PCもタブレットもまるごとおまかせ! QNAPではじめるデータ管理術

Part.2:「QNAP TS-470」をNexus 7から活用する

 QNAPから新たに登場した「TS-470」は、PCだけでなく、タブレットからの利用にも適した4ベイNASだ。PCに加えてタブレットも導入したいと考えている環境で、どのように活用できるのかを探ってみた。

タブレットのことも考えた環境を

 リーズナブルな価格で、持ち運びにも便利、しかも使い勝手も良さそう――。

 そんな理由から、外出用の端末やデスクトップPCのサブ端末として、タブレットの導入を検討している人が増えてきている。中でも、Androidを搭載したタブレットは、そのバリエーションの多さと、コストパフォーマンスの高さから、高い注目を集めており、PCの代わりとしての期待も高まっている。

 そんな中、急速に注目を集めつつあるのが、NASを中心としたPCとタブレットのデータ共有ソリューションだ。ファイルサーバーとしてPCのデータを一元管理する一方で、そこにタブレットからもアクセスできる環境を整えることで、PCとタブレット、WindowsとAndroidの間で、データを共有できるようになる。

4ベイモデルの「TS-470」とNexus 7(2013 LTE)

 PCとタブレットとのデータ共有方法としては、現状はクラウドサービスを利用するものが一般的だ。しかし、企業での利用となると、間違った設定でデータが公開されることにもなりかねない無料の個人向けサービスに機密性の高いデータを安易に預けるわけにはいかない。また、AさんはSkyDrive、BさんはDropBoxなどというように、社内の利用者によって使うサービスが分散しがちで、使い方の違いに戸惑ったり、同じデータがいろいろな場所に分散してしまう問題がある。

 これに対して、NASを利用した方法であれば、完全にクローズドな環境でデータを共有できるうえ、すべてのユーザーが同じ場所で、同じ使い方でデータを共有することができるというわけだ。

 中でも、タブレットでの利用に配慮されたNASが、今回取り上げるQNAPのTurbo NASシリーズだ。最新OSのQTS4.0を搭載した4ベイモデルの「TS-470」とNexus 7(2013 LTE)で、実際の使い心地を検証してみよう。

セットアップもタブレットのみでOK

 まずは、セットアップから。TS-470は、本体に貼付されているQRコードによって、PCからだけでなく、タブレットやスマートフォンからも初期セットアップが可能となっている。

  1)Nexus 7にQRコードを読み取りアプリ(QRコードリーダーなど)をインストール
  2)アプリでTS-470に添付されたQRコードを読み取る
  3)ブラウザでセットアップ用サイト(myQNAPcloud)にアクセス
  4)アカウントを作成するか既存アカウントでサインイン
  5)クイックセットアップを実行

 これで、標準設定の管理者アカウント(admin)やディスクの構成(RAID6)でNASがセットアップされ、使えるようになる。

QRコードを読み取ることでセットアップ用のWebページを表示できる

 NASのセットアップというと、PCから専用ツールなどを使ってIPアドレスを確認し、そこから設定画面にアクセス後、RAIDの構成やユーザー登録、共有フォルダ作成などの作業を実行する・・・・・・、という一昔前のセットアップを思い浮かべる人もいるかもしれないが、もはやそれは過去のものと言って良い。現状は、手元のタブレットからインターネット経由で、ものの数分もあれば、自動的に設定できてしまうのだ。

 もちろん、初期設定は最低限の設定となるため、より詳細な設定は設定画面へのアクセスが必要になるが、それもタブレットから可能だ。PCと同様に、ブラウザからTS-470のIPアドレス(フロントディスプレイで確認可能)にアクセスすれば、Nexus 7のChromeから各種設定を変更できる。

