【イベントレポート】

CATV関連の総合展示会「ケーブルテレビ2002」開幕

■URL
http://www.catv-f.com/

 ケーブルテレビ関連の展示会「ケーブルテレビ2002」が池袋サンシャインシティにて6月12日より開幕した。展示会では、「ブロードバンドケーブルテレビが時代を突き抜ける」をテーマに約150社がブースを並べており、CATV関連機器を展示する「ハードウェアゾーン」、関連ソフトウェアの「ソフトウェアゾーン」、番組供給会社の「サプライヤーゾーン」がある。ここでは、インターネット関連で注目の展示を取り上げてみよう。

 家庭向けのケーブルモデム付きIEEE802.11bアクセスポイントは会場内で数多く見られたが、マスプロ電工では、屋外用の「WL77CMC」を展示している。WL77CMCは、配線工事が困難な集合住宅へCATVインターネット接続サービスを提供するための機器だ。電柱に設置するタイプで、利用するユーザーは平面アンテナをベランダに設置し、アクセスポイントと接続する。4台のアクセスポイントを設置することにより最大60ユーザーまで利用できるとしており、アクセスポイントに指向性アンテナを使った場合は、800メートル程度のエリアをカバーできるという。この機器は、金沢ケーブルテレビネットの実証実験で使用され、これを用いた商用化サービスも検討されている。

 CATV局のブースもいくつか見られたがその中で「知多メディアスネットワーク」ではIPv4とIPv6接続を同じ回線で提供する「デュアルスタック接続」の実験を紹介していた。同社は愛知県東海市を中心に、約1万人の接続ユーザーを持つCATV局で、実験には約20名のユーザーが参加している。実験では、接続サービスのほかIPv6対応のメールサーバーやWebサーバーも提供している。同社では、デュアルスタックはユーザー側のルーターが必要ないため、IPv4のネットワークにIPv6を通す「トンネリング接続」よりも敷居が低いとしている。その上で、CATVのメリットとしてネットワークの構成を自社で設計できるため、ADSLなどよりもデュアルスタックサービスを扱いやすい点を挙げている。
 さらに、IPv6を用いた映像配信実験も進めている。同社が通信衛星から受信した映像(30Mbps)をIPv6を用いて近隣のCATV局へ送信し、映像を受信したCATV局は通常のテレビ放送で各家庭に配信するという内容で、とこなめニューテレビやCATV愛知など県内の6局が参加している。2002年2月3日に行なわれたH-IIAロケットの打ち上げの中継を紹介しながら特別な回線を利用することなくCATVが持つ地域コンテンツを配信するといった利用例を挙げている。

 変わったものでは、ウィクトルは、360度の撮影ができるWebカメラ「Be Here」を展示していた。Be Hereは、複数のユーザーに対して、それぞれの好きなアングルを提供するカメラだ。カメラは常に360度を撮影しており、ユーザーには必要な部分のみを送信するといった仕組みになっている。別途用意する配信サーバーによって、MPEG2/4、QuickTimeやWindows Media形式に対応できる。Webブラウザーで映像を見られ、プラグインなどは必要ないという。Be Hereの本体価格は300万円から350万円程度で、1週間のレンタルの場合は、80万円程度だという。

 「ケーブルテレビ2002」の会期は14日までで、引き続き展示会が開催されるほか、分科会では「ブロードバンド時代のケーブルテレビの在り方について」などの講演が予定されている。なお、展示会の入場料は無料。


電柱に取り付ける「WL77CMC」

平面アンテナ

「Be Here」のカメラ部分

日本テレビのCS放送「電波少年的放送局」のPRイベント。左から、矢部太郎、ジニー、チューヤン、日本テレビの馬場典子アナウンサー。このように、会場内ではさまざまなイベントが行なわれている。

 

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(2002/6/12)

[Reported by adachi@impress.co.jp]

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