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楽天が開始したADSL接続サービス「楽天ブロードバンド ADSL10M」
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楽天は24日、個人向けのADSL接続サービス「楽天ブロードバンド ADSL10M」を開始した。サービスを提供するのは楽天グループ会社のフュージョン・ネットワークサービスで、楽天ブランドでは初の個人向けインターネット接続サービスとなる。
楽天ブロードバンドは、通信速度下り最大10Mbps、上り最大1MbpsのADSL接続サービス。回線にはイー・アクセスのADSL回線を利用する。料金はNTT回線料などを含めて月額2,000円(NTT西日本エリアは月額1,992.65円)で、会員には楽天のポイントシステム「楽天スーパーポイント」が毎月100ポイント付与されるのが特徴となっている。
サービスを手掛けるフュージョン・ネットワークサービスは、1994年に「グローバルオンラインジャパン(GOL)」として設立され、インターネット黎明期からISP事業を展開してきた企業だ。2002年にはフュージョン・コミュニケーションズの傘下となり、サービス名を「FUSION GOL」に変更。2007年には楽天がフュージョン・コミュニケーションズを買収したことにより、楽天のグループ会社となっている。
GOLとしてこれまでもインターネット接続サービスを手掛け、ここ数年は「フュージョン」のブランドで主に法人向けサービスを展開してきたフュージョン・ネットワークサービスが、今回、新たに「楽天」のブランドで個人向け接続サービスを手掛ける狙いはどこにあるのか。フュージョン・コミュニケーションズの相木孝仁氏に話を伺った。
● ISPは「楽天が昔からやりたいと思っていたサービス」
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フュージョン・コミュニケーションズの相木孝仁氏
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――GOLブランドでは長年インターネット接続サービスを提供されてきましたが、なぜ今回「楽天」ブランドでサービスを提供しようということになったのでしょうか。
相木氏:接続サービスは楽天が昔からずっとやりたいと思っていたのですが、これまではやっていなかったサービスです。楽天とフュージョンが一緒になる際には、これで接続サービスも提供できるようになるということが狙いの1つでもありました。今回のサービスについては、イー・アクセスから良い条件を提示していただいたこともあり、サービスを開始するのに良いタイミングだと判断しました。
――接続サービスをやりたかったというのは、収益的な部分での希望なのでしょうか。
相木氏:もちろん収益の話はありますが、それよりも重要だと考えているのは、楽天のユーザーに必要となる機能はすべて提供したいということです。例えば楽天のユーザーがインターネットを使ってショッピングをする際に、必要となる機能はすべて楽天からも提供したいという考え方です。
――接続サービス単体としての収益はどうなのでしょうか。
相木氏:サービスを赤字でやるつもりはありませんし、利益は出していけると考えています。きちんとやれば、接続事業だけ切り取っても十分利益が出るという判断です。ISP事業では、会員の獲得かかるコストが問題となることが多いのですが、楽天には既に会員基盤があるのでその点は強みです。
――サービスとしては後発になりますが、どのような点を訴求して会員を集めていく戦略なのでしょうか。
相木氏:サービスとしての付加価値は、楽天の会員であればポイントがもらえるという点です。加入時には3,000ポイント、毎月100ポイントがもらえます。そして、価格の面でも月額2,000円と業界最安値の水準で、毎月の100ポイントを換算すれば実質1,900円です。楽天の会員でなくても十分に安いサービスですが、楽天の会員であればさらにお徳なサービスとして、楽天会員を中心にアピールしていきたいと考えています。
――楽天会員がターゲットとなると、既に何らかの接続サービスは利用されていると思うのですが、そうなると新たにADSLを申し込もうという人はあまりいないのではないでしょうか。
相木氏:やはり中心になるのは他社のADSLサービスからの乗り換えだと考えています。ADSLは現在でも約1,300万ユーザーがいる大きな市場で、縮小傾向にはあるものの完全に無くなることはないと考えています。そういう意味では今回のサービスで対象としているのは、速度は10Mbps程度あれば十分で、月々の回線料を安く抑えたいと考えているユーザーです。
――今後、ADSL以外のサービスを提供する予定はありますか。
相木氏:一番大事にしなければいけないポイントは、幅広い選択のオプションをユーザーに提供することだと考えています。当然今後は光サービスであるとか、あるいはモバイルのような展開も、いろいろな角度から検討している最中です。「楽天ブロードバンド」の名前で各種のサービス展開を考えており、今回のサービスがその第一弾という形です。
● 楽天グループの各種サービスとのシナジー効果を
――メールはinfoseekかGOLのアドレスを使う形になっていますが、楽天ブロードバンドの独自ドメインのアドレスなどはないのでしょうか。
相木氏:現在検討中で、ユーザーの要望を見ながら検討していきたいと思います。また、infoseekのメールアドレスも通常のサービスと同じものなので、楽天ブロードバンドの会員に向けた付加価値なども提供できないかといったことは話をしています。
――月額2,000円という価格は安いと思いますが、他のサービスではもっと安い金額を提示しているものもあります。
相木氏:月額2,000円というのはNTT回線料など全部込みの値段ですので、同種のサービスとしては最安値水準だと思います。ただ、キャンペーン価格であるとか、初年度はキャッシュバックで安くなるプランといったものもあり、そういうプランについても検討はしています。ただ、ユーザーにとってはこうした料金の比較は難しいのではないかと感じています。ユーザーの視点に立ったときに、本当に安いサービスとは何かということを訴求していかなければいけないと考えています。
――毎月100ポイントが付与されるということですが、逆にポイントでISPの料金は払えないのでしょうか。
相木氏:そうした点も今後検討していきます。現在サービスを開始したばかりで、楽天の各サービスとの連携はこれからの課題です。考え方としては、楽天グループのあらゆるサービスと連携していきたいと思っています。
関連情報
■URL
楽天ブロードバンド
http://broadband.rakuten.co.jp/
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( 三柳英樹 )
2008/03/28 11:14
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