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Google、新NexusシリーズやAndroid 6.0を国内で紹介、年齢の変化を考慮して個人を識別する「Google フォト」新機能なども

 グーグル株式会社は7日、Androidに関する説明会を都内で開催した。先日発表された「Nexus 5X」「Nexus 6P」のほか、最新バージョンとなるAndroid 6.0、5月のGoogle I/Oで披露された「Now On Tap」、現在開発中の「Google フォト」新機能を紹介した。

9月30日に発表された「Nexus 5X」(上)「Nexus 6P」(下)

電池持ちを改善するDozeモードや、アプリのアクセス権限個別設定などAndroid 6.0の新機能

 新NexusシリーズとAndroid 6.0の新機能について、グーグル株式会社製品開発本部長の徳生裕人氏が説明した。Nexus 5Xは、5.2インチ液晶ディスプレイを搭載したLG製スマートフォン。現在も人気のある「Nexus 5」の後継機種で、筐体サイズはそのままに液晶サイズを拡大した。バッテリーも2700mAhに強化されている。Nexus 6Pは、5.7インチAMOLEDディスプレイを搭載したHuawei製スマートフォンで、Nexusシリーズ初のフルメタルボディを採用している。

 両モデルとも、インターフェイスに新たにUSB-TypeCを採用し、急速充電に対応する。また、指紋認証センサーやセンシング専用の超省電力プロセッサー「Sensor Hub」などを搭載。カメラも強化され、リアカメラには画素ピッチ1.55マイクロメートルの1230万画素イメージセンサーを搭載している。なお、Nexus 5に限りNTTドコモやY!mobileでも取り扱う。

 Android 6.0について、徳生氏は「革新的な機能は追加されないものの、日々のユーザー体験を最大化するためにはどうすればいいかを考えて開発したアップデート」だと述べ、ロック画面での音声認識による検索や、ドロワーの上部に使用頻度の高いアプリを時間帯ごとに表示するといった、使い勝手の改良がメインになっているとした。

 また、モーションセンサーの動きから使われていないタイミングを判別して、スリープより更に省電力なモードに移行する「Dozeモード」が追加された。これにより、30%近くバッテリー駆動時間が改善するという。また、アクセス権限も変更され、アプリのインストール時は最小のアクセス権限のみ許可し、カメラを利用する場合など、特定の動作を行うタイミングで権限を許可するかユーザーが選択できるようになった。

ロック画面から音声検索へアクセス可能に
ドロワー上部に利用頻度の高いアプリを時間帯ごとに表示する
アプリのアクセス権限の許可を、インストール時からアプリの各機能実行時に変更
「Dozeモード」により、スマートフォンを使用していないことを検知すると、スリープよりさらに省電力なモードに移行する

 そのほか、5月のGoogle I/Oで発表され、すでに英語版で提供されている「Now On Tap」を紹介した。これは、どのアプリを使用している場合でも、ユーザーの知りたいこと・やろうとしていることを推測し、Google検索でそれに応えるもので、「Google Now」を進化させた機能となる。例えば、音楽アプリで再生しているアーティストや楽曲について知りたい場合に、ホームボタンを長押しすると、楽曲とアーティストそれぞれのカードが表示され、任意のカードをタップすることで、知りたい情報に最短でアクセスできる。

 Now On Tapは、Google以外のサービスでも利用可能。LINEなどのメッセージアプリで相手がとある飲食店の名前を投稿した場合、ホームボタンを長押しするだけでその飲食店に関するカードを表示する。カードには、食べログなど関連アプリへのリンクも含んでおり、各サービスに引き継ぐ形で飲食店に関する情報にアクセスできる。また、予定に関するやり取りの最中でNow On Tapを立ち上げると、カレンダーへの登録カードが表示される。

グーグル株式会社製品開発本部長の徳生裕人氏
「Google Play ミュージック」で、Do As Infinityのbelieve in youという楽曲を再生中に、ホームボタンを押すと「Now On Tap」が起動。曲名とアーティストについてそれぞれのカードが出現する
アーティストをタップすると、Do As Infinityに関する検索結果ページにジャンプする
「JJハワイ行かない?」というメッセージを受信したところでNow On Tapを起動すると、それが飲食店名であることをGoogleが識別し、「食べログ」アプリへのリンクを含んだカードを表示する
「食べログ」アプリで「JJ HAWAII」に関する情報を表示させたところ
メッセージ上で「じゃあ6:30に待ち合わせしましょう。」という投稿があるタイミングでNow On Tapを起動すると、カレンダーの予定作成カードが表示される

