【海外動向】
独でナチス関連サイトの削除を巡り論争
~極右サイトの検閲のあり方に批判
■URL
http://www.bezreg-duesseldorf.nrw.de/
http://www.eco.de/servlet/PB/menu/1015684_pcontent_l1/content.html
http://berlin.ccc.de/
独ではナチス関連の極右サイトの運営が法律で禁止されているが、その検閲・除去措置を巡り論争になっている。2年ほど前には極右政党「BGD」のウェブサイトのプロバイダーであったAOLドイツがサイトの削除を行なうなど、積極的な極右サイトの検閲・削除措置が行なわれてきている。
ナチス関連のコンテンツを含むサイトの検閲や消去措置が採られるようになったのは1990年代の後半から。反民主的、外国人排斥などの内容は独憲法に違反する可能性があり、特にネオナチに代表される旧ナチス関連のコンテンツを提示するサイトは、従来から検閲され、削除するよう圧力をかけられているといわれていた。2001年には、独政府が法的措置をとれない国外のサイトを中心として、クラッキング攻撃をかけるのではとの報道がなされ、内務省側が慌てて否定するという事件も報道されている。
今回論議を呼んでいるのはデュッセルドルフ当局が実施した極右サイトの削除。これに対して、独インターネット経済協会(eco)の首脳が「このような検閲は思想の自由に違反する」との認識を示した。また、極右サイトに対する処置が何らかの形で必要だったとしても単なる消去措置の有効性にも疑問を投げかけている。というのも、消去措置をしたところで、別のサイトに同じコンテンツが掲載され、いたちごっこになるからだ。
ベルリンのIT専門家クラブ「CCC」のメンバーの一人は、検閲・削除が独国内のネット産業の発展の阻害になる可能性を指摘している。これに対して、デュッセルドルフ市の担当者は、インターネット上でも独憲法および法律は有効であり、例外にはあたらないとの見解を示し、措置の有効性を主張している。サイト検閲・削除については、義務違反に対して最高で5万ユーロの罰金が科される可能性もあり、裁判所で見解が展開しない限り、今後も検閲・削除措置が行なわれることになりそうだ。
(2002/10/24)
[Reported by Gana Hiyoshi]
|