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Cisco、2020年にIPトラフィック3倍増と予測、ユーザー数は11億増、デバイス数は100億増

 米Cisco Systemsは7日、独立系アナリストの予測と実際のネットワーク利用データの調査結果に基づいて、2015年から2020年のインターネットトラフィックと接続デバイスについて予測したレポート「Cisco Visual Networking Index(VNI)Complete Forecast for 2015 to 2020」を発表した。

 2015年から2020年の5年間に、インターネットユーザーは30億人から41億人に、デバイス接続数は163億から263億に、1人あたりのデバイス接続数は2.2から3.4に増加すると予測。1カ月あたりのIPトラフィックは72.5EBから194.4EBに増加、年平均では22%増加し、5年間で約3倍になるとしている。

 IPトラフィックを地域別に見ると、北米と西ヨーロッパ、中南米は年平均19~21%の増加で、5年で2倍だが、アジア太平洋と中央ヨーロッパでは、22~27%増で3倍、中東およびアフリカでは41%で6倍と予測されている。

 固定ブロードバンドの速度は24.7Mbpsから47.7Mbpsと約2倍に高速化するが、2020年にはPCの占めるトラフィックへの割合は29%に低下。タブレット、スマートフォン、テレビなどPC以外のデバイスからのトラフィックが71%を占め、中でもスマートフォンは30%に達すると予測している。

 Wi-Fiスポットの数は6400万から4億3200万へ7倍増。ただし、すでにWi-Fi経由のトラフィックは2015年には55%を占め、2020年にも59%にとどまる。一方、セルラーによるトラフィックは7%から19%に増加。固定回線は38%から22%へと減少する見通しだ。

 IPv6対応機器は23.3%から48.2%に増加、トラフィックは16倍に増加し、全体の34%を占めるようになるという。

 現在でも63%とトラフィックの中心的な位置を占めるビデオ関連サービス/コンテンツは、2020年には79%を占め、再生分数は1カ月あたり3兆分に達するという。HD/Ultra HDビデオは、2015年の53%から82%に増加する。なお、ビデオ監視のトラフィックは2015年に前年比2倍になり、2020年には10倍になるという。ビジネス向けでもトラフィックが44%から66%に拡大、ビデオ会議の利用ユーザーは9500万人から2億4800人に増加するとしている。

 トラフィックの増加にはIoTの進展も寄与する。ビデオ監視、スマートメーター、デジタル医療モニターなどのM2Mサービスのホストにより、新たなネットワーク要件と漸進的なトラフィックの増加が生じるとしている。M2M接続数は2015年の49億個から2020年には122億個へと3倍近くに増加、接続デバイス総数の46%を占めると予測している。

 Ciscoでは、インターネットの依存度の高まりにより、セキュリティが最大の懸念になるとも予測している。VNIのレポートは毎年発行されているが、今年のレポートでは初めてDDoS攻撃の脅威を数値化し、攻撃の発生時には総トラフィックの10%を占める可能性があり、攻撃回数も今後5年で660万回から1700万回へ増加すると予測している。