成長の早い子供など、年齢の変化も考慮して人を識別する「Google フォト」

 5月にアナウンスしたGoogle フォトは、1600万画素までの写真であれば無制限でアップロードできるストレージサービス。サービスのコアとして、一生分の写真やビデオを保管する場所としてだけでなく、写真を整理せずに思い出を取り出せること、写真を簡単に共有・保存できることを挙げている。サービス開始から4カ月間で500億の写真・画像がアップロードされているという。

 Google フォトは、マシンラーニングを使った画像の自動分類が特徴で、写真の被写体からどのようなシチュエーションの写真か、何が写っているかを自動で識別してタグ付けする。これにより、「クリスマス」や「砂浜」といった写真をユーザー自身が分類することなく自動で整理してくれるほか、例えば「象」というキーワードで検索すれば、アップロードした写真から自動識別して結果を表示する。

 また、開発中の機能として、米国で先行提供されている似た人物のグルーピング機能を披露した。これは、同一だと識別した人の写真を自動でまとめるもので、年齢による顔の変化も考慮して識別可能で、生まれたての赤ちゃんの写真から成長していく過程などもグルーピングできる。なお、誰を識別しているのかまでは分からないため、ユーザーは任意の名前でタグ付けする必要がある。これにより、「太郎 雪だるま」など、人物、場所、自動認識を組み合わせて検索できるため、思い出をより簡単に探せるとしている。

 そのほか、年内提供予定の機能として、それぞれ別のGoogleアカウントに紐付いて保管されている写真を持ち寄ってお互いに共有できる「共有アルバム」機能も紹介した。マルチプラットフォームに対応しており、Android/iOS、PCから共有アルバムにアクセス可能。家族や友人などで写真を共有する場合に便利だとしている。

「Google フォト」では、マシンラーニングを使った画像の自動識別による分類が可能。「クリスマス」や「自分撮り」など、関連すると思われる画像を自動で分類する
マシンラーニングにより、「象」と検索した場合、アップロードした写真から象が写ってるであろうと識別した写真を自動で取得する
開発中の機能として、同一人物をグルーピングしてユーザーが自由にタグ付けできる機能を紹介した
「太郎 雪だるま」といったクエリで、人物と雪だるまが写った写真を、ユーザーがアップロードした写真の中から検索できる
人物の特定は、年齢による顔の変化も考慮され、生まれたての赤ちゃんから子供へ成長していく過程の写真を沢山アップロードすることで、年齢の変化を考慮したグルーピングが可能となる

「Marshmallow」ことAndroid M、「Mochi(餅)」になった可能性も?

 Androidの現状について、米GoogleでAndroid担当副社長を務めるヒロシロックハイマー氏が登壇した。Androidは、現在世界中で14億人のユーザーを抱え、世界で一番普及しているコンピュータープラットフォームだと説明。また、AndroidのエコシステムであるGoogle Playで日本は大きな収益を得ており、収益ベースでは世界トップ3にランクインしている。「モンスターストライク」「パズドラ」「LINE」などのアプリが世界中で利用されているとしている。

 ロックハイマー氏は日本生まれ日本育ちで、幼少期から日本の家電製品に触れて育ったという。また、FeliCaやiモード、モバイル決済システムのほか、今では世界中で利用されている絵文字など、日本発のイノベーションについて紹介した。なお、Googleの東京オフィスは、Googleが米国外で作った初めての海外拠点だとしており、現在数百人のエンジニアがGoogleのコアサービスの開発を行っているという。

 そのほか、歴代のAndroidでは甘いもの、スイーツがコードネームに採用されており「最新版(Android 6.0)では餅と呼びたかったが、僅差でマシュマロに決まった」と、コードネームに関するエピソードを紹介した。

米GoogleでAndroid担当副社長を務めるヒロシロックハイマー氏

(山川 晶之)