趣味のインターネット地図ウォッチ

第193回

UAVで西之島の空中写真を撮影/AR花火スコープ ほか

海上保安庁、航行警報・水路通報を地図上でビジュアル化

 広大な海の中、どこに漂流物や浅瀬があるのかを知っておくことは船舶の航行において必要なことだが、これらの情報をインターネットの地図上で提供するサービスが始まった。海上保安庁が提供開始した「水路通報・航行警報 位置図」である。海上保安庁は以前から、航行に危険な漂流物や新たな浅瀬の情報など、緊急に周知する必要がある情報をPDFファイルなどにより文字情報として提供していたが、これらをデジタル地図上で提供することにより、危険海域をより分かりやすく把握することを可能にした。

「水路通報・航行警報 位置図」
水路通報のPDFファイル

 このサービスが生まれたきっかけは、実は東日本大震災だった。震災時、地震や津波によって港湾施設の倒壊や大量の漂流物が発生したため、航行警報の発出が膨大な数となってしまい、これらの緊急情報の位置を海図に描く作業が利用者にとって大変煩雑な作業となった。そこで試行的に航行警報をインターネットで図示したところ、「分かりやすい」と好評を得た。今回スタートしたサービスは、これを本格的に提供開始したもので、このような試みは世界初だという。

日本近海の様子
エリアをクリックすると詳細情報を表示

 地図上には航行警報・水路通報のエリアが表示されており、各エリアをクリックすることで詳細情報を確認できる。日本近海だけでなくほかの海域の情報も含まれており、上部メニューから「海域選択」を選択することにより、プルダウンメニューから各海域の拡大図に直接アクセスできる。また、「位置入力」や「中心座標」を選んで緯度・経度を直接指定することも可能だ。地図操作については、左上のズームレバーで拡大・縮小できるほか、マウスドラッグで範囲を指定して拡大することもできる。

海域の選択
緯度・経度を指定して表示することも可能
マウスドラッグで範囲を指定して拡大

 表示する情報は、右上のレイヤー選択画面で選択することが可能で、「管区水路通報」「地域航行警報」「NAVAREA航行警報」「日本航行警報」「NAVTEX航行警報」などさまざまなレイヤーが用意されている。また、緯度・経度の線の表示・非表示を切り替えることも可能だ。このほか、「緊急・重要情報」も地図の下にリスト化されている。航行警報の内容は、「コンテナ漂流」「観測用浮標漂流」「浅所存在」といった内容が多いが、中には「カヌー縦断」「フレア発射訓練」といった意外な情報も含まれていて興味深い。船舶の航行に興味のある人にとっては、現在の海の状況が分かる情報源として活用できるだろう。

レイヤーを切り替え可能
緊急・重要情報

国土地理院、UAVで西之島の空中写真を撮影、最新の数値標高モデル公開

 2013年11月に西之島の南東に形成された新島は、西之島と一体となって面積の拡大を続けている。国土地理院はこの西之島の現状調査を行うため、7月4日に無人航空機(UAV)を小笠原村父島から飛行させて最新の空中写真を撮影し、面積および最高標高、体積などを計測した結果を公開した。

 この最新の撮影結果によると、面積は噴火前とくらべて1.08平方km増加して1.30平方kmとなった。最高標高は約74mで、体積は2220万立方m(東京ドームの約18倍)となった。撮影した空中写真は「地理院地図」で公開されているほか、1mメッシュの数値標高モデルや、西之島周辺の立体図および地形判読図、UAVの飛行経路なども公開している。

 今回の撮影は、3月22日に行ったUAVによる撮影の経験をもとに、現地にてUAV発着地点の正確な位置をGNSS観測によって求めて、UAVの機体位置情報の補正を行うことにより、数値の計測制度を向上させたという。

正射画像
UAVの飛行経路
地形判読図
立体図
斜め写真

 地理院地図で地図や空中写真を見られるほか、STLファイルやVRMLファイルも公開されており、これらのデータを使って3Dプリンターで出力することもできる。本連載で以前、2月16日の観測結果をもとにしたSTLファイルを3Dプリンターで出力してみたことがあるが、今回も7月4日の結果を立体地図として出力してみたのでご覧いただきたい。

7月4日観測結果のSTLファイルを3Dプリンターで出力
こちらは2月16日観測結果のSTLファイルで、7月4日と比べると面積がかなり小さい

花火大会シミュレーションアプリ「AR花火スコープ」、全国の花火大会に対応

 夏の夜のイベントといえば花火大会。この花火大会を楽しむためのアプリが、株式会社キャドセンターが提供しているアプリ「AR花火スコープ」だ。同アプリはスマートフォンのカメラで写した現実の映像に花火の映像をARで重ねるもので、2013年にiOS版がリリースされた。この時リリースされたのは首都圏版だったが、新たにリリースされた2014年版は全国版としてアップデートされ、全国各地の花火大会のAR映像を見られるようになった。さらに今年はiOS版だけでなくAndroid版もリリースされており、より多くのユーザーが利用可能となっている。

 AR花火スコープの特徴は、花火大会の打ち上げイメージをARで見られること。打ち上げ位置などを詳細に確認できるため、場所取りなどに役立つ。例えば隅田川花火大会は打上会場が2つに分けられているが、そのどちらの映像も収録されている。隅田川花火大会の場合は市街地での打ち上げとなるため、ビルとビルとの間から花火を見る人が多い。AR花火スコープならば、どの場所から眺めれば花火が見えるのか、大まかな位置を事前にシミュレーションできる。

隅田川花火大会の第2会場のAR映像
同位置・同アングルから見た実際の花火映像
今年からは首都圏以外にも対応した。画像は静岡県の花火大会リスト

 アプリの画面は、画面の上半分にカメラ映像、下半分に地図が表示されるモードがデフォルトで、カメラ映像だけにしたり、地図だけにしたりすることも可能だ。また、各花火大会の詳細情報も収録しており、開催日や開催時間、アクセス方法、打上数、最大号数、荒天時の対応などの情報が細かく記載されている。さらに、花火大会の情報だけでなく、花火に関する知識をまとめた「花火も豆知識」というコーナーも用意されている。

詳細情報
花火の豆知識
検索画面

 なお、2014年版では、花火情報の収録を全国に拡大しただけでなく、テスト的に東京スカイツリーの3DモデルをAR表示している。有名なランドマークを同じがARで表示されると、AR画像と実際のジャイロコンパスのズレを確認できるため便利だ。3Dモデルは今のところ東京スカイツリーだけだが、将来的には各地の有名大型施設が見られるようになることを期待したい。花火大会に行く時にはインストールしておいて損はないアプリだ。

東京スカイツリーの3Dモデルを収録

片岡 義明

IT・家電・街歩きなどの分野で活動中のライター。特に地図や位置情報に関す ることを中心テーマとして取り組んでおり、インターネットの地図サイトから法 人向け地図ソリューション、紙地図、測位システム、ナビゲーションデバイス、 オープンデータなど幅広い地図関連トピックを追っている。測量士。インプレスR&Dから書籍「位置情報ビッグデータ」(共著)が発売中。