【特集】
出版不況時代に贈るインターネット版・本の買い方選び方オンラインで本を買うのが定着した昨今。お気に入りのオンライン書店を持つ方も多いだろう。でも、そのオンライン書店では、貴方の探している本は永遠に見つからないかもしれない。出版される本の点数は年々増え続け、その代わり売れる本の数は減っている。本や出版社には世知辛い昨今、自分の欲しい本を見つけるのにも、ちょっとしたテクニックが必要。Webで本を見つけるためのTIPSを詰め込んだこの特集が、貴方の本探しに役立てば幸いだ。 ●基本は正確な書籍情報から本の探し方は、そのときの目的や状況で異なってくることが多い。「××について書いてある本が欲しい」場合があれば、本屋をうろうろしながら「何か面白そうなものはないか?」と棚を眺めることもある。また「この人が※年くらいに出した本があるはずなんだけど…」「タイトルは◇◇だったけど、出版社どこだっけ?」など、情報の一部分だけ掴んでいることもある。ここではまず、情報の一部分から、正確な書籍情報をゲットするための方法を追ってみよう。正確な書籍情報は、後で探すシーンが変わっても--たとえばもう通常の書籍では手に入らないことが分かり、古本を探す、またダウンロード販売で探すなど--必ず役に立つ。 分かっているのが著者名だけ、タイトルだけといった場合は、書籍情報のデータベース検索、それも書籍の情報をできるだけ多く収録しているデータベースから検索するのが手っ取り早い。新刊や「このあいだテレビで紹介していた」という本なら、オンライン書店の検索機能で充分ヒットするだろう。ただオンライン書店の検索の場合、現在注文できない書籍は検索結果から省いたり、また検索ミスで関係のない書籍を結果に加えることもある。例えば「ナンシー関」で検索した場合、オンライン書店の検索結果は以下のようになった。
こうしたブレを防ぐためにも、専用のデータベースを使いたいところ。例えば図書館流通センターが運営するサイト「ブックポータル」の「TRC新刊書籍検索」では、1980年以降に出版された和書90万件以上の情報を収録。検索は著者名・タイトル・出版社が基本のシンプルなものだが、出版年を調べたり、正確なタイトルを確認したりするのには便利だ。 有料でも構わなければ、日外アソシエーツなど4社による「BOOKPLUS」がある。1927年から現在まで、国内で出版された160万冊以上の書籍情報を収録したデータベースで、1986年以降の出版書籍については目次や概要なども収録されている。ISPと提携した展開もしているので、利用する際は自分のISPのコンテンツサービスに対応しているかを確認してみるといいだろう。 ■TRC新刊書籍検索●こんな本ってある? 今面白いのってなに? 「最近本を読んでないんだけど、何か面白いのないかなあ」「エスニック料理についての本を探してるんだけど、どれがいいかよく分からない」「自転車でツーリングに行くのにコース紹介してる本ってないの?」 例えば前項にも登場した「Webcat Plus」は、不慣れなジャンルなどで当たりをつける場合に役立つサイトの1つだ。このサイトの売りでもある「連想検索」機能で、知らないジャンルでも必要な本にアタリをつけやすくなっている。先ほどの「自転車でツーリングに行くのに~」というフレーズをそのままコピー&ペーストして検索すると、「関西MTBツーリングブック」「静岡県サイクルツーリングガイド」「ツーリング関東―推奨ルート&林道450コース」など、期待できそうな内容のタイトルが次々と登場してきた。この方式で、新聞のコラムの一部や、注目しているニュース記事をコピー&ペーストして検索し、そのテーマに沿った内容の書籍を探すことが可能だ。書籍によっては内容や目次を参照できるほか、ある書籍に類似・関連している内容の書籍検索によって、芋づる式に探していくことも可能だ。
“オススメ”で忘れてはならないのが「Amazon.co.jp」だろう。サイトにアクセスした瞬間から「◎◎さんにおすすめの商品があります」と迫り、閲覧履歴をもとにリアルタイムで内容が更新される「マイページ」や「マイストア」など、このサイトの“オススメ体制”は万全そのもの。関連商品を関連度の高さごとにまとめて表示する機能もある。ただ、オススメの理由が“ある商品を買った人が他に買っている商品”の場合、時にまったく見当違いのものが表示されたり、あるジャンルや著者に詳しい人だと、すでに持っている商品が次々と“オススメ”に登場してウンザリ…という状況になりがちだ。「マイページ」機能をオフにしたり、購入済み製品をレーティングすることでこうした事態は減らせるので、“オススメ”されたい時とそうでない時を使い分ける手もある。 一方、今どんな本が読まれているかを知るには、ベストセラーチャートは欠かせない。オンライン書店はそれぞれ自サイトのランキングチャートを出しているが、リアルの書店では「紀伊國屋書店」が全店を総合した単行本・文庫本・新書・洋書の、「八重洲ブックセンター」は八重洲本店の各フロアのベストセラーチャートを発表している。また日本能率協会が大規模書店5店のデータをまとめた「主要書店ビジネス書ベストセラー」や、全国PCショップでのPC関連書籍売上げのランキング「ブックモールPCベストセラー」なども参考になる。変り種は「ブック・レビュー・ガイド」で、新聞や雑誌の書評に取り上げられた書籍や著者のランキングを掲載。ベストセラーのリストと合わせて見ると、「この本、書評ではよく見かけるけどあんまり売れてないのかも?」という本を発見できてしまったりする。 ■Webcat Plus●本はどこで買う?~オンライン書店の場合 さて、欲しいと思う本が見つかった、または絞り込めた。