Internet Watch logo
記事検索
特別企画
【 2009/06/11 】
6月のマイクロソフトセキュリティ更新を確認する
[20:03]
【 2009/06/09 】
「Googleブック検索」和解案と電子書籍ビジネスの行方(後編)
[12:52]
【 2009/06/08 】
「Googleブック検索」和解案と電子書籍ビジネスの行方(前編)
[14:12]
【 2009/06/04 】
多彩なリフィルでタスクも予定も柔軟に管理できる「xfy Planner」
[10:54]
【 2009/06/02 】
DirectShowのゼロデイ脆弱性に対応する
[14:18]
【 2009/05/28 】
ソニー「nav-u」の小さいカーナビ使ってみました<徒歩・自転車編>
[10:56]
【 2009/05/26 】
SNSはメールの10倍危険? 「心がけ」が大事とカスペルスキー氏
[11:24]
【 2009/05/21 】
被害が多発する「Gumblarウイルス」への対策を実施しよう
[19:20]
ソニー「nav-u」の小さいカーナビ使ってみました<基本機能編>
[11:00]
【 2009/05/15 】
Adobe Reader/Acrobatの脆弱性対策を考える
[15:27]
【 2009/05/14 】
5月のマイクロソフトセキュリティ更新を確認する
[12:58]
【 2009/04/16 】
4月のマイクロソフトセキュリティ更新を確認する
[15:57]

セガの3D空間「iA」でネットの一般化狙う~夏野剛氏インタビュー


iAベータテスト中の画面
 セガは、3Dインターネットブラウザ「internet Adventure〔iA〕」の開発を進めている。「iA」は、Internet Explorer(IE)に専用のツールバーを追加して利用するブラウザ連動の3D空間コミュニケーションサービスだ。

 IEで開いたWebサイトと対になった3D空間をPCのデスクトップ上に表示する。3D空間では、ユーザーのアバターに加え、リアルタイムで同じサイトを閲覧している他のユーザーのアバターも登場。ユーザー同士が3D空間を介し、アバターのチャット機能でサイトの感想などを語り合える。

 なお、ツールバーは、「iA」のサイトからダウンロード可能。基本料金は無料だが、アバターのアイテム課金を予定する。現在はクローズドβテスト2を実施している。

 「iA」の狙いや仕組みについて、セガサミーホールディングスの夏野剛取締役と、セガのネットワーク開発部企画セクションの木岡勝利セクションマネージャーに話を伺った。


日本のゲーム会社はネットを使いこなせていない

セガサミーホールディングスの夏野剛取締役(左)、セガのネットワーク開発部企画セクションの木岡勝利セクションマネージャー(右)
――夏野さんが「iA」に関わった経緯は

夏野氏:日本のゲーム業界のポテンシャルはすごくあると思っていて、僕は以前から、いろいろな種類の本格的なオンラインゲームが、日本の大手ゲームベンダーから出てくるべきだと言っていました。そのような中、セガサミーホールディングスの役員になり、まずはセガから行こうと思っていたところ、「iA」を見せてもったのが最初です。

 日本のゲーム会社はインターネットを上手く使いこなせていません。パッケージソフトをネットにつなぐだけでは、PCオンラインゲームと変わらない。ネットをここまで使っているのは初めてだと思います。

――初めて「iA」を見たとき、どのような印象を持たれましたか

夏野氏:用語などをもっと一般人向けにするべきだと思いました。最初のバージョンよりはだいぶ良くなったようです。

――今はどのように関わっているのですか

夏野氏:具体的には、まだこれからですね。

木岡氏:ある程度できた段階で夏野さんにお見せして、ご意見をいただき、フィードバックしていきたいと思います。

――3月に「iA」を発表してからの開発状況はどうですか

木岡氏:3月のベータテストでシステム面での強化が必要だとわかり、期間をおいて開発しました。あと、3D空間とホームページの連携などがわかりにくいなど、ユーザーからの意見も得たので、その辺りの改善にも注力しました。


すべてのホームページの裏側で連動した3D空間を表示

――「iA」は、ホームページの感想をIMでチャットしているところに3D空間が加わったようなイメージでしょうか

夏野氏:それプラス、知らない人とコミュニケーションできます。IMだと知っている人同士になるので。「iA」では、知らない人とのコミュニケーションがキーワードの1つになっています。

――サイトに対応するアイランドを表示するには何か設定が必要ですか

木岡氏:ユーザーがiAツールバーを入れるだけです。サイト管理者が特別な設定をしなくても、すべてのURLに対してアイランドが表示される仕組みです。

夏野氏:ダメなホームページ(のアイランド)には、「×」などの立て看板を残していったりとか、それはそれで面白いと思います。

――サイト運営者にしてみれば困りものですね

夏野氏:それはあるかもしれません。ただし、iAツールバーをインストールしている人だけに見える世界ですから。ある意味、昔のバーコードバトラーと同じですよ。製品のバーコードからたまたま出た数値で勝手にキャラクターを作っているような感じ。

――アイランドは誰でも編集できるのですか

木岡氏:今のところサイト運営者が、自分のサイトで表示されているアイランドのオーナー申請を行うことで、アイランドにサイトの画像などを貼り付けられるようになります。また、他のユーザーがサイトの感想を書き込める機能なども考えています。

