【著作権】

2001度使用料徴収率の総計は“戦後初”のダウン

着メロによる著作権使用料徴収額が前年比3倍に
~JASRAC発表

■URL
http://www.jasrac.or.jp/
http://www.jasrac.or.jp/profile/prize/interactive.html

 社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)は22日、「平成14年度定例記者会見」を実施し、平成13年度(2001年)の著作権使用料徴収額などを発表した。徴収額が全体的に低迷する中で、着信メロディーの配信による使用料徴収額が前年比3倍を記録するなどの新たな展開がみられた。

 2001年の使用料徴収額は1,052億8,000万円で、前年度(1,063億3,000万円)と比較して約1%の減となった。JASRACによると、徴収額が前年度より下回るのは“戦後初”とのこと。ただし、前年度には、業務用通信カラオケなどの使用料率が規定され、過年度分の使用料がまとめて入金されるなどの要因もあり徴収額が増加していたという。JASRACでは、その分を差し引くと2001年度は微増しているとしている。

 しかし、現実にCDなど(種目「オーディオディスク」)の売上げによる徴収額は約340億円と、前年(約377億円)から約10%ダウンしている。徴収額減の原因としては、まずミリオンクラスのヒットが少なくCDの売上げが減少したことが挙げられるが、その他の要因としては「ファイル交換ソフトによる著作権侵害」や「CD-R普及による違法コピー」があるという。JASRACでは、ファイル交換に関しては、「ファイルローグ」を運営する有限会社日本MMOに対し2002年1月に仮処分申立て、2月にはサービス停止と2億1,433万円の損害賠償を求める本案訴訟を東京地裁に提訴している。また、「WinMX」で音楽ファイルを交換可能な状態にしていたユーザーに対しては、2001年12月に公衆送信権および複製権の侵害で京都府警山科警察署に告訴(2002年3月に罰金40万円の略式命令)するなどの対応をしている。


JASRAC常務理事・加藤衛氏

 一方の「CD-Rへのコピー」への対策に関しては、レコード会社などコンテンツホルダーの自衛手段として「コピーコントロールCD(CCCD)」の使用が挙げられるが、JASRACとしては率先して進める立場ではなく「権利者として支持している」(JASRAC常務理事・細川英幸氏)と語るにとどまっている。

 そのような状況の中で注目は、種目「複合その他」における徴収額の増加である。「複合その他」は着メロ配信を含むインタラクティブ配信を指すもので、2001年度は約40億円を徴収している。2000年度の約12億円から3倍以上の伸びをみせている。内訳は着メロ配信が95%で、レコード会社などによる有料音楽配信サービスが残り5%となっている。この比率は前年度と同様であり、まだ規模としては小さいものの有料の音楽配信サービスも前年比3倍に伸びたことになる。この件についてJASRAC常務理事・加藤衛氏は「着目すべきこと」とし、「ブロードバンド普及によってこれからもっとふくらむ可能性が大」と語っている。

 なお、JASRACでは定例記者会見の参考資料として、例年「国内作品分配額ベスト10」「カラオケ分配額ベスト20」などを配布しているが、今年初めて「インタラクティブ配信分配額ベスト20」が加えられた。

◎関連記事
RIAJとJASRAC、ファイルローグに対して3億6,500万円の損害賠償請求
ファイル交換ソフトによる著作権侵害で刑事処分~罰金40万円

(2002/5/22)

[Reported by okiyama@impress.co.jp]

ほかの記事はこちらから

INTERNET Watch編集部internet-watch-info@impress.co.jp
Copyright (c) 2002 impress corporation All rights reserved.