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商業的利用の場合には有償、また場合によっては無償でソースコードを公開

「Passport」のソースコードをシェアードソースに~米Microsoft

■URL
http://www.microsoft.com/MSCorp/presspass/Press/2002/Oct02/10-10DigitalIDWorldPR.asp

 米Microsoftは10日、米国で開催中のイベント「Digital Identity World 2002 Conference」において、「Passport」のソースコードを同社の推進する「Shared Source Initiative」のもとで公開することを明らかにした。Microsoftは膨大な費用かけて自社製品のセキュリティを高めるために「Trustworthy Computing」を進めているが、今回の発表もその一環といえる。

 Passportのソースコードを閲覧するこの取り決めは「Passport Manager Licensing Program」と呼ばれる。このライセンスは企業、学者、開発者、政府などさまざまな機関にライセンスされ、商業的利用の場合には有償で、また場合によっては無償でソースコードを閲覧できる。シェアードソースは、オープンソースとは異なり、ソースコードに加えた改編は自由に公開することができず、基本的にすべての権利はMicrosoftに帰属したままなのが特徴だ。

 ソースコードが公開されることで、ライセンシーはPassport Managerのコードを開発、デバッグ、サポートすることができ、さまざまな製品と統合することができる。また、ソースコードの閲覧に際してサポートを得ることも可能だ。

 Shared Source Initiativeによって、すでにWindowsの一部、Windows CE、Microsoft.NETテクノロジーの一部などのソースコードがシェアードソースで公開されている。今回Shared Source Initiativeに加わったPassport ManagerはCOMオブジェクトであり、MicrosoftWindowsOSと一部のUNIXバージョンに対応している。

 このイベントにおいてPassportの新しい機能として「Passport Password Quality Meter」も発表された。パスワードを決める際に分かり易い名前や言葉を設定するとパスワードの強度が著しく落ち、逆に大文字や小文字、数字、記号などを組み合わせることによってパスワードの強度を高められることはよく知られている。この新機能によりPassportのユーザーがパスワードの強度を容易に強化できるようになるという。

 Webサービス環境におけるデジタルアイデンティティーの分野では、MicrosoftのPassportとSun Microsystemsの連合が推進する「Liberty Alliance」の二つが有力だ。Liberty AllianceはMicrosoftの方法とは異なり、仕様をオープンに策定しその仕様に基づいて実装を行うという方法を取っており、Sun陣営はMicrosoftがPassportをオープンにしていないことを強く非難している。今回Passportをシェアードソースで公開することには、そのような非難に対する反論と考えることもできる。それだけでなく、Microsoftの製品は常に世界中のクラッカーの注目の的となっており、ソースコードが一部にせよ公開されることにより危険なバグが修正され、多くの人が利用するソフトウェアのセキュリティーの強度が高まることが期待される。

(2002/10/11)

[Reported by 青木 大我 (taiga@scientist.com)]

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