じゃあ買おうと思ったとき、あなたはどこで本を買うか? ここではオンライン限定で考えていこう。 まずは、その本が実際に買えるかどうか、つまり市場に流通している本かどうかを確認したい。いつも使っているオンライン書店でその本を検索して、その本の発送予定がどう表示されるかを見てみよう。例えば「2~3日で発送」、「24時間で発送」などが出たら、まったく問題なし。そのままどうぞお買い求めを。やや難があるのは、「1~2週間で配送」「取り寄せ」などと出る場合だ。前者の場合、オンライン書店ではその書籍の在庫を持っておらず、取次ぎや出版社まで発注しなければならない。その書籍が出版社などで在庫を持っている場合、1週間から1ヶ月ほどで手に入る。オンライン書店によっては在庫を持っていてすぐ発送できる場合もあるので、急ぐ場合はいくつかのオンライン書店で確認してみよう。
なお、こうした確認をするときに便利なのがメタサーチ。ISBNか書名・著者名でオンライン書店最大11店舗を一気に検索できる「オンライン書店 メタ検索ページ」は活用度が高い。 またオンライン書店ではなく、出版社から直接購入する手もある。現在多くの出版社が自社サイトを開設し、サイトで直販を行なっているところも多い。いくつかの出版社が合同で直販を行なっているサイトもある。例えば「s-book.com」は小学館や集英社など6社の単行本やコミックスを、「版元ドットコム」では第三書館や彩流社など40社以上の中小出版社の書籍を扱っている。 ■ジュンク堂 Book Web●このジャンルの本はここでゲット~セレクト書店
また最近急増しているのが、20~30代の若い店主が運営しているオンライン古書店だ。どこも運営者のカラーが出ていて、“セレクト古書店”と呼びたくなるサイトが多い。オンライン古書店についての著書も持つライター・北尾トロ氏による「杉並北尾堂」や、サブカルチャーや音楽系に強い「オヨヨ書林」、デザイン関連・ヨーロッパものが得意な「ユトレヒト」、「暮らしの手帳」「カラーブックス」などレトロな昭和を感じさせる品揃えの「海月書林」など、どこも本への愛情たっぷりで楽しめる。 ■青山ブックセンター●流通していない本の入手法(1)~オンライン古書店 さて、流通していない本を手に入れる方法では、まず古本、つまり古書店がある。オンラインで古書を扱うサイトは数多く、また現在の古書店はデータベース化も進んでいるので、探してる本を横断検索して見つけることも可能だ。なんと2,700軒もの古書店から検索できる「日本の古本屋」や、日本のオンライン古書店130店に加えて欧米など世界各地の古書店300店をカバーする古書サーチエンジン「スーパー源氏」を持つ「インターネット古書店案内」などは試してみる価値大だ。どちらの書店もカート方式に対応してはいるが、それぞれの本を持つ古書店は異なるところになるため、注文後は各古書店とのやりとりになる点は留意したい。また本の街として知られる東京・神保町の古書店の目録を検索できる「BOOK TOWN神田」もあるが、目録からの検索になるため、リアルタイム性にはかけるところと、オンラインに対応していない書店が多いのがやや難点といえる。
「いちいち検索なんてやってられない!」という人には、欲しい本を登録すると、該当書を持つ古書店などが連絡をくれる“探しものサービス”を展開している「EasySeek」がおすすめだ。急ぎではないがいつかは手に入れたいという本がある人にも向いている。 また「楽天ブックス」では「楽天フリマ」と連携して、一般の書籍から古本の買い物にシームレスに移行できる。決済が店舗によって異なるのが少々手間だが、新刊と古本がワンストップになっているのは便利だ。 ■インターネット古書店案内●流通していない本の入手法(2)~オンデマンド出版・電子出版
オンデマンド出版を豊富に展開してるところでは「万能書店」があり、朝日新聞社、飛鳥新社、河出書房新社などの絶版書籍をオンデマンド出版で展開している。また絶版コミックのオンデマンド出版サイト「コミックパーク」では、講談社、小学館、青林堂などのコミックス160シリーズを展開。見ていると、これももう品切れ?と、コミックス界の隆盛の激しさに驚かされる。ただオンデマンド出版の場合、少数しか刷らないため、価格がどうしても割高になってしまう面があるので、その点は考慮したいところ。 ■復刊ドットコム “本”というパッケージにこだわらず、とにかく読めればいい、という人には、電子出版を選択する手もある。充実する一方のこのジャンル、通常の書店で買うよりも割安な価格に設定されている場合も多いので、価格にシビアな人はこの点も要チェック。代表的サイトの1つ「bitway」は、写真集から絶版文庫、雑誌の人気コンテンツまで、さまざまなジャンルが揃う。長編を上下に分けて販売するなどの手法も取り、価格・サイズとも手軽に楽しめるものが多い。徳間書店、文藝春秋など12社の小説を中心に扱う「電子文庫パブリ」、貸し本時代のマンガから注目の韓国コミックスとバラエティ豊かなラインナップに加え、手塚治虫作品の充実度がスゴイ「10daysbooks」、ミステリー作家らが有志で運営する「e-NOVELS」、9,000冊以上を収録する老舗の「電子書店パピレス」など、選択肢は相当広がってきたといえる。希望を言えばこうした電子出版サイトの収録作品を横断検索できるサービスがあれば、もっと使い勝手が増しそうだ。 ■bitway (2002/10/28) [Reported by aoki-m@impress.co.jp] |
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