特別企画
インターネット広告超入門
「インターネット広告の基本実務(JIAA刊)」“Ⅲディスプレイ広告”より
(2015/6/15 13:00)
ネットユーザーにおいては、日常的なPCやスマートフォンでのネットコンテンツの閲覧やサービスの利用において、様々な形で「広告」に接する機会は非常に多いと思われます。
今やスマートフォンですら、かつて“ブロードバンド”という単語がもてはやされた頃の速度・帯域をゆうに超えているほど、通信環境のバックボーンはリッチになっているように、通信インフラ・ネットワーク、さらには媒体や広告の配信システムといったような多様な側面においての技術進化により、今やその広告の表示・表現方法も、非常に多岐に渡るものとなっています。
ここでは“インターネット広告”を、インターネット上のメディア(媒体社)やサービサーが用意した有償の広告枠に掲出されるものとして、より身近で多様になったインターネット広告について、一般社団法人 日本インタラクティブ広告協会より刊行されている「インターネット広告の基本実務 2015年度版」内の“Ⅲディスプレイ広告”より、一部コンテンツを紹介し、現在の“インターネット広告”に分類されるものの種類などを紐解くことで、それらの役目・役割についての理解・認知をあらためて深めて行きたいと思います。
※本コンテンツは、一般社団法人 日本インタラクティブ広告協会の刊行する冊子「インターネット広告の基本実務 2015年度版」から、“Ⅲディスプレイ広告 2.インターネット広告の基本分類・3.リッチメディア広告”部分の転載によるものです。
インターネット広告の基本分類
インターネット広告は、多様な広告フォーマットと掲載契約形態で行われている。
基本分類は、下記のカテゴリーであり、それぞれに複数の広告フォーマットや広告掲載方法(契約形態)が存在する。
(1)ディスプレイ広告
サイトやアプリ上の広告枠に表示する画像(動画)、テキストなどの形式の広告
バナー広告 枠内に表示する画像形式の広告 ※フィーチャーフォンではピクチャー広告ともいう | バナー広告 横に細長い広告 |
レクタングル広告 正方形または長方形の広告 | |
スカイスクレーパー広告 縦に細長い広告 | |
リッチメディア広告 動きのある表現手法の広告 | フロ―ティング広告 サイトコンテンツ上の一部を一時的に動く広告 |
エキスパンド広告 マウスオーバーやクリックで広告スペースが一時的に拡大する広告 | |
ポップアップ広告 アクセスしたページの上に別ウィンドウで開く広告 | |
フルスクリーン広告 ブラウザの全面またはほぼ全面に一時的に表示する広告 | |
テキスト広告 テキスト(文字)形式の広告 ※画像付きのテキスト広告もある |
(2)リスティング広告
検索キーワードやコンテンツに連動して表示するテキスト、画像(動画)形式の広告
検索連動広告 検索キーワードに連動して検索結果ページに表示する広告 |
コンテンツ連動広告 閲覧ページの内容(コンテンツ)に連動してページ内に表示する広告 |
(3)メール広告
電子メール内に表示される広告
メールマガジン型 メールマガジンやニュースメール内の広告スペースに挿入する広告 |
ダイレクトメール型 全文が広告のメール |
(4)ネイティブ広告
デザイン、内容、フォーマットが、媒体コンテンツの形式や機能と同様でそれらと一体化している広告
インフィード広告 媒体コンテンツの枠内に表示する広告 | 媒体内誘導型 媒体内のコンテンツ(タイアップ広告等)へ誘導する形式の広告 |
外部コンテンツ誘導型 外部コンテンツ(ランディングページ(*)等)へ誘導する形式の広告 | |
フィード内表示型 枠内にコンテンツ(動画コンテンツ等)を表示する形式の広告 | |
レコメンドウィジェット 媒体コンテンツページ内に設置するレコメンド枠に表示する広告 | |
タイアップ | タイアップ広告 媒体社が記事調に制作編集する広告 |
スポンサードコンテンツ 広告主がスポンサードする媒体社制作コンテンツ |
(*)ランディングページ(Landing Page)
