りやすい。ハードウェア業界におけるAPI開放のようなもの。




「Going My Way」kengo氏
 http://kengo.preston-net.com/

・YouTube
 http://jp.youtube.com/
 「YouTube」は既に流行っていると思うが、日本版サイトもできたことから、今後は本来の使い方である「自分でビデオを撮って公開する」という使い方が日本でも増えるのではないかと思う。

・Ustream.tv
 http://www.ustream.tv/
 モバイル環境の充実により、勉強会やネット発のイベントなどを生中継するのが普通になりそう。

・モバイルインターネット/公衆無線LAN
 iPod TouchやモバイルPCを使ってカフェなどからネットを利用する人が増えそう。値段が安くなってきているし、イー・モバイルやFON、公衆無線LANが利用しやすくなったので、モバイル経由のネット接続が増えそう。

・Skype
 http://www.skype.com/intl/ja/
 電話の代わりにSkypeで連絡を取るシチュエーションが増えそう。また、メールを出すよりもSkypeでテキストチャット、音声チャット、ビデオチャットを利用する機会が増えるかもしれない。



「DIGITAL DJ」COODOO氏
 http://www.digitaldj.jp/

・iTunes Store、Beatportなどの音楽配信
 http://www.apple.com/jp/itunes/store/
 https://www.beatport.com/
 iPhoneが出たてことで、携帯電話で決済できるような手軽さで音楽配信が盛り上がってくれたら楽しい。Beatportのようなジャンルに特化した配信も伸びそう。
 ただ、個人的な気持ちを言わせていただくとサービスや技術による驚きはもうお腹いっぱいで、これからはどんな魅力的なコンテンツやマッシュアップが提供されて、どんな楽しみがあるのかが一番の楽しみ。



「void GraphicWizardsLair( void ); //」otsune氏
 http://www.otsune.com/diary/

・tumblr
 http://www.tumblr.com/
 「これおもしろいでしょ。見て見て」という行為だけをすごく使いやすく抽出している。単にシンプルなブログツールとしても使っている英語圏ユーザーも多い。

・Ustream.tvなどでのゲーム動画配信チャット
 http://ustream.tv/
 他人がゲームをしているところを見るのは単純に面白い。

・danbooru
 https://help.ubuntu.com/community/Danbooru
 画像をタグで分類するシステム。コンテンツの内容を特化することで光るサービスになっている。ジャンル分け方式ではどっち付かずな内容のコンテンツが分類しにくいが、タグを使うことで解決している。

・特化型SNS(pixiv、iKnow!、ハゲルーナなど)
 http://www.pixiv.net/
 http://www.iknow.co.jp/
 http://sns.hageruna.com/
 pixivは「書いた絵を見せる」、iKnow!は「英語学習をする」など短期的な目的がはっきりしている。そしてその目的に特化したインターフェイスやシステムを作り込んでいる。




「アンカテ(Uncategorizable Blog)」essa氏
 http://www.digitaldj.jp/

・tumblr
 http://www.tumblr.com/
 今年は、各種のWebサービスとそのマッシュアップが一段と進展し、いわゆるキャズムを越えて、これまで使われていなかった層に普及すると思う。
 その中で、REST(リソースに一意のURLがあること)の意義が理解され、その反動としてtumblrのreblog機能のように(リンクでなく)コピーによってホットな話題が伝搬していくタイプのサービスが注目されると予想している。reblogは2ちゃんねる的な部分もあって、そこが日本でどう受け止められるか注目している。

・個人用タスク管理ツール
 ソーシャルなサービスが多極化し、複数のソーシャルサービスを使い分ける人が多くなる中で、それらを連携させるための、個人のプライベートな「基地」のようなサービスの需要が高まると予想する。



「ネタフル」コグレマサト氏
 http://netafull.net/

・ニコニコ動画
 http://www.nicovideo.jp/
 まだまだ発展途上の気がする。

・Gmail
 http://gmail.com/
 KDDIに続きNTTドコモも採用。携帯メールといえばGmailになるかも?

・Wi-Fiや携帯電話基地局による位置特定
 Google Mapsなどの地図サービスとより深く連携。

・Ustream.tvなどのライブ動画配信サービス
 http://www.ustream.tv/
 ビデオチャットはもっと普通になる気がする。



「大西宏のマーケティング・エッセンス」大西宏氏
 http://ohnishi.livedoor.biz/

・ソーシャルグラフ
 ソーシャルグラフがSNSの最大の資産であると思うので、そろそろSNSの進化の鍵となるソーシャルグラフの共有化によるSNSのプラットフォーム化に期待したい。2008年は、さまざまに生まれてきたWebサービスの提携・連動が加速していく年になると思う。

・インターネット対応テレビ
 http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn080108-2/jn080108-2.html
 ソニーBRAVIAの「アプリキャスト」、シャープの「AQUOS Net」、松下とGoogleの提携などからインターネット対応テレビの普及に注目。対応アプリも多数出るのではないか。これまでネットとは一線を引いていた放送局も、何らかの対応が迫られてくることになる。松下とGoogleで新しい流れができるのか、あるいは失敗するのか目が離せない。




