【ドメイン】
FIFA、「Germany2006.biz」ドメインで敗訴~WIPO仲裁センターが判示■URL FIFAは、次期ワールドカップ開催国のドイツに関連のあるドメイン名である「www.germany2006.biz」を巡る世界知的所有権機関(WIPO)での仲裁において、敗訴していたことが明らかになった。 このドメイン名は、ドイツ在住の市民が登録しており、現在ではオンラインショップへのリンクが張られている状態にある。FIFAは、次期ワールドカップがドイツ開催であることから、2006年やワールドカップ、ドイツに関連するドメイン名や商標などを積極的に登録している。しかし、ワールドカップ自体とは直接関連の薄い「germany2006.biz」ドメインについては、登録しておらず、上述の一市民が登録する結果になっていた。 そこで、FIFAは2002年4月、WIPOの仲裁手続を経てドメイン名移転を図るために提訴しており、今回は、WIPOにおいて特別に設けられたbizドメイン用の手順「STOP」を利用した。FIFAは、移転すべき理由として主に、類似の商標権(DEUTSCHLAND 2006、WORLD CUP 2006 GERMANY、WORLD CUP 2006 GERMANY、WMDEUTSCHLAND 2006など)を保有していることを根拠に類似のドメイン名は移転されるべきとの主張を行なった。これに対し、提訴された市民は反応をしなかった。 WIPOの仲裁センターでは、FIFAが根拠とした類似の商標権と、今回の対象のドメイン名とが類似しているとは認められないと判示した。特に、ドイツを意味するドイツ語「DEUTSCHLAND」と年号の「2006」とを組み合わせたものを登録しているにもかかわらず、その英語「Germany」と年号との組合せとは類似しないとの判断を下したことは注目される。 ジュネーブにあるWIPOでは、ドイツ語の比重がそれほど高くなく、ドイツ語の知識がなければ、両者は似ていると感じることはない。実際、今回の仲裁においてドメイン名保持側は英語で行なうべきと主張していたのが、ドイツ語圏のスイス・チューリヒにあるFIFAの反論を受けドイツ語での仲裁になったいきさつもある。 このように、ドメイン名の紛争では、言語にまつわる問題が常についてまわる。今回の事件は「ワールドカップ」という文言自体がないものについてのドメイン名紛争であっただけに、FIFAとしての知的財産権戦略の甘さが露呈した形になった。 (2002/10/10) [Reported by Gana Hiyoshi] |
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