 7インチのNexus 7では文字が小さく見にくいので、必要に応じて画面を拡大する必要はあるが、LANのIPアドレスを固定にするなど、各種設定を問題なく実行することができる。複数ユーザーの登録など、手間のかかる設定はPCから実行した方が効率的だが、簡単な設定であれば、タブレットでも十分に対応できる。

myQNAPcloud経由でタブレットからも簡単に初期設定が可能
Nexus 7で設定画面にアクセスして詳細設定も可能

 また、QNAPのNASには、スマートフォンやタブレット向けのさまざまなアプリが提供されているが、このうち「Qmanager」を利用してNASを管理することもできる。Qmanagerをダウンロード後、TS-470と同一ネットワークにNexus 7を接続すると、ネットワーク上のTS-470をアプリから自動的に発見して登録することができる。

 管理者アカウントを登録し、TS-470に接続すれば、CPUやメモリ使用率がリアルタイムに表示され、特定のサービスのオン/オフを制御したり、TS-470をシャットダウンしたり、再起動することもできる。

 もちろん、外出先からの利用も可能で、初期設定時に登録したmyQNAPcloudを利用して、「Qxxxxxxxx.myqnapcloud.com」をサーバー名に指定することで、WAN経由でもブラウザから設定画面にアクセスしたり、Qmanagerを使った管理が可能となる。

 特別な設定は必要なく、初期設定でmyQNAPcloudを利用して登録するだけで、ここまでの設定が自動的にできてしまうのだから驚きだ。

Qmanagerに代表されるQNAPのアプリは自動的にLAN上のNASを検索して追加できる
TS-470の状態監視や簡単な管理ができるQmanager。再起動などもリモートから可能

Nexus 7からTS-470のファイルにアクセスする

 続いて、Nexus 7から、TS-470のファイルにアクセスしてみよう。Androidタブレットからファイルにアクセスする方法は大きく分けて3つある。

 1つめは「File Station」を使う方法だ。設定画面からFile Stationのアイコンを起動するか、「http://192.168.0.100:8080/cgi-bin/filemanager.html」に直接アクセスすると、ブラウザからTS-470のデータにアクセスし、ファイルをダウンロードしたり、アップロードすることができる。設定画面と同じく、画面を必要に応じて拡大する必要があるが、Nexus 7へのファイルのダウンロードやギャラリーからのファイルのアップロードも問題なくできた。

File Stationにアクセスすると、ブラウザ経由でNASのファイルをやり取りできる。一時的な使い方には便利

 2つめは汎用のSMB接続アプリを使う方法だ。たとえば、「ESファイルエクスプローラー」などを利用して、TS-470のIPアドレスを指定してサーバーを登録すれば、共有フォルダにアクセスすることができる。WAN経由でアクセスするにはVPNを利用するなど工夫が必要なので、ローカルアクセス用と割り切った使い方をした方がいいだろう。

ESファイルエクスプローラーなど汎用的なSMB対応アプリを使うことも可能。ただし、LAN環境での利用に限られる

 3つめはQNAP製アプリの「Qfile」を使う方法だ。当たり前だが、専用アプリであるQfileを使う方法がもっとも簡単かつ快適だ。同一LAN上でアプリを起動すれば、自動的にTS-470が検出され、接続先として登録することができ、すぐにファイルにアクセスできる。

 ファイルのアップロード、ダウンロードはもちろんのこと、ファイルをインターネット経由で他の人と共有するためのダウンロードリンクを生成したり、複数ファイルを指定してTS-470上で圧縮することなどもできる。

 今回利用したNexus 7の場合、編集機能こそないもののOffice文書を開くことができるQuickOffice HDがプリンストールされているため、TS-470上に保存されているWordやExcel、PowerPoint、PDFなどの文書もQfileからサッと開くこともできる。普段、PCで利用しているデータを手軽にタブレットでも扱えるのは大きなメリットだ。

 もちろん、Qmanagerと同様に、myQNAPcloudを利用すれば、外出先からのアクセスも可能だ。Qfileに「Qxxxxxxxx.myqnapcloud.com」のような名前を登録しておけば、Nexus 7のLTE回線などを利用して、ファイルをダウンロードしたり、アップロードすることが簡単にできる。Nexus 7で撮影した写真を自動的にTS-470にアップロードすることもできるので、写真のバックアップなどにも活用できるだろう。

