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Torネットワークへの接続ユーザー数が急増、理由については不明

 匿名ネットワーク「Tor」への接続ユーザー数が、8月19日以降に急増しているというデータが観測されており、セキュリティベンダーなどが状況を注視している。

 Torは、仮想トンネルにより接続経路を匿名化するネットワーク。Tor Projectが公表しているTorネットワークへの接続ユーザー数によると、最近1年間は50万ユーザー程度だったが、8月19日以降にユーザー数が急増しており、9月3日時点では200万ユーザーを超えている。

Tor ProjectによるTorネットワーク接続ユーザー数の推移

 国別に見ると、最も多い米国からの接続ユーザー数は、8月前半の約9万ユーザーから約20万ユーザーに増加。特にユーザー数が増加したのはブラジルで、約1万5000ユーザーから約16万ユーザーと10倍以上に増えている。日本のユーザー数も、約6500ユーザーから約4万5000ユーザーへと増加。このほか、フランス(約3万→約12万)、ドイツ(約4万→約12万)、イタリア(約4万→約8万)など、各国で同様のタイミングでユーザー数が増えている。

 ただし、ユーザー数が急増している理由については判明していない。米SANS Instituteでは、「マルウェアの変種によるもの」「政府による監視のニュースに反応した人々によるもの」「レポートの作成エラーによるもの」といった議論があると説明。Torネットワークからの脆弱性スキャンに関する少数の報告や、ウイルスの感染マシンにTorクライアントがインストールされていたといった報告は受け取っているとして、Torネットワークの監視状況や、マルウェアに関する情報を共有していきたいとしている。

(三柳 英樹)