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【ドメイン】

JPドメインのレジストリ業務が全面移管へ
変化するccTLDの委任形態とあらためて問われる公共性

■URL
http://www.nic.ad.jp/new-org/index.html

 JPドメイン名のレジストリ業務が、日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)から日本レジストリサービス(JPRS)に全面的に移管される。すでに本誌でもお伝えしたように、JPNICがまとめた移管計画が12月6日のJPNIC総会で承認されており、2002年4月1日をもって移管される予定だ。

 移管後はJPRSが、ICANNと契約したJPドメインの「ccTLDスポンサ組織」として、JPドメインを運用してくことになるわけだが、この2者の関係は、従来のJPNICとICANN(IANA)との関係がそのまま移行したものではないことに注意したい。これまでは、その地域のインターネットコミュニティとICANN(IANA)との“合意”という比較的ゆるやかな関係に基づいたものであったが、ICANNでは今後、「ccTLDスポンサ契約」という形でこれをより公式な“契約”関係に移行していく方針なのだ。

 ccTLDスポンサ契約では、ccTLDのスポンサ組織(JPドメインではJPRSがこれにあたる)とICANNの責務がそれぞれ明確化されているほか、インターネットの社会的役割が重要になっていることをふまえ、新たに政府の位置づけが盛り込まれている点が注目される。ICANNの政府諮問委員会の勧告を受けた結果盛り込まれたもので、ccTLDスポンサ契約の締結には、その国の政府からの“支持”が条件となる。具体的には、JPRSとICANNがccTLDスポンサ契約を締結するにあたって、日本政府がこれを支持するかどうかを確認するプロセスが発生している。

 一方、JPNICとJPRSの関係については、2002年1月にも2者間で締結される「JPドメイン名登録管理業務移管契約」に規定されている。レジストリ業務が全面的に移管されるとはいっても、ドメイン名紛争処理方針の策定や紛争処理期間の認定という機能についてはJPNIC側に残されるほか、JPRSの行なうJPドメイン業務について、JPNICと政府がその公共性についてチェックすることになっている。

 17日、JPNIC主催による「JPccTLDを議論する会」が東京都内で開かれ、村井純理事長は、間もなく締結されるJPドメインのccTLDスポンサ契約が「世界のccTLDの今後に大きな影響力を持っている」と指摘。「政府ではない、民間の集合体がポリシーを決めるという理想に近いかたち」と強調した。

 一方、会場からは、チェック機能についてJPNICや政府だけでなく、外部のオンブズマンなど、JPNIC会員に限定せず、JPドメインのユーザーが意見を反映できる仕組みが必要との意見も出された。これまでccTLDの草分け的存在としてた“お手本”とされてきたJPドメインだが、今回のレジストリ業務移管後も改善すべき課題は残されていると言える。今後も、インターネットコミュニティやユーザーを広く巻き込んだ積極的な議論が望まれるだろう。

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(2001/12/17)

[Reported by nagasawa@impress.co.jp]


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