「秋元@サイボウズラボ・プログラマー・ブログ」秋元裕樹氏
 http://labs.cybozu.co.jp/blog/akky/

・ジャンル特化したソーシャルサイト
 1990年代終わり頃に「企業ホームページ」が差別化のために競って掲示板を採用したように、また数年前に企業がブログシステムを採用したように、特定ジャンルのユーザーを抱え持つ中堅サイトがソーシャルブックマークやソーシャルニュースを導入していくのではないかと思っている。無料・低料金のサービスやオープンソースアプリケーションがそれを後押しするだろう。

・マイクロブログの普及、モバイル化
 twitterに代表されるマイクロブログが一般ネットユーザー、携帯電話やゲーム機ユーザー向けに適応していく年になると予想する。

・スパマー、スパム技術
 ネット広告を狙った意味の無いスパムサイトはますます増加し、検索エンジンで探し物をすることはますます大変になっていくのではないかと思う。検索エンジンを補完するものとして人力による推薦を活用しようとするサイトが多く登場する可能性があるが、それらもスパマーの操作対象となるだろう。



「天漢日乗」iori3氏
 http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/

・ニコニコ動画
 http://www.nicovideo.jp/
 これまでは機材の問題でプロの仕事とみなされていた「動画編集」が、技術の進化により安価で容易なものとなって、一般ユーザーに降り、さらに広がりを見せていくのが2008年だろう。

・高齢者向けのモバイル・インターネットサービス
 高齢者の「キラーアプリケーション」は、ずばり「孫とのコミュニケーションツール」。メール送信から始まって、写真や動画の添付と再生など一連の操作は、「孫の顔を見たい」という欲求さえあれば、やすやすと乗り越えられます。これをさらに「高齢者の見守りサービス」とリンクさせたサービスが、今年は売れるのではないかと思う。

・利用者の使用意図を反映する地図情報
 知らない場所に行く人が欲しい情報を瞬時に表示できる地図サービスが、GISを利用して、充実していくのではないかと思う。「電子国土ポータル」(http://cyberjapan.jp/)の「重ね合わせ情報」に見られるような「持ちより型」の情報提供が容易にできるシステムがあれば、こうした地図情報は割に作りやすい。




「カナダde日本語」美爾依(みにー)氏
 http://minnie111.blog40.fc2.com/

・YouTube
 http://jp.youtube.com/shaminparty
 海外ではすでに政党がYouTubeを使用していたが、最近は日本でも自民党や社民党などのチャンネルが出てきた。これからは、選挙演説なども、選挙カーで地元を回るものからYouTubeへと移り、アメリカではすでに行われているように、有権者が質問をYouTubeを通して行ない、討論会やテレビでそれに答えたりするという形で使われていけば、もう少しは日本人も政治に興味を持つのではないかと思う。

・News for the People in Japan
 http://www.news-pj.net/
 既存のニュースサイトは、新聞社によって運営されているものが主で、それだけでは政府の圧力によって情報が操作されていたり、本当の事情がわからないことが多い。そこで、市民によって運営されるブログと連動した上記のようなニュースサイトがあれば、国民は真実を知ることができると思う。

・はてなハイク
 http://h.hatena.ne.jp/
 「2ちゃんねる」や「ニコニコ動画」は、匿名で人をバカにしたり、けなしたり、誹謗・中傷したりすることを目的として書き込みをする人がおり、多くの人を傷つける結果にもなっている。「はてなハイク」では誰でも自由に参加でき、誹謗・中傷される心配もない。言葉で表現するのが苦手な人は絵を描いて表現できる。ほんの一言書くだけで、かなり笑えて、心理的にとてもやさしいサービス。

・ネット広告
 Pitta!
 http://www.pitta.ne.jp/
 Job Board
 http://jobboard.drecom.jp/
 Ad Butterfly
 http://www.adbutterfly.com/about/
 欧米ではテレビを見る時間よりネットする時間の方が長いという調査結果が出ているが、これからは、テレビでスポンサーをつけるよりも、ネットに広告を出す方がより多くの人に見てもらえて注目を集める可能性があるから。

・Facebookのような誰でも簡単に参加できるSNS
 http://www.ariel-networks.com/blogs/tokuriki/cat36/cat37/facebook.html
 「mixi」は、自分の日記にmixiのニュースサイトに記載されたニュースのリンクを貼れるだけだが、Facebookでは、ほとんどのニュースサイト(英語)にFacebook用のクリップアイコンがあり、それをクリックするだけで簡単に自分のFacebookにニュースをブックマークできるようになっている。また、多様なウィジェットが開発されており、楽しめる。


【追記 2月7日21:00】
アンケート回答者に美爾依氏を追加いたしました。


関連情報

URL
  アルファブロガー・アワード 2007
  http://alphabloggers.com/

関連記事
「アルファブロガー・アワード」の今後について運営委員会が説明(2007/12/25)


( 野津 誠 )
2008/01/18 13:30

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