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“e社会”は若者が主役の社会~沖電気篠塚勝正社長講演

■URL
http://www.ceatec.com/
http://www.oki.com/jp/


沖電気工業・篠塚社長

 「CEATEC JAPAN 2002」初日の基調講演には、「ブロードバンドの先に見えるe社会」と題して沖電気工業株式会社代表取締役社長の篠塚勝正氏が登壇した。同氏はまず、「“e社会”とは、“良い社会”のことだ。人々が安心して生活できるような、“個”が主役となる社会であることが重要だ」と語った。

 篠塚氏が言うところの「良い社会」が実現するためには、ネットワークが目指すべき目標が3つ存在するという。1つは、「いつでも、だれでも、どこでも」利用できるようなユビキタスインフラとしてのネットワークだ。次にユーザーが欲しい情報を望む形で入手できるサービスとしてのネットワーク、そして安全、確実、適正価格で利用できる質の充実したネットワークだ。この結果、「ブロードバンド環境というものは、ヴァーチャルであったとしても極めてリアルなものを提供する環境になる」という。

 しかしながら、上記のような環境になればなるほど、セキュリティーを強化する必要がある。篠塚氏は、「e社会のリスクは、人間の感性などに影響を受ける。そのため、対応がどうしても後手に回ってしまう。安全であるためには、いかにして個人を特定できるかにかかっている」と述べた。ネットワークがライフラインになれば、システムの脆弱性への不安が高くなる。また、経済活動がネットワーク上で行なわれるようになれば、不正取引対策が重要になる。ネットワーク上を流通する情報量が増加することでプライバシーや著作権の侵害が発生し、人々が現実と仮想コミュニティが混在した環境の中で生活すれば、不良コンテンツへの接触やデジタルデバイドが起きるというのだ。

 そこで篠塚氏は、個人情報の管理に関する5原則を提案した。1つ目は、個人情報を「個人管理」と「共同管理」に分けて管理すること。2つ目は、「共通管理の個人情報」と「個人を特定できる情報」とを分離して管理すること。3つ目は、「個人情報」と「個人を特定できる情報」の組み合わせ情報へのキーを随時変更すること。4つ目は、「個人情報」と「個人を特定できる情報」の組み合わせ情報へのアクセス権を限定されたユーザーのみに与えること。そして5つ目は、「アクセス履歴」を保存し、要求に応じて公開することだ。

 また、個人の肖像に関する保護も重要になってくるという。同氏は、「カメラ付き携帯電話の出現などの利便性の向上は、同時に個人情報の流出対策も必要とする」と分析する。そこで沖電気で現在開発中の「フェースコミュニケーター」を紹介した。これは、リアルタイムで撮影した人物の表情を、アニメーションに置き換えて送信するものだ。自分にそっくりなアニメを利用することもできれば、「大仏」や「動物」といった全く個人情報が特定されないアニメを利用することもできる。篠塚氏は、「こうすることで、知らない人からテレビ電話がかかってきた時にも自分を守ることが可能になる」と語った。

「フェースコミュニケーター」画面。左がアニメーションへの置き換え、右が大仏への置き換えを行ったところ。

 最後に篠塚氏は、「日本は元気がないと言われているが、冷静に現状を把握すれば、決してそんなことはない」と語った。進むべき方向性は、「e-Japan構想」などで示されており、日本が得意とするいくつかの技術分野も健在だ。「変化を乗り切るために必要なのは、感性とエネルギー。これらを備えているのは若者だ」と語り、「従来型の『追いつき、追い越せ」ではなく、きめの細かい日本らしい価値の再認識が必要になる」と述べた。

(2002/10/1)

[Reported by okada-d@impress.co.jp]

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