広義にはインターネット広告や検索エンジンの検索結果ページからのリンク先となるページを指す。狭義には、それに加え、資料請求や商品購入などの何らかのアクションやコンバージョンを行わせるべージのことを言う。
リッチメディア広告
(1)リッチメディア広告とは
一般的なバナー広告と比較して、情報量が豊富で高度なクリエイティブのものを、リッチメディア広告と呼ぶ。インターネット黎明期は静止画像や文字情報での訴求が一般的であったが、近年インターネットの回線容量の増加やパソコンの性能が向上し、インターネット広告の配信テクノロジーも進化した。これにより、高画質、高解像度、大容量の広告スペック、音声の活用等が可能となり、通常のバナー広告では表現できないオリジナリティ溢れるクリエイティブを展開することが可能となった。クリックだけではない、認知獲得、ブランディングなどのインプレッション効果が期待でき、アトリビューション分析が普及している中、その重要性は益々大きくなっている。ただ、フリークエンシーが大きくなり過ぎると逆に不愉快な印象を与えてしまう可能性もあるため、1ユニークユーザーに対して1日に1回等の制限をかけて露出されることが多い。下記の通り、リッチメディア広告には様々な手法がある。
(2)リッチメディア広告の手法
1) ジャック広告
ページの背景をジャックし、バナー広告とWallpaper(背景)の一部のクリエイティブを連動させたビジュアルで構成される。ユーザビリティに配慮した仕様であり、コンテンツを阻害することなく、視認性と広告内容の訴求力が高い広告商品として多くの広告主に活用されているWallpaper AD(背景広告)、ゲート等とも呼ばれる。
2) フローティング広告
Web上を数秒から15秒程度の間、広告画像が浮遊して飛び回ってから、所定の位置に落ち着くようなビジュアルで構成される。Webページ上に浮かんで動き回るように見えることからこう呼ばれる。マウスの動きに反応するインタラクションや音声を組み込むことも可能で、サイト閲覧者の視覚に強烈な印象を与えることが期待できる。オーバーレイ広告とも呼ばれる。
3) エキスパンド広告
マウスの動きに反応して拡大する広告のこと。マウスのポインターをバナーに重ねたときに拡大するものはロールオーバー・エキスパンドバナーと呼ばれ、これはポインターがバナーから外れると拡大した領域も元の大きさに戻る仕様となっている。一方、クリックすると拡大するバナーはクリック・エキスパンドバナーと呼ばれる。最初はページの角に少しだけ広告が見えており、これをクリックすることで、シールがはがれるように画面が広がり、拡大された広告が表示されるような手法もある。
4) インタースティシャル広告
文字通り隙間を利用した広告のことで、一般的にページとページの間に挿入される手法を指す。コンテンツとコンテンツの間に広告を挿入する発想はテレビと共通していると言え、トランディショナル広告やビットウィーンページ広告とも呼ばれる。
5) サイドキック広告
ユーザーが広告に働きかけると、ページ全体が横に移動し、袖に隠れていたマイクロサイトが現れる手法。ユーザーはサイトから他のページに飛ぶ必要がなく、メディアにとっても利点がある。
JIAAより
本コンテンツでご紹介したように、「インターネット広告」も、現在は表示の仕方やオーディエンスの皆さまからの見え方も非常に多様になっています。歴史を振り返ればわずか20年足らずなのですが、その間もそして現在も、様々な技術発展を背景に、その広告のスタイルは進化・変化を続けています。
JIAAは、そんなインターネット広告の健全な市場発展や社会的信頼の向上のために、多方面にわたる活動を行なっている団体です。インターネット広告業界に関わるプレイヤーの皆さまのために、本稿で一部紹介した「インターネット広告の基本実務 2015年度版」のような、インターネット広告に携わる方々に、最新の基礎知識を習得していただけるような冊子も刊行しています。採用・人事異動や新卒の新人研修等、インターネット広告業界に新しく参加される方への教本としてご利用いただけるものとなっています。
なお、JIAAは2015年6月4日より「一般社団法人 日本インタラクティブ広告協会」と名称を変更しました。(旧団体名は「一般社団法人 インターネット広告推進協議会」)