もちろんOffice文書を扱うことも可能。Nexus 7の場合、標準では閲覧のみだが、タブレットの用途を考えると閲覧のみでも十分
タブレットを「クライアント」として活用するならQfileのような専用アプリがやはり便利。WAN経由でも利用できる

音楽や動画を再生する

 続いて、音楽や動画を再生してみよう。Qfileでも音楽などを再生することはできるが、音楽に関しては、専用アプリである「Qmusic」の利用が便利だ。

 他のアプリと同様に、LAN上での自動NAS登録、myQNAPcloudを利用したWANアクセスができるのは当然として、音楽再生専用アプリらしく、アルバムアートを表示したり、フォルダに保存されている楽曲をランダムで再生したり、お気に入りに登録して特定の曲だけを聴くことが簡単にできる。

 バックグラウンドで動作し、他のアプリを起動したり、本体をスリープさせても再生を続けることができる。ステータスバーから再生をコントロールすることもできるので、操作も簡単だ。タブレットに入りきらない音楽データをTS-470に保存して、再生するという使い方をすると便利だろう。

 映像に関しては、音楽や映像をストリーミング再生できるQmobileが用意されているのだが、前述したQfileでも再生できる。映像の場合、そのファイルがスマートフォンで再生できる形式かどうかが重要で、Qmobileの場合、対応しているファイルは再生できるのだが、対応していないと一覧にも表示されない。

Qmusicを利用することで、TS-470上の音楽ファイルを再生可能。WANでも使えるので、いつでもお気に入りの音楽にアクセスできる
音楽や映像などをストリーム再生できるQmobile。対応形式のファイルを再生するならこのアプリが便利

 一方、Qfileは汎用的なファイル操作アプリとなるため、再生できないファイルも一覧表示できる。再生できないなら、一覧表示できても意味がないのでは? と思うかもしれないが、TS-470には映像をトランスコードする機能が搭載されており、Qfileを使えば、このキューにファイルを追加することができるのだ。

 もちろん、MP4にトランスコードされるまでまで待つ必要はあるが、TS-470は従来のTS-x69のATOM系CPUから、Core i/Celeronシリーズ系のデュアルコアCPUに変更されており、トランスコードのような負荷のかかる処理を比較的短時間にこなすことができる。まさに、スマートフォンやタブレット端末用に映像をトランスコードしたい場合に適したNASと言えるだろう。

未対応のフォーマットの動画はQfileを利用することでトランスコード可能
TS-470でトランスコードされたファイル。QfileやQmobileから再生できる

設置してすぐにタブレットからも使える

 このように、今回テストしたQNAPのTS-470は、初期設定のみならず、ファイル共有、メディア共有、リモートアクセスなど、主要な機能がスマートフォンやタブレットでも標準で使えるようになっている。

 今回はAndroidを搭載したNexus 7を使ったが、もちろんiOSを搭載したiPadやiPhoneにも対応しているので、Windows、Mac、Android、iOSと、マルチOSの環境にも対応することができる。

 このほか、PPTPやOpenVPNを利用したVPNサーバー機能も、クラウド経由で初期設置することで標準で有効になっている。

 PPTPはタブレットを接続する回線によってパススルーしない場合があったり、OpenVPNは設定ファイルや認証鍵をあらかじめタブレットにコピーする必要があり、少々敷居が高いが、きちんと使える環境を整えれば、タブレットからNASまでの間の通信経路を暗号化で保護しながら、安全にデータをやり取りできるようになる。自社の要求するセキュリティレベルに対して柔軟に対応できるのも、QNAPのNASならではの特徴と言えるだろう。

 今後、タブレットはPC以上に身近な存在として、利用する機会が増えてくると予想できる。そういった環境に備えて、タブレットからも手軽に使えるストレージ環境を整えておくべきだろう。

清水 理史

製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 8」ほか多数の著書がある。自身のブログはコチラ