――具体的には

木岡氏:サイトに対して簡単なコメントが付けられる掲示板のようなものです。

――子供が使うこともあると思いますが、その点で注意してることは

木岡氏:子供が利用する際のフィルタリング機能のようなものは、段階を経て実装していく方向で検討しています。現状では、フィルタリングソフトに引っかかったサイトは表示されません。


アバターでのチャット画面 アイランドのオーナー確認画面 セガ本社を再現したアイランド

5年前のノートPCでも問題なく動く3D空間を目指す

――3D空間をPCデスクトップの壁紙の部分に表示する仕組みを教えてください

木岡氏:「iA」は通常のアプリケーションとして起動しているのですが、その画面をデスクトップの最背面に表示させています。そうすることにより、疑似デスクトップとして見せています。デスクトップ上のアイコンをクリックすると、通常通り他のアプリケーションを立ち上げることもできます。

――3D空間を全画面表示で常時起動するのは重たくなりそうですが

木岡氏:スペック的にも非常に意識しており、今回のコンテンツはゲームユーザーやネットユーザーだけでなく、もっと幅広いユーザーにも使ってもらえるよう、スペックをなるべく下げるようにしています。5年前のノートPCでも、バックグランドで立ち上げて“ながらプレイ”できるようなイメージです。必要な時だけ3Dを表示するような簡易モードがあっても良いかもしれないですね。

――iAツールバーの対応ブラウザはInternet Explorerだけのようですね

木岡氏:まずInternet Explorerでちゃんと動くものを作りたいです。その後、対応ブラウザを拡充していきたいと思います。

――収益モデルはアイテム課金を検討しているそうですが

木岡氏:アイテム課金では、アバターの服やアイランドの飾り付けのアイテムなど、いろいろと考えています。

――正式サービス化のめどは

木岡氏:今冬を目指しています。


iA公式アイランド アイテムショップ セガ本社を再現したアイランド

PCインターネットは今後ますます一般化が進む

――夏野さんが関わっているということで、「ニコニコ動画」との連携も期待します

夏野氏:いいですね。ニコニコ生放送をアイランドで見るのも面白い。ニコ動のアイランドでユーザーに自由に遊んでほしいです。

――夏野さんが顧問をしているドワンゴも3D仮想空間「ai sp@ce」を進めていますが

夏野氏:「ai sp@ce」はもっと濃い層がターゲットです。「iA」はそれよりも幅広いユーザー層を狙っているのでターゲットが大きく違います。

――3Dインターネットについては、どのようにお考えですか

夏野氏:3Dはツールの1つにすぎません。「iA」は、壁紙の部分で動いているので、3Dでないと、ホームページの世界との違いがわからない。3Dになったことで、何が楽しくなったのか、何が見やすくなったのかが大事です。3Dでいかにユーザーに価値を与えるのか、ということだと思っているので、3Dそのものについての意見はないです。

――PCインターネット全体について、今後のビジョンなどをお持ちですか

夏野氏:PCベースのネットは、これからもっと一般化していくと思います。今35歳以下の人や仕事で使っている人にとってネットは当たり前ですが、50歳以上になると利用者は少ない。そいういった人たちに、ネットが浸透していく時期が来ていると感じます。これだけ多くネットが使われているのに、民間最終消費支出300兆円の中で、Eコマースは6兆円しかないという現状ですが、これからどんどん広がってくると思います。

 OSの設計がユーザーフレンドリーになり、PCもより簡単に使用できるようになっていく中で、まだ、エンターテインメントコンテンツに関しては、PCソフトの操作が難しい。今後は、ネット上のエンターテインメントコンテンツが一般化していくと思っているので、一般の人が楽しめるソフトはますます重要になってきます。

――そこで「iA」には期待するということですね

夏野氏:「iA」はプラットフォームになりえるから、この動きは面白いです。例えば、企業はユーザーに対し、ブラウザと連動した3D空間で、ホームページに書いてある難しいことを説明したりできます。ゲームの特殊な世界観じゃなくて、普通のインターネットライフのインフラにしたいですね。

 インターネットに詳しい人が先導するネットサーフィンツアーも面白そうですね。ホームページがこれだけ複雑な世界になると、検索しても正しいところに行き着かない。誰かにガイドしてもらうのは、今までのインターネットにはないことです。「iA」は、新しいネットの使い方なので、期待しています。

――夏野さんは“一般化”というキーワードをよく使われますね

夏野氏:僕のライフワークになってきました(笑)。インターネットの一般化、携帯電話の一般化、コンテンツの一般化のために頑張ります。

――ありがとうございました


いっしょにネット機能 最大5人でパーティーを組み、ネットサーフィンを共有

動画サイトを一緒に見るイメージ アイランド上で動画の視聴も可能

関連情報

URL
  internet Adventure〔iA〕
  http://ia-world.jp/

関連記事
ネットサーフィンをアバター同士で共有、セガが「iA」のデモ(2008/10/10)
セガ、Webと連動する3Dコミュニティ「インターネットアドベンチャー」(2008/03/07)


( 野津 誠 )
2008/10/16 16:21

- ページの先頭へ-

INTERNET Watch ホームページ
Copyright (c) 2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.