● 子供の学習にも利用されるインターネット
|
小学生も授業でコンピュータ室のPCからインターネットを使って「インターネット調べ学習」をする。副教材などに学習用ページのURLが記載されており、そこからさまざまな調べ物などを行うようだ
|
インターネットは、誰でも簡単に情報を発信することが可能で、誰でもその情報にたどりつくことができる。これは調べ物などには非常に便利であり、現在、学校でも普通にインターネットでの情報検索方法を、総合学習の時間や他の教科でも教えている。
たとえば筆者の小学生5年生の長男の場合、小学校では社会科の授業では、漁業や農業について知ったことなどを自分たちで調べて、A4程度の1枚の「新聞」にまとめるという授業を受けたそうだ。この際には、学校のコンピュータ室のPCを使い、インターネットで検索して、どんな品種の米がどの都道府県で栽培されているか、どの港がどの魚をよく水揚げするのかといったことを調べたという。
学校や市の教育センターなどで聞いたところ、かつては授業でのPCの使用はクラス新聞を清書するワープロ用途などが多かったが、最近ではやはりWebで検索をさせるケースが多いという。また、生徒にWebページを作らせたり、学校によっては生徒間でメールを送受信させるなど、保護者が考える以上にネットを子供たちにも使わせているようだ。
学校での利用と同様に、家庭からのインターネット環境についても、子供がインターネットに触れる可能性があるのであれば、やはりフィルタリングの導入は必須と考えるべきだろう。
今回はフィルタリングソフトの例として「Yahoo!あんしんねっと」を使用してみたが、使い勝手は良好だった。アクセスブロックだけでなく、利用時間の制限もでき、設定方法も非常に簡単だ。PCへの負荷も(少なくとも筆者宅のCPUパワーの少ないマシンでも)体感的にほとんど分からない程度にしかかからない。それに費用もかからないわけで、子供のいる家庭であればどんな家庭にも薦めて問題のない出来だ。
筆者宅のPCでは、以前はウイルス対策ソフトとフィルタリングソフトがセットになった総合セキュリティソフトを導入していたことがある。
このソフトでは、確かにフィルタリングはしてくれるのだが、フィルタリングの基準が微妙で、たとえば小学生以下に対しては宗教、アルコールが禁止事項となるため、近所の神社や地元の古くからある蔵元や杜氏の仕事を調べようと思ってもページを閲覧することができなかった。
子供に宗教関係のサイトを見せないという方針はわからないではないのだが、普通の日本人の感覚からすると、だからといって(新興宗教やカルト集団でもない限り)古くからある寺社のサイトが見られないというのはどうなのだろうとも思った。
ただし、どのソフトやサービスでも、「普通の日本の子供の保護者」が考えるサイトの基準と、子供が見たい/見てもよいと判断しているサイトが完全に合致しているわけでもない。
この連載の第1回でも触れたが、たとえばYahoo!あんしんねっとではYouTubeなどの動画サイトは基本的にブロックされている。そのため、たとえばお笑い芸人の動画を見たいと子供が言ってくると、その都度親としては、これは子供に見せたものかどうかと判断を迫られるのだ。
こうした経験から言えば、フィルタリングを利用する際には、ブロックするサイトはなぜブロックするのかという確固たる理由を、子供に自信を持って言えるかということが重要ではないかと思う。
● 信頼関係なしではフィルタリングはうまくいかない
実際のところ、子供のアクセス履歴を見ても明らかに禁止されたサイト、たとえば性的なサイトや暴力サイトにアクセスしようという形跡は、我が家の場合には皆無だ。
多くの場合は子供自身も、何か理由があって大人に反抗したいなら別だが、「怪しげなリンクをクリックしない」「暴力的、性的なサイトにはなるべくアクセスしない」といったことは意識していることが多いのではないかと思う。学校でも家でも、そのような情報に触れるのはよくないことだと教えているし、小学生程度であれば、その通りだと子供も信じているからだろう。
しかし、先のお笑い芸人の動画のような場合は、ブロックされた場合には子供も戸惑いを感じる。親も子供に「なんでいけないの?」といわれた場合、どのように返すべきかという判断を迫られるのだ。
我が家の場合には、「動画サイトには暴力的な動画や、人を不愉快にする動画もごちゃまぜに入っているので、子供が見たらよくないものもある。この“禁止マーク”が出たら、そういうものじゃないかどうかお父さんも一緒に見るから言ってね」といって、該当の動画の閲覧だけを許した。しかし、親としては子供には見せたくない内容なのだけれど、子供に十分な説明ができないといったことがあれば、子供にとっては理不尽さが残るだろう。
また、子供の見るサイトが変わってきたときも、対応できるのかどうかという不安な点はある。子供のアクセスするサイトの話を聞いていると、小学生くらいの子供はアニメやマンガの情報サイト、ゲームサイトに集中する傾向があるが、中学生以降になるとこれにチャットや掲示板、メールなどコミュニケーション系のサイトにアクセスするようになるようだ。
Yahoo!あんしんねっとの場合、コミュニケーション系サイトは小学生と中学生に関してはブロック対象となっている。子供が中学生になれば、これらのサイトへのブロックを解除すべきなのかどうかも判断が迫られるだろう。また、高校生になればブロック対象ではなくなるとすると、今度はこれまで厳しいレベルでフィルタリングをかけていただけに、また悩んでしまうところかもしれない。
子供の年齢が上がれば、スムーズに親とコミュニケーションができるかどうかも問題だ。親の許可を得てサイトを見るぐらいなら、たとえば友達の家でフィルタリングのかかっていないPCで見るといった行動に出るかもしれない。
今回、フィルタリングソフトを使用してみて感じたことは、フィルタリングを「親が子供の行動をむりやり制限するもの」として利用するのでは、いずれ破綻をきたすのではないかということだ。フィルタリングは、導入しただけですべてを解決してくれるわけではない。親と子の信頼関係が成り立っていて、双方がコミュニケーションを取れる状態でなければ、フィルタリングを導入しても期待通りの効果は得られないだろう。
■関連記事
・ 「フィルタリング」にできること、知っておくべきこと 第1回:「Yahoo!あんしんねっと」を使ってみる(2008/10/06)
・ 「フィルタリング」にできること、知っておくべきこと 第2回:「Yahoo!あんしんねっと」の詳細設定と、家庭以外のフィルタリング事情(2008/10/07)
( 大和 哲 )
2008/10/08 11:19
- ページの先頭へ-
|